勉強×ギャンブルの目標達成アプリなど Z世代目線の事業アイデアを発表
知識ゼロでも起業が目指せる「超起業学校スタートアッププログラム (IESSP)」初の成果発表会
2022年10月1日、一般社団法人超教育協会は、起業に興味のある全国の学生を対象にした起業プログラム「超起業学校スタートアッププログラム (IESSP)」の成果発表イベントを東京ポートシティ竹芝の会場とオンラインで開催した。イベントでは、2ヵ月間のカリキュラム受講後にアイデア審査を通過した4チームが登壇。審査員として、超教育協会理事長の石戸 奈々子氏、株式会社ゼロワンブースター代表取締役 合田 ジョージ氏、株式会社ガイアックス 執行役 佐々木喜徳氏の3名が参加し、各チーム5分間のピッチ後に審査が行なわれた。
IESSPは2022年5月からスタートした知識ゼロでも起業が目指せる5か月間の起業プログラム。プログラム参加者は、2ヵ月間のカリキュラムをオンライン、オフラインで無料で受講し、カリキュラム終了後のアイデア審査を通過したチームは、2ヵ月間のメンタリングを受けて、本ピッチイベントへの登壇資格が得られる。今回は「がんばろっと」チーム、「Carrer Match」チーム、「tsumugu」チーム、「AdMakit」チームの4チームが参加し、5分間のピッチと質疑応答が実施された。
自己研鑽×ギャンブルという新発想の目標達成アプリ「がんばろっと」
目標達成アプリ「がんばろっと」は、努力すればするほど宝くじに当たりやすくなるサービス。ダイエットや資格取得といった大人の自己研鑽はモチベーションの維持が難しい。マンツーマン指導は費用が高く、無料のアプリでは強制力が弱く長続きしない。「がんばろっと」は、自己研鑽にギャンブルを組み合わせることで、少額の投資でモチベーションを上げられるのが特徴だ。最初に目標と罰金額を設定し、目標を達成するとくじ引きで景品が当たり、失敗すると罰金がクレジットカードから引き落とされる。最終目標だけでなく、小目標として日々のタスクが自動設定される仕組みで、例えば「TOEIC800点」などの目標を設定すると、単語テストや模試などの日々のミッションが提案され、達成するとくじ引き、失敗すると少額の罰金が科されることで、長期的な目標でもモチベーションを継続しやすいように工夫されている。創業期はSNSを活用してダウンロード数を増やし、拡大期はグループ機能やレッスン動画などコンテンツの拡充する計画だ。
質疑応答では、合田氏が「めちゃくちゃ面白いアイデア。さらに脳科学的にモチベーションの科学として突き詰めていくと面白くなりそう」とコメント。佐々木氏は「この手のサービスは成功体験を得るまでに数カ月かかってしまうが、途中に小さなくじが当たる仕組みを入れているのはいい設計」と評価した。
学生と学生がつなぐ長期インターン採用マッチングサービス「Carrer Match」
学生の長期インターンは、応募者が少なく、また早期に離職してしまうことが多い。これは大学生と企業間で就業イメージにズレがあるのが原因だ。「Carrer Match」は、学生間での長期インターンの採用マッチングを行なうサービス。学生と企業のインターン生を「Carrer Match」サイトでマッチングし、カフェトークを通して職場の雰囲気や業務内容の情報を教えてもらい、そのうえでインターンを希望する場合は面接へと進む、という流れだ。インターン生からの話を聞くことで、学業とのバランスなど学生の視点ならではの情報が得られる。マネタイズは成果報酬型で、月額料金は無料、マッチングが成立すると文系5万円、理系10万円を設定。
質疑応答では、石戸氏から「長期インターンに挑戦したい学生は46%いるというデータがあるが、成立していない理由、すぐやめてしてしまう理由のデータも取り、解像度をより高めると成約率が上がるのでは」とアドバイス。合田氏は「インターンに限らず、今は2、3年で転職する人が増えている。あえて発想を変えて、逆に職を変えまくる世界に対して貢献するのも面白いかもしれない」とコメントした。
効率のいいクリエイティブ学習方法がすぐに見つかるプラットフォーム「tsumugu」
動画編集やデザインなどのクリエイティブ学習にYouTubeを参考している人が6割を超えるが、コンテンツが多すぎて自分に合った教材が見つけられない、学習の始め方がわからない、という問題も起きている。「tsumugu」は、自分がやりたいことに合った教材や学習方法を見つけて真似できるプラットフォームだ。
学習中のユーザーは「tsumugu」サイトに参考にしている動画コンテンツや本、学習方法を記録してTodoリストを作成すると、同じテーマの学習方法を探しているユーザーが参照できる。
学習の始め方がわからない人は、サイトを閲覧することで学習方法をコピーして真似できる仕組みだ。2022年12月にリリース予定で、2024年に会員ユーザー10万人を目指す。
佐々木氏からの「ユーザー投稿型でコンテンツを増やすと、似たような教材が増えていき、結果どれがいいのかわからなくなるのでは」という質問には、「コピーしたものが自分で最適化とは限らないので、Todoのアクションは編集できるように考えている。似たようなTodoが蓄積されていくことで、よいコンテンツにブラッシュアップしていくように設計していく」と回答した。
Z世代の目線を反映した経営戦略を実現する「AdMakit」
嗜好の多様化とSNSの影響力から、若年層のニーズの把握や商品の訴求は難しくなってきている。特に商品の露出機会の少ない地方企業では、若い世代への周知力の弱さが課題だ。AdMakitでは、大学生を中心としたZ世代のコミュニティが広告やウェブサイト、SNSを評価し、そのヒアリング結果に基づくコンサルティングで企業の経営をサポートするサービス。匿名のアンケートとは異なり、既定のコミュニティから情報収集することで、安定した情報収集力と信頼性を担保できるのが特徴だ。サービスの利用料は30万円を想定。
質疑応答では、佐々木氏から「アンケートの品質の低さはまさに実感している。Z世代の影響力が高まるような情報をどのように獲得・整理していくかが大事。ユーザー調査を本質的にうまくやれている人はあまりいないので、専門性を磨いていくと有用なサービスになると思う」とコメント。合田氏は「かなりいい視点。若い人にKPIや売上などを言っても響かない。マーケティングというよりも、経営戦略そのもの、若手の離職改善にも使える。ただし、決定権のある年齢の高い人に理解させるのはけっこう難しいので、そこが突破できればすごくいい」とアドバイスした。
目標達成アプリ「がんばろっと」が最優秀賞を受賞
審査員による審査の結果、最優秀賞は「がんばろっと」チームが受賞し、賞金5万円が贈呈された。石戸氏は「こんな発想があったのか! という驚きがありました。科学的な裏付けのあるモチベーションのあがる設計に期待しています」とエールを送った。
そのほか、01Booster賞には「Carrer Match」チーム、ガイアックス/スタートアップスタジオ賞は「tsumugu」チーム、tsam賞は「AdMakit」チームが選ばれた。