このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

オウガ・ジャパン専務取締役河野氏に聞く日本市場におけるOPPOの新戦略

2022年08月11日 15時00分更新

文● 村元正剛(ゴーズ) 編集●ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

フラグシップ機についてはキャリアとの関係も
OnePlusやrealmeは「ご期待ください」とだけ

――今年これまでに、OPPOが日本向けにリリースしたスマホはOPPO Reno7 Aだけですが、これからフラッグシップのFindシリーズや、エントリーのAシリーズの端末を発表する予定はありますか?

河野氏 Aシリーズのこれからの展開については、しかるべきタイミングでご案内しますので、今しばらくお待ちください。フラッグシップは昨年「OPPO Find X3 Pro」を発売しましたが、最新の「OPPO Find X5 Pro」の発売は見送りました。

――なぜでしょうか?

河野氏 Reno AシリーズとFindシリーズは、機能やスペックの違いに加えて、Reno Aシリーズは日本専売モデル、Findシリーズはグローバルモデルという違いがあります。日本専売モデルは、日本のキャリアが求める発売時期に合わせて開発スケジュールが組まれます。グローバルモデルは世界の多くのキャリアから引っ張りダコになり、多くの台数を取り扱ってくれる国・地域に合わせた開発スケジュールが組まれることになります。なので、日本のスケジュールに合わせるのが難しいという事情があります。

 もちろん、我々としては、Find X5 Proも日本で出したかったのですが、残念ながらキャリアさんとのスケジュールが合わなかったり、いつくかの理由があって発売を見送ることになりました。そこは、OPPOが日本市場でさらに躍進するために、越えなければならない課題だと思っています。

左が日本でも発売中のOPPO Find X3 Proで、右が今年のフラッグシップで、日本での発売が見送られたOPPO Find X5 Pro

――Find X5 Proは、自社開発のチップを搭載したり、ハッセルブラッドとの共同開発など、非常に注目度の高い端末だったので、日本発売を期待していた人は少なくないと思います。フラッグシップを日本で発売してもらうために、ファンがすべきことはあるでしょうか?

河野氏 忖度なくお話をすると、キャリアショップさんに「どうして発売しないんですか?」とおっしゃっていただくのが、我々としてはありがたいです(笑)。キャリアが取り扱わないなら、SIMフリーモデルを発売すればいいのでは? と思う人もいらっしゃるでしょう。それについては、社内でも検討しました。Find X5 Proは、ハッセルブラッドの色合いを表現できたり、「MariSilicon X」というOPPOが独自に開発したカメラ用のチップを積んでいたり、5軸のスタビライザーが入っていたりと、セールスポイントはたくさんあります。

 なのに、なぜ売らなかったかと言うと、先にも述べましたが、弊社がエンドユーザーだけではなく販売パートナーも大切に考えているからです。OPPOには「本分」という経営理念があります。この「本分」は「自分たちだけが得をする企業であるなかれ」ということがベースになっています。中長期的な経営戦略の中で、我々が最も重要視しているものは、やはりパートナーさんとの関係性です。OPPOのオンラインショップだけで売って、弊社だけが儲かればいいわけではありません。それゆえに、SIMフリーモデルの導入を見送るという結論に至りました。

――OPPOのスマホには、Androidをベースにした「ColorOS」が搭載されています。今回のOPPO Reno7 Aの発表時には、ColorOSについてはほとんど触れられませんでしたが、ColorOSの優位性はどこにあるのでしょうか? あらためて聞かせてください。

河野氏 使いやすさへのご評価はお客様によってさまざまで、ColorOSを気に入ってくださっている方もいれば、そうでない方もいらっしゃいます。その上で、我々がどうしてColorOSを搭載するかと言えば「Something New」とでも言いましょうか、ソフトウェアの中にもOPPOらしさを実装したいという思想があります。

 たとえば、3本の指で下にスワイプしてスクリーンショットが撮れたり、上にスワイプして画面を分割できたりといったジェスチャーコントロールは、非常に便利に活用いただいております。とは言いつつ、Androidから離れ過ぎないことも大事だと認識しています。実は、Google純正のスマホ以外で、最初にGoogleレンズの機能を実装したのはColorOSなんですよ。

OPPOのスマホは、3本の指で画面をなぞるだけでスクショが撮れる

――2017年8月の日本参入から約5年が経ちました。まだ最大手のドコモは取り扱っていませんが、今後、ドコモから発売する可能性はあるのでしょうか?

河野氏 これは、大問題ですよね(笑)。お話できる範囲のことをお話させていただくと、我々としてはすでにドコモさんに取り扱っていただく準備はできています。正直なところ、5年前にはできていませんでした。開発、生産、販売のすべての体制において、未成熟でした。しかし現在は、ドコモさんのニーズをしっかり受け止める社内体制が整っています。つまり、ドアは開けて、ドコモさんが入ってきてくださるのを待っている状態です。

――Reno Aシリーズのヒットで、日本でのOPPOの知名度は随分高くなったと思います。河野さんとしては、さらに知名度を上げて、シェアを伸ばすために、どのような施策が必要だと感じていますか?

河野氏 第三者機関の調査によると、OPPOの知名度はすでに30%を超えているようです。ブランドの認知という意味では、過去3年間にCMに出演いただいた指原莉乃さんの存在が必要に大きく、感謝しております。OPPO Reno7 Aの発売を機に、我々はお客様とのタッチポイントなど、マーケティングの手法を大きく変更しました。その背景には、コロナの影響も少しはあるかもしれませんが、お客様の認知行動がテレビからインターネット媒体へと移行していると感じています。その状況を踏まえて、新キャラクター「ナガモッティ」が登場する動画をYouTubeで配信したりもしています。

――シャオミは6月に「POCO」というブランドを日本市場に上陸させました。OPPOは関連会社の「Realme」のスマートウォッチやイヤホンをすでに日本でも展開していますが、傘下には海外で人気の「OnePlus」というブランドもありますよね? そうしたブランドのスマホを日本で発売する計画はありますか?

河野氏 ご期待ください、とだけ(笑)。

――OnePlusは日本未上陸ながら日本での人気も高く、発売を期待している人が多いようですね。

河野氏 アメリカではT-モバイルさんに発売していただいていて、ご存知の方も多いようです。「ColorOSよりもOxygenOS(OnePlusのスマホが採用するOS)のほうが好き」という声を聞くこともあります。私自身、OnePlusの創業者のピート・ラウ氏とは非常に親しくしております。しかし、今言えるのは「ご期待ください」ということだけです。

――OPPOブランドの新しい製品が日本で発売される可能性もあるのでしょか?

河野氏 中国では多くの製品を発売していて、テレビも売っています。しかし、テレビを日本市場に持ってくる予定はありません。今年のバルセロナ(MWC2022=世界最大級のモバイル関連の展示会)では「OPPO Air Glass」を発表していますが、そうした次世代の通信デバイスはこれからどんどん出てくると思います。

 OPPOは「人間のための技術で、世界をもっとあたたかく」というブランドキャッチコピーを掲げています。そうした思いで製品開発に取り組んでおり、エポックメーキング的な製品も作っています。しかし、それを実際に発売するかどうかは、自らのアイデンティティーに帰ってきます。実際にその製品を使って、生活がどのように変わるのかをイメージできるようになれば、発売を検討したいと思います。

――ありがとうございました。

■関連サイト

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン