豪華ゲストを招いてのキックオフイベント
18時からはキックオフイベント「キックオフイベント in ホンダウエルカムプラザ青山」が開催され、Hondaのエンジニアのほか俳優の中尾明慶氏、レーシングドライバーの谷口信輝氏が登壇。シビックをテーマにしたトークショーが行なわれた。
谷口氏はシビックとの出会いについて「僕がレースを始めるきっかけとなったのがEGシビックでした。鈴鹿サーキットで行なわれていた鈴鹿クラブマンレースに、シートメーカー・ブリッドさんのカラーリングがされたクルマで出たことがきっかけでレースをやりたいと思いました。ですからレーシングドライバー谷口信輝を生み出したきっかけは、間違いなくEGシビックです」というと、前日に誕生日を迎えた1988年生まれの中尾氏は「先ほど谷口さんと話をしていて、ちょうどEGシビックのあたりからレースで盛り上がってきたという話を聞いて、あ、自分はそういう時代に生まれたんだなと。車を通して年代が語れるのはシビックならではだなと思いました」と語りました。
その後、開発者を交えたトークセッションで開発責任者を務めた山上氏は「Hondaの中でシビックに関わることは、プレッシャーと苦労でしかないですよ」と笑うと「クルマの開発は何万人という方が関わって1台ができ上がります。乗った方がニコッと笑ってくださるだけで救われるんですね。いい商品というのは、ジワジワとくるものだと思っています。買ってスグにいいねというのは、しばらくすると飽きちゃうのかなというのもあって。開発の時に話をしていたのは、また乗りたくなる、ずっと乗りたくなるシビックを目指したいねと言ったんですね」として、最新作は「爽快」をグランドコンセプトに掲げた。
「今、私たちは爽快シビックと掲げましたが、真ん中に人の文字がありますね。歴代のシビックは人を中心に作ってきたんです。乗り終わった後に、気分がよくなったり、ちょっと遠回りしたい、長く乗っていたいと思ってくださったらうれしいです」と話をすると、中尾氏は「僕は金八先生出身なので、なんか先生の授業を思い出しました」と笑いを誘った。
谷口氏は「最初は前の型にファンがいればいるほど、アンチが出てくるんですよ、絶対に。ですけれど、新しい物に染まっていくんです。そして前の物は過去のものだね、となるんです。ですから最初の頃は、開発者の思いは絶対に伝わらないですね」と言いながら「僕はガソリンの新型を乗った時に、すごくまとまっていると。このクルマを作った人は全体に目が行き届いていて、いい指導者(ディレクター)が味付けをしたなと感心したんです。僕はクルマが一心同体になれることが大切だと思うんです。そして僕は速いクルマを評価したいわけじゃないんです。いかに四隅まで自分とリンクできるかが大切なんです」と合格印を与え、第1部は幕を閉じた。
そしてエンジニアが変わり、2040年のクルマ社会の在り方とシビックの進化についてをテーマに話が進んだ。谷口氏は「欧州が色々なことを言って、引っ掻き回されている感はありますし、18年後のことは想像できないですよね」というと、電動化や自動化に及んだ。
中尾氏は「その時に、クルマの楽しさというのは残っているのかなと。残ってほしいですよね。どうやって残っているだろう」とポツリ。谷口氏は「2040年になると、マンガの世界ではクルマが空を飛んでいるんですよね。Hondaが、いの一番で飛ばしてくれないかなと思っていますけど」と笑いを誘った。そして「僕らが若い頃はクルマを持っていると女子にモテたんですよ。その流れをまたメーカーさんに作ってほしいですね。そうでないと若い子はクルマを買わないですよ。女子にモテるというエネルギーは大事なんです」と力説。
自動運転については「僕は街中は自動運転で、安全に走れる場所で思いっきり走る、というすみ分けが明確化するんじゃないかなと思いますね」。電動化については「まずインフラですよね。そこがすごく問題で。だから僕はハイブリッドはいいなと思っているんです。モーターのレスポンスの良さとガソリンスタンドの便利さというの。車とかモーターの性能は十分にいいんですよ。バッテリーですよね。今の問題は」と話をした。
参加者の一人である14歳の少年から「電動化や自動化によってクルマのコモディティーは進んでいくと思います。その中でHondaらしさというのはどこにあるのでしょうか?」という質問が。谷口氏は「きっとVTECモーターというのを期待しますね」と笑いを誘うと、エンジニアからは「運転の楽しさを残していることだと思います」という話が出た。
そしてSNSで募集した「未来のシビックについて期待すること」に対しての話が移った。その多くは軽量・コンパクトで低価格というもの。登壇者の多くは「確かに欲しいよね」という意見の一致はみたものの、谷口氏からは「今は安全基準とかがすごく厳しくてね」とポツリ。
最後にエンジニアのひとりが考える未来のシビック像が提示。それはあまり大きくなり過ぎずにコンパクト、キビキビ走るというテーマにしたというデザイン画。ユーザーの意見に耳を傾けたものだ。それを見て谷口氏は「スポーツシビック位の大きさかな。イイね! 完全にシャコタンツライチでひっぱりタイヤで。これは優勝だね」と笑顔を見せた。
期間中に展示車種は偶数代目にチェンジする予定とのこと。気になる方はHondaのウェブサイトでチェックして足を運んではいかがだろうか。