次のIoTの姿が見える!SORACOM Discovery 2022レポート
AIカメラ「Viurekaカメラ」を活用した現場のためのIoT事例が満載
パートナー企業との共創でエッジAIの社会実装を目指すVieureka
小売店での売り場改善や建設現場の入退場管理など事例多数
続いては事例紹介。1つ目はロッテの事例で、狙いは小売店における菓子売り場の販売を増やすこと。しかし、POSデータでいつ何がどれほど買われたのかという情報は把握できるが、実際に顧客が来店してから購入に至るまでの経緯がわからないという課題があった。これまでは、売上に到達したり、商品を手に取ったという行動が定量的に把握することができなかったのだ。
「こうした課題に対しては、来客分析というサービスがあります。我々自らがプラットフォームを活用して運用するサービスで、売り場の通路などに多数のカメラを設置し、Vieurekaカメラで来店者の人数をカウントしたり、性別や年齢を推定したり、滞在時間を測定することで、販売機会の定量化を行ない、グラフや表で可視化して提供しております」(志賀氏)
このデータを元に売り場改善の施策を繰り返すことで、菓子売り場全体で前年同月比の売り上げを越えることができたという。
インタビュー動画に登壇したソリューション構築を担当するロッテの阿部秀高氏はVieurekaカメラについて語った。
「お客様第一ということで、エッジ処理でプライバシーに配慮した仕組みになっていて、低コスト、そして分析支援が非常に手厚いと感じました。Vieurekaの機能は全部活用しています。差分ヒートマップ(商品棚モニタリング)や人流カウント(人数カウント)、人流重畳分析(人流モニタリング)をそれぞれ組み合わせると、検証が線ではなくて面で繋がってきます。費用対効果は非常に高いです。小売業様の実績をアップできたということと、その中で確かな提案ができるという意味での信頼をいただけたということはプライスレスだと思ってます」(阿部氏)
2つ目はVieurekaの共創パートナーでもあるビーコアの事例。建設現場事務所は工事が終われば撤去するものなので、管理のためのICカードゲートの設置はコスト面で導入しにくいという課題があった。また、建設現場には作業員だけでなく、ゼネコンのオフィスで働く社員も視察に来るので、オフィスと現場で同じ仕組みで入退室を管理したいという要望もあった。
そこでビーコアが提供する人・位置管理サービスが活躍した。ビーコアが独自に開発したカラービットというタグをカメラで読み取ることで入退室管理を実現した。カラービットタグはカードだけでなく、布やヘルメットに貼り付けるためのタグとしても印字できるのが特徴。現場とオフィスの両方で同じ仕組みを導入することで、まとめて入退室を管理できるようになった。
ビーコア代表取締役社長 水野廉朗氏は入退場でのVieurekaカメラの事例を紹介した。
「われわれが開発したカラービットタグをVieurekaカメラで読み取らせて、何時何分に誰が入場したか、どのカメラの前を通過したか、ということを解析して、お客様に提供しています。今までかなり人力をかけてやっていたものがほぼ自動化され、とても簡単でコストも安いということで、エンドユーザー様には、非常に大きなインパクトがあると思っています」(水野氏)
3つ目はIoT.kyoto(KYOSO)の事例で、エンドユーザーはトーア紡マテリアル。不織布を製造する工場で不良品検知を強化したいのだが、過去に何度か高額なシステムを導入したがうまくいかなかったという。やってみなければわからない中、最初から高額な検査システムを導入するのは厳しいという課題があった。さらに、コロナ禍により、製造現場での実験を行なうことが難しいといった事情もある。
そこでパートナー企業であるIoT.kyotoは幅2メートルの不織布を4台のVieurekaカメラで監視し、小さな異色繊維の混入を検知するシステムを構築した。混入を検知すると、裏にあるパトランプが光るようになっている。すでにPoCは終わり、ラインでの実証検証フェーズに入っているという。
4つ目の事例は、パナソニックホールディングスが提供する「LIFELENS」というサービス。エンドユーザーであるHITOWAケーサービスは介護施設を運営しているが、夜間巡視の負担が大きいという課題があった。一夜勤あたり、担当者は約8キロメートル歩いたのと同じだけの距離の負担がかかるということが分かっているそう。
巡視するのは生活シーンなのでプライバシーに配慮しなければならない。そこで最初はセンシングデータを活用しようとしたのだが、うまくいかなかった。想定以上に、巡視作業は視覚に頼っていることが判明したのだ。そこで、Vieurekaカメラを活用する介護業務支援サービスを開発したという。
Vieurekaカメラを部屋に設置し、エッジ側でぼかし処理を施した映像を送ることで、遠隔でモニターをする側はプライバシーに配慮しつつも夜間巡視作業を行えるようになった。その結果77パーセントの削減効果が確認できたという。現在は、約1500床への導入が進んでいるそうだ。
Viurekaが選ばれる3つの理由 社会課題をエッジAIで解決
Vieurekaが多くの企業に選ばれる理由は3つあると志賀氏は語った。
1つ目が導入のしやすさ。VieurekaカメラならSORACOMのSIMを挿すだけで、ネットワーク工事が不要。PCもバックヤードも不要で、設置作業時間は10分の1程度に削減できるという。
2つ目がスモールスタート。IoT導入の難しさは、やってみないとわからない、という点にある。他の現場でうまくいったパラメータでも、別の現場ではうまく精度が上がらないことはよくあるのだ。そこで、まずは最小構成で導入し、PDCAを回した上で、本番導入へ進む。その際、Vieurekaカメラなら1台から導入できることがアドバンテージになるという。
3つ目がプライバシーへの配慮。カメラの中でエッジAI処理を行うことで、映像データはどこにも残さないことができる。その結果、顧客に対しては安心感を与えられ、顧客が導入する際の申請を通しやすくするという後押しにもなる。
「私たちVieurekaは、世の中に顕在化してきた多様な社会課題をエッジAIという技術により解決します。われわれは今後もパートナー企業との共創を進めることで、人に代わって働くエッジAIの社会のインフラ創造をさらに加速していきます」と志賀氏は締めた。
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