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松本典子の「はじめよう!Azure Logic Apps/Power Automateでノーコード/ローコード」 第17回

クラウドフローで生成したデータをデスクトップフローでExcelファイルに記録する連携方法〔前編〕

Power Automate for desktop(RPA)でExcelファイルを自動処理してみよう

2022年08月23日 08時00分更新

文● 松本典子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 こんにちは、Microsoft MVP(Azure / Business Applications)の松本典子です。

 本連載の前々回(第15回)前回(第16回)では、Power Automateのデスクトップフローとクラウドフローを連携させるための基礎知識をご紹介しました。

 今回からは、デスクトップフローとクラウドフローを連携させて、より実践的なアプリケーションをノーコードで作成する方法をご紹介します。

0. 今回作成するワークフロー

今回作成するワークフロー(アプリケーション)の全体像

 OneDrive内の指定フォルダーに名刺の画像を置くと、自動的に「AI Builder」のOCRサービスで文字解析を実行し、抽出した文字情報をローカルPC上のExcelファイルに書き込むワークフロー(アプリケーション)を作成します。クラウドフローとデスクトップフローの役割分担は、上図のようになっています。

 まず今回の記事では、ローカルのExcelファイルに対する文字情報の書き込みを行うデスクトップフロー(Power Automate for desktop)を作成していきます。

1. 事前準備

Excelファイルの準備

 ローカルPC上で、あらかじめ上の画面のようなExcelファイルを作成しておきます。今回は名刺画像から読み取った情報を書き込むので、以下のように名刺に含まれる項目を用意しました。全部で8項目あります。

 ・登録日
 ・会社名
 ・部署
 ・役職
 ・名前
 ・住所
 ・電話番号
 ・Email

 なお、Excelファイルのファイル名は「名刺一覧.xlsx」としました。

2. 作成するデスクトップフローの全体像

デスクトップフロー(Power Automate for desktop)の全体像

 今回、Power Automate for desktopで作成するフローはこのような形になります。

 Power Automateポータル画面の「+作成」から「デスクトップ フローを作成する」を選択するか、デスクトップ版のPower Automate for desktopアプリを起動して「+新しいフロー」を選択します。

 フロー名にわかりやすい名前を入力し(今回は「名刺一覧リスト」としました)、「作成」ボタンをクリックします。

3. 入力変数の準備

入力変数の準備

 まずは、クラウドフローから渡されるデータ(AI Builderが名刺から読み取ったテキスト情報)を受け取るために、入力変数の準備をします。画面右メニューの「入出力変数」に表示されている+をクリックすると、「入力」か「出力」かの選択肢が表示されるので「入力」を選択します。

入力変数を編集する

 入力変数は、前述した名刺情報の各項目に合わせて作成します。8項目ありますが、上の図は「会社名」用の入力変数の設定例です。入力変数の設定項目はそれぞれ次のとおりです。

 ・変数名:Power Automate for desktopで利用する変数(半角英数)
 ・データの種類:「テキスト」を選択。
 ・外部名と説明:クラウドフロー側のコネクタで表示される名前と説明文。わかりやすい名前、説明文を入力(日本語も可)。

 このようにして、8項目ぶんの入力変数8個を作成します。なお今回は、それぞれ次のような変数名にしました。

 ・会社名:CompanyName
 ・部署:Department
 ・役職:Position
 ・名前:Name
 ・住所:Address
 ・電話番号:Tel
 ・Email:Email
 ・日付:date

4. フローの作成

 入力変数が用意できたら、左メニューにある「アクション」から利用したいアクションを選び、フローを作成していきます。

4-1. Excelの起動

「Excelの起動」アクションを追加

 今回はあらかじめ用意したExcelファイルにデータを書き込む(追記する)フローですので、最初は「Excelの起動」アクションを実行します。左メニューの「Excel」カテゴリにある「Excelの起動」アクションを選択し、フローデザイナーにドラッグアンドドロップします。

「Excelの起動」アクションの設定

 すると、アクションの設定画面が開きます。設定項目はそれぞれ次のようにします。

 1. Excelの起動:「次のドキュメントを開く」を選択
 2. ドキュメントパス:「1. 事前準備」で作成したExcelファイルのパスを指定

 なお、下にある「読み取り専用として開く」スイッチをONにすると上書きができなくなるので、OFFのままにしておきます。上記の1と2を設定したら「保存」をクリックします。

フローデザイナー

 フローデザイナーに「Excelの起動」アクションが追加され、上図のような表示になります。

4-2. 「Excelワークシートから最初の空の列や行を取得」アクションの追加

 続いて、左メニューの「Excel」カテゴリから「Excelワークシートから最初の空の列や行を取得」アクションを選択し、フローデザイナーにドラッグ&ドロップしてワークフローに追加します。

「Excelワークシートから最初の空の列や行を取得」アクションの設定

 先ほどと同じようにアクションの設定画面が表示されるので、次のように設定します。

 1. Excelインスタンス:「Excelの起動」アクションの実行時に自動生成される変数「%ExcelInstance%」を選択
 2. 生成された変数:「FirstFreeRow」だけをONに変更

 上記の内容に変更したら「保存」をクリックします。

4-3. 「Excelワークシートから読み取る」アクションの追加

 左メニューの「Excel」カテゴリから「Excelワークシートから読み取る」アクションを選択し、ワークフローに追加します。Excelの1行目には項目名が入っているため、2行目移行に順次書き込むように設定します。

「Excelワークシートから読み取る」アクションの設定

 1. Excelインスタンス:「%ExcelInstance%」を選択
 2. 取得:「セル範囲の値」を選択
 3. 先頭列:「1」と入力
 4. 先頭行:「1」と入力
 5. 最終列:項目が8つあるので「8」と入力
 6. 最終行:空白行の1つ前の行を指定したいので「%FirstFreeRow-1%」と入力

 なお「詳細」と「生成された変数」はデフォルト設定のままで大丈夫です。「生成された変数」の「%ExcelData%」には、セル範囲の値が入ります(今回だと項目数の「8」)。

 上記の内容に変更できたら「保存」をクリックします。

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