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包括的なオブザーバビリティ、導入しやすいライセンス形態、AIOpsと自動化まで、特徴と強みを知る

「SolarWinds Hybrid Cloud Observability」が実現する次世代のIT管理とは

2022年10月21日 09時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

提供: ソーラーウインズ

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 ITシステムの運用監視領域において、近年注目を集めている「オブザーバビリティ(observability)」。前回記事では、オブザーバビリティという新たな要素が、企業がデジタルビジネス、DXを推進していくうえで不可欠なものになっていることを説明した。

 続く今回は、IT監視/管理製品を20年以上にわたって提供してきたソーラーウインズが新たに提供を開始したオブザーバビリティソリューション「SolarWinds Hybrid Cloud Observability」の特徴や、他社ソリューションと比べた場合の強みについて詳しく見てみたい。筆者の質問に答えてくれるのはソーラーウインズのHead Geek、サシャ・ギース氏だ。

ソーラーウインズが新たに提供する「SolarWinds Hybrid Cloud Observability」(画像は製品紹介ビデオより)

米ソーラーウインズ Head Geekのサシャ・ギース(Sascha Giese)氏

単一プラットフォームに機能モジュールを展開、統合監視分析を可能に

 SolarWinds Hybrid Cloud Observabilityは、統合プラットフォーム(SolarWinds Platform)上に構築されたフルスタックのオブザーバビリティ製品だ。1つ目の強みはこの統合されたプラットフォームにあるという。

 「SolarWinds Hybrid Cloud Observabilityにより、サイロ化で分断されているITチーム内においても、同じツールを使って同じデータを参照し、『問題の根本原因』を特定することができます。企業のクラウド化に向けた取り組みを、あらゆる段階で強力に支援します」(ギース氏)

 前回記事でも触れたとおり、ITチーム内の担当が細分化され、利用する監視ツールもサイロ化された状態では、トラブルの根本原因を特定するためにかなりの時間と労力を要する。なぜなら、ITシステムを構成する各リソースは複雑な依存関係を持つからだ。

 たとえば、アプリケーションのパフォーマンス劣化が検知されたとしても、その根本原因がアプリケーションにあるとは限らない。仮想マシンやネットワーク、データベースなど、別のリソースが原因かもしれないため、複数の観測結果を相互に関連づけて分析や可視化を行う必要がある。最近ではハイブリッドクラウド/マルチクラウドの利用が進み、ITシステムの使用リソースがますます複雑化しているが、複雑化が進むほどこうした関連づけの能力が必要不可欠になってくる。

 これまでのプラットフォームでは、ユーザー企業側が必要なものを選択できる、モジュール式のソリューションを提供してきた。一方、新しいSolarWinds Hybrid Cloud Observabilityでは、フルスタックな観測性を実現するための重要なコンポーネントを、効率的で管理しやすい1つのバンドルとしてまとめて提供することで、導入とライセンス管理を簡素化している。

 「Hybrid Cloud Observabilityは、これまでのビルディングブロック方式のシステムではなく“真のプラットフォーム”です。そのため導入が容易で、なおかつIT環境のあらゆる要素から、より多くの情報を引き出して可視化することを可能にしています。以前よりも多くの機能が、わかりやすいパッケージで提供されています」(ギース氏)

単一のプラットフォーム上にフルスタックのオブザーバビリティソリューションとITサービス管理(別製品)を統合

小規模な組織でも導入しやすいサブスク型/ノード単位の料金体系

 ギース氏が語るとおり、Hybrid Cloud Observabilityには「Essentials」「Advanced」という2種類のパッケージスイートが用意されている。以下のリストを見ればわかるように、監視対象に応じてツールが細分化されているのではなく、「ユーザーが何をしたいか(目的)」に応じてスイートが構成されている。

 加えて、それぞれのスイートには大規模環境向け(最小500ノードから)の「Enterprise Scale Edition」も用意されている。この大規模向けエディションでは、ソーラーウインズの上級サポート担当と直接やり取りできるプレミアサポート、PoC用の検証用ライセンス、Hybrid Cloud Observabilityサーバー/ポーリングサーバー/Webコンソールサーバーの冗長化オプションなどが追加される。

ユーザーの目的に応じて「Essentials」「Advanced」の2種類から選択できる。さらに大規模環境向けにはEnterpriseオプションも提供

 Hybrid Cloud Observabilityが提供する機能は統合プラットフォーム上のモジュールとして開発されており、必要に応じて幅広いITリソースの監視が可能だ。またあらゆる監視データが1つのプラットフォームに集約され、統合分析ができるので、より俯瞰的なビジネスインサイトの取得やAI/機械学習の適用による運用自動化などが実現しやすい。

 なお、Hybrid Cloud Observabilityの料金体系は、監視対象の種類や使う機能の数ではなく監視対象のノード数に準ずるものとなっている。さらに、永続ライセンスモデルではなく年間サブスクリプションモデルを採用しているため、企業は大きな初期投資をすることなく導入できる。たとえばEssentialsであれば年額60米ドルから、Advancedであれば年額108米ドルからスタートが可能だ(いずれも1ノードあたりの最低価格)。

 「ノード数単位での料金、サブスクリプションモデルという2つの変更により、組織の規模を問わず、Hybrid Cloud Observabilityが提供するハイエンドなソリューションを利用できるようになりました。たとえ小さな組織であっても、もはや機能が不十分なツールやオープンソースのツールに頼る必要はありません」(ギース氏)

