連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第50回
IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 2022年9月24日~9月30日
円安/インフレのIT投資影響、「SMS送信サービス」成長の理由、インバウンドの波が再び?、ほか
2022年10月03日 08時00分更新
本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。
今回(2022年9月24日~9月30日)は、SMS送信市場、インフレ/円安のIT投資への影響、好調なSD-WAN市場、日本への個人旅行/インバウンド意識、勢いのある日本のスタートアップについてのデータを紹介します。
■[モバイル]2021年のSMS送信サービス市場は前年度比34%増、自治体の需要が増加(アイ・ティ・アール、9月29日)
・2021年のSMS送信サービスの売上金額は前年度比34.9%、163.2億円に
・2022年度は前年度比29%増を予想
・2021年~26年のCAGRは14.8%、2026年には325億円到達予想
アイ・ティ・アールの『ITR Market View:ECサイト構築/CMS/SMS送信サービス/電子請求書サービス市場2022』より。SMS(テキストメッセージ)送信サービスの国内売上金額は2021年に163億2000万円となり、前年度から34.9%増加した。電子メールを持っていない相手に携帯電話番号だけでメッセージが送れるうえ、開封率や到達率が高いことから、業種・業界を問わず導入が進んでいるという。特に、総合行政ネットワーク(LGWAN)環境下で、自治体が利用できるSMS送信サービスの需要が増加していると報告している。
■[セキュリティ][IT投資]インフレ下のイノベーション戦略、「サイバーセキュリティ」投資がトップに(シトリックス・システムズ・ジャパン、9月29日)
・75%が、インフレ・円安が進んでも「今後1年のIT予算は増加」
・予算配分が増える領域は「サイバーセキュリティ」がトップ、日本は34%
・50%がインフレにより顧客消費行動は変化、デジタルプレゼンスを高める必要がある
2022年8月、日本を含む10カ国のITリーダーを対象に、インフレ下のイノベーション投資について調査した「Inflation Innovation Study」より。世界87%/日本86%が「DXに取り組んでいる」と回答、インフレが「デジタル施策にプラスの影響を与えた」は世界69%/日本79%。投資領域は「サイバーセキュリティ」「セキュリティ(改善・調整)」「クラウドへの移行」など。サイバーセキュリティへの投資については、世界28%/日本34%と日本の動きが突出しているという。
■[ネットワーク][仮想化]国内SD-WAN市場は前年比46%増、企業規模で導入目的が分かれる(IDC Japan、9月28日)
・2021年の国内SD-WAN市場は84億2600万円、前年比46.5%増
・2022年は前年比34.7%増、113億4700万円の予想
・大企業と中小企業で分かれる導入目的
SD-WAN市場が好調だ。SD-WAN関連ハードウェア/ソフトウェア、マネージドサービス、インフラ、プロフェッショナルサービスなどに対するユーザー支出を合計したSD-WAN市場は2021年、前年から46.5%増加して84億2600万円に。2021年~26年のCAGRは17.8%で、2026年は190億9000万円に到達すると予想する。導入目的は企業規模により異なる傾向に。大企業はSD-WANを用いて企業ネットワークを再設計するために導入するのに対し、中小企業はローカルブレイクアウトが目的となっているという。
■[生活]個人旅行受け入れ後に日本旅行を計画している人は25%、マスクルールに懸念も(Tokyo Creative、9月26日)
・日本への個人旅行が10月目途に解禁になることを知っている人は75%
・すでに日本旅行の「計画を立てた」は25.6%、「次の旅行先は日本の予定」は45.9%
・マスク着用ルールなどに懸念
水際対策緩和により10月に個人旅行客の入国解禁となる方針が発表された。これを受け、日本国外に居住し、日本以外の国籍を持つ同社のコミュニティ558人に、解禁後の日本への旅行計画について聞いた。日本の個人旅行解禁について知っている人は75%、計画を立てている人は25.6%と関心が高いものの、マスク着用ルール、観光客を歓迎してくれるかどうかなどが懸念点に挙がった。
■[ビジネス]最も勢いある日本のスタートアップは? AI、DX、新しい消費行動がトレンド(リンクトイン・ジャパン、9月28日)
・1位はロボットピッキングシステム開発のアセントロボティクス
・前回(2021年版)上位10に入ったRapyuta RoboticsとSynspectiveが再ランクイン
・AI実装、DX支援、新しい消費行動がキー
「社員の増加率」「企業や社員への興味」「求人への関心」「トップ人材を惹きつける力」の4つのポイントでLinkedInのデータを分析して割り出した。調査期間は2021年7月~2022年6月末まで。1位のアセントロボティクスは、元ソニー・コンピュータエンタテインメント会長の久夛良木健氏がCEOを務めることでも知られる。2位以下、上位5社はRapyuta Robotics、Synspective、Telexistence、DeepX。今年の特徴として、1)事業にAIを実装、2)複雑な業務のDXを支援する、3)新しい消費行動を捉えている、の3つを挙げている。

この連載の記事
-
第211回
ITトピック
要件定義をAIが支援し「工数を半分以上削減」7割超/“日本独自のAI推進モデル”が判明/AIセキュリティ導入の課題、ほか -
第210回
ITトピック
生成AI普及後も「IT技術者採用は減らない」が約8割/今後5年で倍増のデータセンター電力消費、3分の2は米国・中国、ほか -
第209回
ITトピック
脆弱性のあるVPN機器、6割の企業が「すぐ特定できず」/来年注目の“11のIT戦略テーマ”発表/管理職の半数が「燃え尽き」を経験している、ほか -
第208回
ITトピック
日本のクレカ情報、闇市場では世界一高値で売買/東京が2年連続で世界一、DC建設コスト/誤情報・偽情報への企業対策が加速、ほか -
第207回
ITトピック
人事評価に6割超が自己評価との「ギャップ」感じる/“AIの波”を生き延びるための技術トレンド/AIプロジェクトの6割超がPoC止まり、ほか -
第206回
ITトピック
IT技術者として何歳まで働く? 40代と60代の意見差/年率66%で急成長の「DAP」市場/フリーランス新法施行1年で改善実感の声、ほか -
第205回
ITトピック
ランサム被害企業の3割が「繰り返し被害に遭った」/インフラ技術者の年収アップに効く資格取得/AIに雇用を奪われるのは若手人材? ほか -
第204回
ITトピック
技術学生の大手SIer就職人気が躍進、その理由/成長率37%“急速拡大”の国内AI基盤市場/物価上昇で退職金の実質減少が続く、ほか -
第203回
ITトピック
1件のセキュリティ事故が281社に影響連鎖、恐ろしいサプライチェーンリスク/シニア人材がプロとして働くモチベーションは? ほか -
第202回
ITトピック
ICT求人の8割で「AIスキル」が職務要件に/経営層が熱望するソフトウェア革新/セキュリティのハイプサイクル発表、ほか -
第201回
ITトピック
顧客接点にデジタルヒューマンが浸透/「週休3日」求人はこの5年で5倍に増加/iPhone 16eが期待外れだった理由、ほか - この連載の一覧へ












