JAPANNEXT、ベッカー・サムエル氏のルーツを探る

漢字の読み書きもできるフランス人社長、日本でいきなり起業してうまくいった理由とは?

文●宮崎真一 編集●ジサトライッペイ

提供: 株式会社JAPANNEXT

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ビデオゲームや漫画から日本に興味
100年以上前の古書を父親から与えられる

――フランスに帰国されたのいつぶりだったのでしょうか?

ベッカー氏:今回は半年ぶりですね。コロナ禍でなかなか帰国できませんでしたが、実は2021年の12月に2年ぶりにプライベートな目的で帰国していました。

――遠く離れた日本で起業することに、ご両親は?

ベッカー氏:特に何もありませんでした。おそらく親としては心配しているとは思うんですが、(その心配を)言うとそれがプレッシャーになると気遣ってくれてるんだと思います。なので、特に口に出して何かやり取りしたことはないんです。

――ご両親を日本に招待したことはありますか?

ベッカー氏:はい、2年に1度くらいのペースで日本に来てもらっています。あと、私は4人兄弟なんですが、みんな日本に何度か遊びに来てくれています。ちなみに、十数年前は姉がベトナム、兄がアフリカ、妹がイギリス、私が日本と世界各地でバラバラだったのですが、今は私以外は全員フランスに住んでいます。

――将来、フランスに戻りたいというお考えはあるのでしょうか?

ベッカー氏:日本とフランスを行ったり来たりできるようにしたいなとは思っています。ヨーロッパでビジネス展開していけば、仕事でもフランスに行く機会が増えますので、1年のうち3ヵ月程度はフランスで過ごせたらと考えています。

――だいぶ日本での暮らしに長くなったからでしょうね(笑)。ちなみに、ベッカーさんは最初はどのような流れで日本に興味を持ったのでしょうか?

ベッカー氏:最初はビデオゲームと漫画から興味を持ちました。そして、そこからは日本という国そのものにも興味を惹かれまして、それを父親に話したところ、13歳か14歳頃だと思うのですが、何冊か日本について書かれた本を買ってくれました。現在はこの「Le Japon」という本しか残っていなかったのですが。

ベッカー氏が父親に買ってもらった本、「Le Japon」(読み:ル・ジャポン)

――ずいぶんと古い本のようですね。

ベッカー氏:はい。この本は19世紀の終わりか20世紀の頭に出版されたもので、当時の日本が侍社会からヨーロッパと同じような国際化社会に変っていく様子が書かれていました。その内容は、どれ1つとってもフランスとはまったく違っていまして、すごく興味を持って読んでいたのを今でも覚えています。ほかには、父親が新聞を読んでいて日本のことが書かれた記事があると、切り抜いて渡してくれたので、日本の政治家の発言や経済、それに社会について知ることができました。

Le Japonの中身。こちらは出島に関する記述

明治天皇に関する説明なども記載

――漫画は具体的に何を読んでいたのでしょうか?

ベッカー氏:漫画は「ドラゴンボール」が一番好きでした。ほかは「聖闘士星矢」、「らんま1/2」、「ハイスクール!奇面組」などですね。最初はテレビアニメを見ていたのですが、中学生ぐらいからフランス語訳された漫画も多く販売されるようになって、いろいろ読みました。1980年代からフランスでもテレビアニメは放映されていましたし、1990年代ぐらいからはどの本屋でも漫画を置いていたように記憶しています。

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