近年、デジタル技術を取り入れるフィットネスクラブが増えているが、中でもさらにDXによる体験価値の提供に注力しているのがフィットイージー株式会社が展開するフィットネスクラブ「フィットイージー」だ。いつでも利用できる24時間型のフィットネスクラブだが、365日いつでも快適に利用してもらえるよう、さまざまな施策や工夫を取り入れている。今回は、アミューズメント型フィットネスクラブとして注目を集めるフィットイージーの魅力に迫る。
「アミューズメント型」をコンセプトに掲げる
フィットイージーは「アミューズメント型」をコンセプトに掲げているフィットネスクラブだ。これは同社の造語で、「楽しみながら健康を手にしよう、楽しみながらフィットネスに取り組もう」という意味が込められているという。同社の副社長である中森勇樹氏は、「フィットイージーに行くことがひとつのステータスになる、また自宅や職場とは異なる心地のよい第3の居場所になるような施設を目指している」と話す。そのためにこだわっているのが「したいことができる施設作り」だ。
例えば、設備やサービスは店舗により異なるが、ボルダリング、バーチャルゴルフ、サウナ、日焼けマシン、高濃度酸素ルームなどさまざまな設備を設置。コワーキングスペースの設置や、昼寝、飲食も可能なフィットネスラウンジも併設されている。健康を軸に、プラスアルファがあり、「ここに来ればとにかく楽しめる」という施設になっている。
とはいえ、「体を鍛えるという本来の目的をおろそかにしてはいけない」とのことで、最新のフィットネスマシンを導入するなど根幹となる部分にも注力している。例えばトレッドミルなど、スマートフォンなどデジタル機器と連動するマシンなども導入しており、より効果的、効率的に楽しくトレーニングができるようになっている。
コンビニエンス性を高めるためにDX化を推進
フィットイージーでは、業界で唯一となる「顔認証による入店手続き」を導入している。入会時に登録した顔認証用の写真がパスキーになっており、全国100店舗(2022年9月取材時)どの店でも利用可能(※入会後31日間は登録店舗のみの利用)だ。
また、利用手続きも全てオンラインで行うことができる。コロナ以前からDX化を推進し、同システムを導入していたが、今回のコロナ禍で「完全非接触」での入店システムがより高く評価されたという。
また、24時間いつでもオンラインで入会可能という点も人気だ。「フィットネスクラブに行きたい」と思ったときに、オンラインで個人情報や顔認証登録をすれば、登録した店舗をすぐに利用できる。さまざまな形の生活様式が存在する昨今、時間を問わず登録、利用できることを歓迎する人は多いだろう。
他にも、マシンに設置されたQRコードをスマートフォンで読み込むことで「利用方法の解説動画」を見ることができる。スタッフがいなくても非接触で利用でき、知りたいタイミングで情報が得られる。また、LINEを使った予約システム、情報発信システムの導入も評価されている取り組みだ。デジタルを活用することで、コンビニエンス性、つまり手軽さ、気軽さの実現に成功している。
単にDX化を進めるだけでは意味がない
フィットイージーでは、3分の2の店舗にスタジオを併設。中には、ダンスやヨガなどのバーチャルレッスンができるフィットネススタジオ「FIT-AERO」が設置されており、インストラクターのいないタイミングでもバーチャルでレッスンが24時間いつでも受けられる。また、音楽と映像に合わせ、没頭しながらのワークアウトフィットライドも人気のサービスだ。
DX化を進めることの利点は、非接触で設備が利用できることだ。そのため、店舗に多くのスタッフを配置する必要がなくなる。どの業界でも人材の確保が課題になっているが、人に頼った仕組み、サービスでは、人材が確保できない場合にマイナスの影響が出てしまう。そのためにも、「DX化はもちろん、サービス内容やレイアウトも踏まえた展開が必要になる」と中森氏は話す。
また、「単にデジタル化するだけでは意味がない」というのも中森氏のモットーだ。デジタルもどう使うか、どう活用するのか、その空間にフィットするものであるのかなど考えて導入しないと効果は出ない。結局は利用するのは人。特にフィットネス業界においては、利用者が「五感で楽しめるような居心地の良い空間作り」が大事とのことで、同社でもその点を重視しDX化を進めているとのことだ。
単にデジタルを導入するのではなく、楽しめるフィットネスクラブ、自分の中でステータスになるような店舗作り目指しているフィットイージー。利用者からは「また行きたくなる」という声が多いそうだ。今後はバスケットやサッカー、野球など新たなジャンルのスポーツ設備の導入などを想定しているとのことで、ますます楽しみの幅が広がるだろう。