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業界人の《ことば》から 第501回

デジタル庁発足から1年、期待の河野大臣は日本のDXをどうとらえているか

2022年09月01日 19時00分更新

文● 大河原克行 編集●ASCII

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テレワーク、そんなもんできねぇではなくて

 河野大臣は、1980年代に行われた日本初のサテライトオフィスの実験において、現場責任者を担当。「その頃から、テレワークはできるんじゃないかと言っていたが、みんなに『そんなもんできねぇ』と言われた。だが、コロナ禍で世の中が変わり、嬉しく思っている。ワクチン担当大臣だったときもテレワークを宿舎からやっていた。できる範囲で、私もテレワークをやる。当時は、県境をまたぐなという指示だったので、地元に帰ってテレワークということはできなかったが、今回はそれもありだろう。私の地元である茅ケ崎あたりが一番テレワークをやるにはいい場所だと思っている。記者会見についても、基本はオンラインで実施し、記者はどこからでも参加できるのがいい。今日は最初なので、『こんな顔です』というのを見てもらったが、一回見れば顔はそうそう変わるものでもない。あとはテレワークでいいと思っている」とも述べた。

 新型コロナウイルスに感染した岸田文雄首相は、8月22日から、リモートで執務を開始。閣議にオンラインで参加し、初のオンライン会見も実施した。人口減少や高齢化、産業空洞化などの課題を、デジタルの力を活用して解決し、地方活性化を進めるデジタル田園都市国家構想を掲げるなど、デジタルを政策の前面に打ち出してきた岸田首相が、新型コロナに罹患して、ようやくテレワークを積極活用しはじめた。

 IT・エレトクロニクス業界では、オンライン会見が一般化しており、ハイブリッドでの会見も増加している。発表内容にあわせて最適な方法を選択しており、それが発信の拡大につながっている。コロナ禍でも政府の会見は、ほとんどが対面で行われてきた。もし、政府の発表は対面でなくてはいけない、あるいは対面でなくては伝わらないと思っているのであれば、その発想自体に課題があると感じざるを得ない。また、岸田首相はディスプレイ越しで対応しながらも、そこに記者を集めるという中途半端なオンライン会見の仕組みも見直すべきだろう。セキュリティ確保が理由だというが、そこにも日本のデジタル化の水準の低さを感じる。

 デジタルのメリットを熟知する河野大臣が、三代目デジタル大臣として、霞が関にどんな風穴を開けるのか、そして国民生活をどう高めることができるのか。注目したい。

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