前回に続いて、富士フイルムのX-H2である。前回は「XF56mmF1.2 R WR」という非常に豪奢なレンズだったけど、今回は違うレンズで構成してみるのであった。
冒頭の1枚は、「XF18mmF1.4 R LM WR」という広角単焦点レンズ。X-H2自体は動体撮影が得意なわけじゃないけど、猫AFが付いててAFも速くて、「保護猫シェルター QUEUE」へ遊びに行ったら、めっちゃ元気な子猫が何匹もいたとなると、やっぱ遊び回ってる姿を撮りたくなるってもんだ。
で、ジャンプ力がありすぎて、画面からはみ出るダイナミック感が気に入ったのだ。左手でおもちゃを持って、猫がそれにつられてジャンプした瞬間を、右手に持ったカメラでねらうって楽しいのである。そのときは広角レンズで。そうじゃないと一瞬でフレームアウトしちゃう。
こちらは、冒頭写真で飛びかかりそこねて悔しかったハチワレと遊んであげようとしたカット。また別の猫が順番待ちしてる(わけじゃないだろうけど、子猫たちはこうして集まってくるのだ)。
さて、X-H2というのは富士フイルムのフラッグシップ兄弟……、つまり、いちばん上位で高性能なシリーズの一つ。X-H2Sが高速モデルで、X-H2は高画素モデルだ。
フラッグシップといってもAPS-Cサイズセンサーなので、35mmフルサイズ機のフラッグシップ機に比べると、サイズ感も価格もぐっとお手ごろなので、趣味のカメラとしてもいいのだ。X-H2は、約4020万画素とこのクラスでは非常に高画素だし、使い勝手もいいし、AFもきっちりしてるしで魅力的なのである。
写真のレンズは、新しく登場した「XF18-120mmF4 LM PZ WR」という電動ズームレンズ。電動ってことは、動画撮影を念頭に置いたものと思っていいわけだが、猫撮り用としてもちょうどいいズームレンジとサイズ感なのだ。
それを付けてお散歩して1枚。庭先で2匹が仲よく寝ていたので、そっとカメラを向けたらハチワレのほうにバレちゃったの図。猫は敏感。ここのおうちは猫好きなようで、ここは猫のための場所なのだった。
お次も庭先。道路から一段高いところに庭があるおうち(つまりちょっとした斜面なのですな)の、掃き出し窓の下の沓脱ぎ(くつぬぎ)と呼ばれるコンクリートのとこ。そこでチャトラがくつろいでたのだ。
わずかな隙間から顔が見えるくらいだったけど、いいアングルを探し、猫瞳AFで目が合った瞬間に撮影である。
では、再び「保護猫シェルター QUEUE」へ。猫と戯れてたら、ちょっと離れたところで私のカメラリュックの上でくつろいでる猫が。思わず「18-120mm」レンズの望遠端で撮ったのがこちらだ。ジェニさんと呼ばれた「QUEUE」の古参猫。見た目がよれよれなのは、もう高齢猫だから。先日亡くなったと聞きました。合掌。
今回のラストは、「XF18-120mmF4 LM PZ WR」で撮った、同じ猫の顔のアップ。1枚は広角で、1枚は望遠で撮ったのだけど、その微妙な違いがすごく出てておもしろかったのである。
広角で撮ったほうが丸っこくて、望遠で撮ったほうがしゅっとしてるのは光学的な問題。目と目の間の距離すら違って見える。でも、それ以上に、望遠で撮ったときのカメラと猫の間の微妙な距離感が表情に出てる気がしていいのである。じーーっと見つめ合ってる感じがする。話がそれたのだけど、X-H2はさすがの高画質なので猫を撮るのにもいいのだ……ってことで強引に。
そうそう、「X-H2Sが高速モデルで、X-H2が高画素モデル」と書いたけど、じゃあ猫を撮るならどっちが向いてるかと聞かれたら、高性能なレンズでじっくりピシッと撮るならX-H2、止まってる猫も動いてる猫もどんな猫でもどんと来いってのは、AFも連写も速いX-H2Sかなってとこだ。
いずれにせよ、猫AFがしっかりしてるし、細かい毛の描写力も高いのでよいですぞ。
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筆者紹介─荻窪 圭
老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/
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