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フォーハンズ、オンラインで充実した指導のスポーツ教室実施

2022年09月29日 06時00分更新

文● 中田ボンベ@dcp 編集●ASCII STARTUP編集部

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 離島地域など人口の少ない場所では深刻な「指導者不足」が問題になっている。スポーツ指導においても地域格差が生じているが、近年「オンライン」でスポーツ指導を行なうことで、課題を解決する取り組みが増えている。今回は、「オンラインスポーツ教室」の一例として、学童保育事業を展開する株式会社フォーハンズが行った「オンラインライブシステムを活用したスポーツ教室」を紹介する。

神奈川県と鹿児島県の離島をオンラインでつなぐ

 本取り組みは、フォーハンズが運営する神奈川県内の学童保育と、鹿児島県沖永良部島の「沖永良部スポーツクラブELOVE」を株式会社電通国際情報サービス(ISID)のオンラインライブシステムでつなぎ、スポーツ教室を開催するというものだ。スポーツ庁委託事業である「令和3年度 Sports in life推進プロジェクト(スポーツ実施を阻害する課題解決のための実証実験)」の一環として行なわれた。

 フォーハンズはインターナショナルスクールの運営も行なっており、海外でも開園を予定していたが、コロナで断念。海外にインターナショナルスクールを開校した際には、日本とオンラインでつなぎ、共同で授業を行う計画を進めていた。そのため、同じような仕組みで何かできないかと考え、かねてよりフォーハンズが展開するスポーツ教室事業に興味を持っていた「沖永良部スポーツクラブELOVE」と協力し、双方をオンラインでつなぐスポーツ教室事業の提案に至ったという。

スポーツ教室をシェアして「双方向性」を生み出す

 今回の実証実験では、神奈川県の民間学童保育園と沖永良部島の体育館を、ISIDのオンラインライブシステムでつなぎ、スポーツ教室を「シェア」する形で指導が行なわれた。

 わかりやすくいえば、指導を行なうメインの先生がいる「A教室」と、指導のサポートを行なう先生がいる「B教室」をつなぎ、「A教室」は直接、「B教室」は画面越しで指導を受ける、という具合だ。単にA教室の指導を画面で見るだけでなく、実際にB教室の生徒がAの先生から声を掛けられる、B側の子どもが質問をするなど、「双方向性」も今回の取り組みの特徴だ。先生と子どもだけでなく、お互いの教室の子ども同士の交流も生まれるのも、子どもたちにとって魅力だといえる。

地域格差の解消につながる取り組み

 フォーハンズのアライアンス事業部長原田俊一郎氏によると、「最初は島の子どもたちが、画面越しでどれくらい真剣に取り組んでくれるのか心配だった」という。しかし、いざ始まると、参加した大人を置いてきぼりにするくらいスムーズに指導の輪に入り、運動を楽しんでくれた。島の子どもが画面越しに先生と会話しながら運動するシーンも多く、「思った以上に普通にスポーツ教室が実施できた」そうだ。

 また、短い実施期間だったものの、指導を受けた子どもの身体機能の向上も見られた。原田氏は「対面でできるプログラム全てができるわけではないものの、2拠点でも効果的なスポーツ指導ができるという手ごたえを感じた」と話す。

 沖永良部スポーツクラブELOVEの前田純也代表は、「島という限られた環境は刺激が不足し、子どもたちも『島だと何もできない』という考えを持っていた。しかし、今回の取り組みでスポーツへの意識、考え方が変わった。地域格差を解消し、子どもたちに質の高い教育を受けられるようになるのでは」と今後に期待を寄せている。

 今後の展開については、今回得たノウハウを基に、他の過疎地や離島などでのオンラインスポーツ教室の実施や、国内外での複数拠点で、子ども向けの同時受講イベントの開催を考えているという。また、プロアスリートやスポーツ教育のプロ指導などを、オンラインライブシステムを活用して展開していく予定だ。

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