10月1日から始まるNTTドコモの新会社とは
NTTドコモが、XR事業の新会社「株式会社NTTコノキュー」を設立し、10月1日から事業を開始することを発表した。
コノキューは、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)、MR(複合現実)など、メタバースを含むXR事業の取り組みを加速するために設立された会社で、NTTドコモが100%出資。NTTグループ各社でXR事業に関わっていた約200人体制でスタートする。これまでにNTTグループが培った顧客基盤や営業体制、R&D技術などを活かし、グループ各社とも連携して事業を進めていくという。代表取締役社長には、NTTドコモで要職を歴任してきた丸山誠治氏が就任した。
ちなみに「コノキュー」は、英字では「QONOQ」と記す。「Quest Over Network」の頭文字や、ネットワークを意味する「N」を中心に仮想と現実が交わること、さらに、始まりの合図である「キュー」の意味が込められているという。
3つの事業を柱にXRサービスを展開
今日28日に開催された発表会では、丸山氏からコノキューの事業内容についての説明が行なわれた。「メタバース事業」「デジタルツイン事業」「XRデバイス事業」の3つの事業を柱に、サービスとソリューションを提供していくという。
1つ目のメタバース事業は、今年の3月31日から提供されているマルチデバイス型メタバース「XR World」で、アバターを介したさまざまな体験を提供。現在は音楽コンテンツが中心だが、コンテンツの拡充を進め、コミュニティー機能も強化させていく。またリアル会場、バーチャル会場、オンライン配信において、バーチャルライブを開催できる「Matrix Stream」など、バーチャルアーティストが活躍できる場を提供する。
2つ目のデジタルツイン事業は、法人パートナーと提携して展開。スマホをかざすと、その場に合ったARコンテンツが表示され、新しい人の流れや店舗への誘客などを実現する「XR City」を中核に、パートナー企業と協業しながら、バーチャルとリアルの相互作用による新しい価値を提供する。
3つ目のXRデバイス事業では、コノキューが提供するコンテンツやサービスをより魅力的にするデバイスを自社で開発する。丸山氏によると「現時点では具体的に発表できることはない」とのことだが、発表会後の囲み取材では「個人的には、まず軽量のグラス型デバイスを開発したい」と話していた。
コノキューは、コンシューマー向けと法人向けの両方にサービスおよびソリューションを提供。今後の展開の一例として、2025年に開催される大阪・関西万博において、オンライン空間上にバーチャル会場を構築することが発表された。
誰もが楽しめるメタバース「XR World」の優位性は?
発表会の後半には、新会社・コノキューのマーケティング部門の担当課長 赤沼純氏が登壇。メタバース事業の主軸となる「XR World」の展望について説明された。
XR Worldはリアルとバーチャルの融合を目指すメタバースで、誰でも容易に楽しめることが特徴。我々が普段使っているスマホやタブレットのブラウザーからアクセスでき、ユーザー自身がアバターになって主役になれて、安心安全に利用できることにも配慮しているとアピール。
これまでにXR Worldで開催したイベントの例として、松任谷由実さんの新曲のMVを先行配信したことや、松任谷さん本人がアバターとなって、デビュー当時の19歳の荒井由実さんと共演したことが話題になったことなどが紹介された。
リアル&バーチャル混合ユニット「AKB48 SURREAL」も登場
続いて、AKB48の人気メンバーとバーチャルキャラクターによる混合ユニット「AKB48 SURREAL」を結成し、10月5日にXR Worldに専用空間「AKB48 SURREAL Theater」がオープンすることが発表された。そこで、XR Worldのテーマソングに起用された新曲「わがままメタバース」を聴くことができ、10月20日からは有料ライブを視聴することもできる。なお、同楽曲はAKB48のCD「久しぶりのリップグロス」に収録され、CD購入者は、抽選で好きなメンバーと専用空間でアバターデータを楽しめるなどの特典に応募できる。
さらに、11月以降に「ゴジラ」、2023年春以降に「エヴァンゲリオン」をモチーフにしたコンテンツなどが配信されることも発表された。