試聴機でその音を試してみた!
発表会の後、実際の音を聴いてみた。A&ultima SP3000の第一印象は、どこまでも透明でどこまでも深く見通しが良いこと。そして、低域の解像感というか透明感に驚く。ローエンドまでしっかりと伸びて、立ち上がりのスピードも極めて速い。クラシックの通奏低音やティンパニの連打も実にキレ味が良い。中高域の分解能も見事で、ボーカルは男性の力強さや厚み、女性の澄んだ声の伸びまで表情豊かに描きながら、実にきめ細かい。カリカリの高解像度な音を連想してしまいがちだが、その意味ではまったく逆で耳当たりのよい優しい感触だ。低音もあっけないほど軽やかに出る。キレ味が鋭いというよりは、どこまでも繊細できめ細やかで生音の感触を思わせる音だ。無色透明で音楽だけが浮かび上がってくるようなイメージだ。
そして、フラッグシップIEMのOdysseyを組み合わせると、その無色透明な再現がさらに上質さを増す。どちらも同じ方向で音がまとめられているのでマッチングは抜群。Odysseyの音という意味では、低音のレスポンスの速さ、ローエンドの伸びが素晴らしいし、中高域の表情の豊かさも見事だ。ただし、スピードが速いとかキレ味が鋭いといった音質的な主張はなく、音楽がありのままに再現されているように感じる。そして、方式の異なるさまざまなドライバーを10基も組み合わせた複雑な構成でありながら、音のまとまりがよく、フルレンジ一発のイヤホンのような鳴り方をすることにも驚く。このチューニングや音の仕上がりには感服させられる。
いずれもかなり高価なハイエンドクラスの製品となるが、機会があったらぜひ試聴してみてほしい。「次世代フラッグシップ」という言葉に偽りがないことを実感できるはずだ。