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連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第47回

IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 2022年9月3日~9月9日

成長に転じたITサービス市場、インボイス対応準備は?、週休3日より柔軟な働き方が6割、ほか

2022年09月12日 10時30分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えしています。

 今回(2022年9月3日~9月9日)は、プラス成長に転じたITサービス市場、週休3日制に対する勤労者の意識、「教育・研究」を狙うサイバー攻撃の増加、インボイス制度への対応準備状況についてのデータを紹介します。

■[ITサービス]ITサービス市場がマイナス成長から脱却、2021年は前年比3.4%増(IDC Japan、9月5日)
・国内ITサービス市場は2020年のマイナス成長から回復
・2021年の市場規模(推定)は前年比3.4%増、5兆8808億円
・ITサービス事業者の成長阻害要因は人材不足

 2021年の国内ITサービスは前年比3.4%増で成長。2020年はマイナス成長、2021年も新型コロナ、半導体や部材の供給不足などの影響は残るが、全体として前年からの回復が進んだという。2021年~26年の年間平均成長率(CAGR)は2.8%で推移し、2026年には6兆7667億円になると予測する。デジタル人材不足の問題は顕在化しており、「シニア人材のクロススキリングなど現場に根付いた人材戦略を展開すべき」と同社ITサービス リサーチマネージャーの木村聡宏氏はコメントしている。

国内ITサービス市場の売上高(棒グラフ)と成長率(折れ線)。2021年は実績値、2022年以降は予測(出典:IDC Japan)

■[働き方]6割強が「週休3日」よりも「柔軟な働き方」を望む(クアルトリクス、9月6日)
・日本在住勤労者の63%は「週休3日」より「柔軟な働き方」を希望
・週休3日の懸念は「結局より長時間労働になる」
・メンタルヘルスとリモートワークの関係は、「プラス影響」(24%)「マイナス影響」(23%)

 新しい働き方に帯する従業員のニーズや期待について同社が行った調査「柔軟な働き方に求めるもの」より。調査は日本在住のフル/パートタイムで働く18歳以上1201人を対象とし、5月に実施した。日本でも一部導入が進む「週休3日制」だが、そのメリットとして、「ワークライフバランス」「メンタルヘルス」などが挙がったものの、「結局長時間労働になる」「顧客や取引先の不満を感じる」などのデメリットも挙がった。週休3日制の導入を前向きに捉えてはいるものの、働く場所や時間を選択できる「柔軟な働き方」を望む人の方が多かったようだ。

週休3日に対して回答者が予想するメリットとデメリット(出典:クアルトリクス)

■[セキュリティ]サイバー攻撃で最も狙われる「教育・研究」業界、週の攻撃数は他業種の2倍以上(チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ、9月6日)
・月間攻撃数が最も多かった業界は「教育・研究」
・2022年7月の週平均攻撃数は2000件近く、他業界の平均の2倍以上
・日本を含むアジア太平洋地域の週平均攻撃数は4600件(2022年上半期)

 同社の脅威インテリジェンス部門チェック・ポイント・リサーチが最新調査「サイバー攻撃トレンド 2022年中間レポート」で明らかにした。「教育・研究」は、2021年と22年の両方で、世界全体で月間攻撃数が最も多い業界となった。2022年7月に教育・研究分野が受けた攻撃数は1組織あたり週2000件近く、他の業界と比較すると2倍以上という。さらには、前年同期比51%の増加とのこと。「学生を狙う攻撃」の増加が予想されることから、学生に注意喚起を呼びかけている。

「教育・研究」分野の週平均の攻撃数。日本を含むアジアはオーストラリアおよびニュージーランド(ANZ)に次いで多い(出典:チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ)

■[インボイス]インボイス制度への対応は35%が「具体的に動いている」(ウイングアーク1st、9月9日)
・インボイス制度対応に向け「すでに具体的に動いている」は35%
・「適格請求書発行事業者」登録申請に向け、「具体的に動いている」は27%
・24%が「Peppol(ペポル)を用いた商取引に対応予定」

 2023年に導入される適格請求書(インボイス)制度の対応について、年商100億円以上の企業で請求書関連業務に携わる社員509名を対象に調べた。調査期間は8月19日~23日。インボイス制度への対応は35.8%が「具体的に動いている」と回答、「まだ何も動いていない」は11%だった。導入後の経理業務の運用シミュレーションや試算をしている企業は63.7%にのぼった。適格請求書発行事業者の登録申請については、27.7%が「具体的に動いている」、11.4%が「何も動いていない」となった。

インボイス制度への対応状況は「すでに具体的に動いている」が35.8%(出典:ウイングアーク1st)

日本における電子インボイス標準仕様「Peppol」には24.4%が対応予定と回答している(出典:ウイングアーク1st)

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