単に多数のメトリクスを監視するだけでは「フルスタック」ではない

 SolarWinds Hybrid Cloud Observabilityは「フルスタックのオブザーバビリティソリューション」というコンセプトを掲げている。ネットワーク、ストレージ、サーバーといったITインフラから、仮想マシン、コンテナ、クラウドといったコンピューティング環境、さらにアプリケーションやデータベースまで、幅広い監視や可視化が実現可能だ。

 ただし、SolarWindsがHybrid Cloud Observabilityで実現する「フルスタック」は、ただ単に多数のメトリクスを収集、監視するだけのものではないと、ギース氏は注意をうながす。

 「Hybrid Cloud Observabilityは、たとえばお客様の環境におけるアプリケーション配信の仕組み、データベースクエリなどの独立した要素がシステム全体に与える影響を理解するのに役立ちます。他のほとんどのベンダーは、アプリケーションパフォーマンス管理のような特定の要素に焦点を当てたソリューションを提供していますが、ソーラーウインズならば、すべての情報をまとめてIT環境全体を見渡すことができます」(ギース氏)

SolarWinds Hybrid Cloud Observabilityは幅広いユーザーニーズに応える機能を備えている

 こうした他社と異なるアプローチの背景には、ソーラーウインズが過去20年間にわたってIT監視/管理製品の開発と提供を手がけてきた経験の蓄積がある。ギース氏も「Hybrid Cloud Observabilityは過去20年間の経験をベースに構築しました」と、その大きな優位性を強調する。

 またプラットフォームを統合した一方で、顧客が慣れ親しんでいる従来製品のルック&フィール(インタフェースデザインや画面操作)については、Hybrid Cloud Observabilityでもそのまま維持しているという。したがって、これから新たにHybrid Cloud Observabilityを使うというユーザーも、既存のソーラーウインズ製品からHybrid Cloud Observabilityへの刷新を図りたいユーザーも、どちらにも利用しやすいソリューションとなっている。

ITシステム全体の稼働状態や異常の迅速な把握、フルスタックの可視性による根本原因の追究までわかりやすいインタフェースを備える(画像は製品紹介ビデオより)

「AIOps」の実現で多忙なIT管理者の業務負荷軽減をサポートできる

 さまざまなデータが統合されるオブザーバビリティのメリットとして考えられるのが、AI/機械学習の適用によるIT運用管理の自動化、いわゆる「AIOps」の実現だ。もちろんSolarWinds Hybrid Cloud Observabilityでも、運用管理者の業務負荷軽減を図るAIOpsの機能を盛り込んでいる。「できるだけ多くのタスクをマシンにアウトソースすることで、運用チームの負担を軽減し、最適化とイノベーションに集中できるようにするものです」とギース氏は説明する。

 インテリジェントなAIOpsの具体例として、ギース氏は「アラートの抑止」を例に挙げた。監視ツールが発する大量のアラートは管理者の悩みの種だが、だからといって重要なアラートを見逃しては困る。確認不要なアラートの発生をAIが抑止してくれたら、管理者の業務負荷は大きく軽減される。

 「たとえば、ある仮想化ホストのCPU使用率が90%に達していても、常にこのレベルで安定稼働しているならば、AIはアラートを出しません。一方で、平常時には見られない92%、95%といった数字になればアラートを出します」(ギース氏)

 ここまでは単純な話だが、Hybrid Cloud ObservabilityのAIOpsはさらに複雑な状態にも対応し、インテリジェントなトラブルシューティングを実現するという。

 「ここでHybrid Cloud ObservabilityのAIが調査すると、VM(仮想マシン)の数が30から33に増えていました。この場合、Hybrid Cloud Observabilityはアラートを出す代わりにITサービス管理(ITSM)システムと連携して自動変更管理を行い、ホストの負荷を下げます。あるいは別の理由、たとえばある1つのVMが通常より大幅にリソースを消費していることがわかるかもしれません。そのVMを調べるとSQL Serverが稼働しており、処理のループによってデータベースがロックされている障害が見つかりました。この場合、AIは判明した背景情報や状況説明、修正手順などをアラートとして表示します。そして重要なポイントですが、このアラートは問題の解決策を持つグループ、この例ではデータベース管理者にのみ発信されます」

 こうしたAI/機械学習による支援機能によって、ITチームは大量のアラートに悩まされることなく、人間による判断が必要な部分にのみ集中して業務を行うことができる。そのほかにも、たとえば「メトリックとイベントの関連づけ」「予測に基づくリソース容量不足の事前アラート」といった、システム管理者の業務負荷軽減につながる幅広いAIOpsの機能を提供している。

* * *

 今回見てきたとおり、SolarWinds Hybrid Cloud Observabilityは単に幅広い観測性の実現にとどまらない、幅広い課題解決につながるオブザーバビリティソリューションとなっている。またその開発において、ソフトウェア開発のライフサイクルからインフラ、開発人材まで多レイヤーのセキュリティフレームワークを厳密に順守する「セキュアバイデザイン」を実践していることも重要なポイントだろう。

 企業の規模を問わずDXの推進、ビジネスのデジタル化が重要課題になっている現在、オブザーバビリティの実現もまた、あらゆる規模の企業に欠かせないものである。フルスタックのオブザーバビリティをスモールスタートできるSolarWinds Hybrid Cloud Observabilityに、ぜひ注目していただきたい。

(提供:ソーラーウインズ)

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