世界最大級のスタートアップキャンパス フランス「Station F」の裏側
2017年6月にフランス、パリにオープンした世界最大級のスタートアップキャンパス「Station F(ステーションF)」。筆者も工事中の時から度々訪問しており、日本でも多くのメディアが紹介している施設だ。だが、この「Station F」の最奥部にあるカフェ、レストランコーナーについて日本ではまだあまり知られていない。この「Station F」の裏側にある飲食ができるパブリックスペースについて詳しく紹介したい。
スタートアップシーンが盛り上がるフランスで象徴的な場となっているのが「Station F」。古い駅舎をリノベーションした建物は34000平方メートルを超え、幅約60メートルの建物が奥に300メートルほど続く細長い建物となっている。
一番手前のスペースがイベントスペースや、スタートアップを支援する団体や、会議スペースとなっており、中央がインキュベーターやアクセラレーター、スタートアップが入居しているスペースとなっている。
そして、そのさらに奥にあるのがFood Marketというレストランやカフェなどがあるゾーンとなっている。筆者は何度もこのViva Technology参加の際に訪れていたが、Food Marketがオープンしたのは「Station F」が開業から数年たっての2019年頃だった。その後、コロナ禍となりようやくオンラインでのイベントも本格的に開催されるようになってきたという次第だ。
Food Marketの中には、鉄道車両と、複数のレストラン、カフェ、バーがある。ほか他のゾーンのシンプルなデザイン空間とは異なり、ポップで賑わいのある空間となっている。
このエリアの大きな特徴はパブリックゾーンとなっていること。ほかのエリアはセキュリティが徹底されており、イベントへの参加者や入居者などでないと足を踏み入れることができない。視察に訪れたいという人も多いため、中に入るためのアポをとるのも難しいのだが、このFood Marketは周辺の市民など、誰でも足を踏み入れて飲食を楽しむことができる空間となっている。そのため「Station F」の雰囲気をちょっと見てみたいと観光でパリを訪れた際にも立ち寄れる場となっている。
電源をそなえたカフェスペースなどもあるので、少し作業をしてみる場として使ってみるのも良いだろう。
この空間の内部には、フランスのデビアレによる高級ワイヤレススピーカーが、さまざまな場所に設置されてリラックスさせる音楽が流れていた。余談だが、この「Station F」を創設したグザビエ・ニール氏はデビアレにも出資している
夕方は比較的空いていた「Station F」のFood Marketだが、別の日の夜に来たときには大盛況で席をとるのも難しいくらい混み合っていた。帰り際には入場待ちの人もいて、場合によっては入場制限が行われるようだ。
余談だが、パリでは市内では9割以上、ほとんどの人がマスクを着用しておらず、筆者が訪問したオープンイノベーションの世界的な展示会Viva Technologyにおいてもマスクの着用義務はなく、市内同様ほとんどの人がマスクをしていない状態であった。本格的にポストコロナに向けて社会が動き出す中、こうしたコミュニティーの中心となっていく場も今後、どんどんと活性化していきそうだ。