人の肌の色合いを変えず、鮮やかな原色は伸ばす
分かりやすいのは人の肌だ。肌の色は人種どころか人によって異なるし、見慣れているから誰でも違いがわかる。そんな感度の高い色はBT.709の範囲内に収まっているので、下手に色域を拡大すると肌の色が変わってしまうわけだ。
極端な言い方をすると、白人の肌は思った以上に赤みが強いし、日本人の肌は(あまり認めたくないが)黄色みが強い。しかも美白にこだわりすぎた肌は青白くなって病的だ。こういう特徴が強く出てしまい、不自然さにつながるという。だから、BT.709の範囲内でバランスの取れている色は拡大せず、それまで再現できなかった領域だけを自然に拡大するカラーマネージメントが重要になってくるという。
その点でレグザは、これまでも正しい色の再現にこだわってレグザエンジンを熟成してきた。現行のレグザが採用する「レグザエンジンZRII/ZRα」は、ともに最新鋭の色再現技術が盛り込まれている。だから、鮮やかなのに、不自然さがない。
デモを見ていても、鮮やかな色と光で撮影されたデモ映像は赤や青に限らず、鮮明で力強いが、初めて見ると派手な色にも感じる。昔はそういうデモ映像を見るのが嫌だったし、個人的にはこういう撮影のデモ映像ではテレビの画質は評価できないと感じたくらいだ。だが、レグザに限らず、今年のテレビを見ていると、一見派手に思えるような色の鮮やかさでも不自然さはなく、画質設定を調節することなく視聴できてしまう。我が家には数世代前の「55X910」があるが、家に帰ってテレビを見ると「なんか色が薄い? 弱々しいな」と感じてしまうほどだ。広色域というのも以前から使われていた技術だが、ようやく画質的に実用的なものになったと思う。
さあ、店頭などで自分の目で色の違いを見てみよう
こうした色の違いは、量販店などの店頭でもよく分かる。例えば、レグザのZ770L/670Lは広色域量子ドット採用液晶パネルで、M550Lが従来からの液晶パネルなので、色再現の違いをじっくり見比べてほしい。どちらが魅力的で、より自然な映像だと感じるか?
今年の薄型テレビは量子ドットが大きなキーワードになっている。Mini LEDに量子ドット技術を組み合わせた製品を各社が販売しているし、有機ELに量子ドットを組み合わせた「QD OLED」という方式もある。その導入に合わせて、新技術も数多く盛り込まれている。各社での画質の違いを見比べるのも面白いので、ぜひとも自分の目で確かめてみよう。