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「複業クラウド」サービスが支援する現役アスリートのセカンドキャリア事業とは

2022年11月09日 06時00分更新

文● 中田ボンベ@dcp 編集●ASCII STARTUP編集部

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 2022年8月1日、株式会社Another worksが、一般社団法人 日本スポーツキャリア協会との業務提携を発表した。スポーツチームへの複業人材登用や、現役アスリートのセカンドキャリア支援を行うとのことだが、具体的にどのような事業展開を考えているのだろうか。提携の狙いや今後の展開を「複業クラウド」を展開するAnother worksに話を聞いた。

複業ノウハウを基にキャリア形成を支援する

 日本スポーツキャリア協会は、2022年10月より「athleticaアカデミー」という、アスリートのセカンドキャリアに特化したキャリアコーチングの提供を開始する。ビジネスのプロフェッショナルや、ビジネスシーンで活躍している元アスリートにコーチングスタッフとして参加してもらい、現役アスリートのセカンドキャリア支援を行うという取り組みだ。

 同アカデミーでは、ワークショップやコーチとの1on1、キャリア相談などのカリキュラムを提供するほか、企業や自治体での就業経験も実施する。例えば、現役選手として活躍しつつ、ビジネスの現場で実際に働くといったことができるのだ。この「就業経験を求めるアスリート」と受け手となる「企業」をマッチングさせる部分で欠かせないのが、Another worksの存在だ。

 Another worksは、「複業クラウド」という複業(本業を複数持つという意味)マッチングプラットフォームを運営している。複業という働き方の社会実装を促進し、日本のスタンダードにしていくことを目指している企業だ。2022年5月からはスポーツチーム向けの事業「複業クラウド for Sport」を開始。今回の業務提携では、同社が持つ複業のノウハウや、スポーツチーム向けの知見を基に、athleticaアカデミーへの支援・貢献を進めるという。

現役アスリートのキャリア支援が求められる理由

 Another worksのCDOであるSagwan Kim氏によると、「セカンドキャリアのことを意識している現役選手は多い。ところが、現役選手として慌ただしい日々を送る中で、ほとんどの選手がセカンドキャリアのことまで手が回ってない」という。そのために、セカンドキャリアに向けて取り組むのは現役を引退した後になってしまう。セカンドキャリア形成はアスリート全体の課題なのだ。

 しかし、athleticaアカデミーで学ぶことで、スポーツ選手として活躍しながら、別の業種で働く経験や、セカンドキャリアについて学ぶ機会が得られる。早い段階で学ぶことで、キャリアデザインが描きやすくなり、引退後の選択肢も広げられるだろう。

 実際に今回の取り組みに興味を抱く現役アスリートも多く、すでに多くの選手が「athleticaアカデミー」の運営事務局で実施している説明会に参加しているという。中には有名チームに所属するトッププロもいるなど、スポーツ業界からの注目度は高い。

アスリートの複業を当たり前にしたい

 現在の課題についてKim氏に伺ったところ、「『アスリートがこの取り組みに注目してくれるのか』という懸念があったが、すでに多くの問い合わせがあり、この不安は払拭(ふっしょく)されたと思う。今回の取り組みは実証実験的な側面もあるので、課題が見えてくるのはまだこれから」と話す。

 例えば、実際にカリキュラムを回す中で、本業との兼任が実現できるのか、マネージメントに無理が発生しないのかなどといった問題が出てくる可能性がある。また、すでにアンバサダー契約などでアスリートと協力関係を築いている自治体・企業が多い中で、どのように住み分けていくのかの「チューニング」も課題となる。Kim氏によると「こうした課題をいかにして解決していくのかが、我々Another worksの腕の見せどころ」だという。

 また、今後の展望についてKim氏は、「ビジネス、セカンドキャリアに悩んでいるアスリートは多くいる。今回の取り組みを通し、彼らセカンドキャリアを手助けできればうれしい。また、アスリートにおいても複業という取り組みを広げていきたい」と語った。

 アスリートのセカンドキャリア形成は大きな問題となっており、スポーツ庁でも支援事業を行うなど、注力している分野。Another worksの知見を生かした「athleticaアカデミー」がどのような成果を挙げるのか、今後の展開に注目したい。

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