先日、海外の大手フォーラムである“Head-Fi”のリアルイベント「CanJam」がアメリカのシカゴで開催された。ここではその紹介ビデオやレポートから日本では未発売の新製品をいくつかピックアップして紹介する。
AUDEZE MM-500
「MM-500」はAUDEZE初のプロオーディオに特化したモデルとなる。MMの名称は高名なレコーディングエンジニアであるManny Marroquinから取られている。紹介ビデオのコメントによると「LCD-5」や「LCD-X」に対してトーンバランスを調整し直したバージョンのように思える。価格は1699ドル(約22万9400円)だ。
ZMF headphones Atrium/Auteur Classic
ZMF headphonesはフラッグシップクラスの「Atium」を案内した。特許出願中の「Atrium dumping system」を搭載してレゾナンス(残響音)を制御するとのこと。紹介ビデオのコメントによるとアナログのようなバランスの取れたサウンドだそう。価格は2499ドルだ(約33万7365円)。また、開放型の「Auteur」の改良型である「Auteur Classic」も発表されている。こちらは低域の調整が異なるようだ。
qdc Tiger
qdcは寅年を記念したユニバーサルモデルであり、新しいフラッグシップでもある「Tiger」を発表した。チタン製のシェルは視覚的に虎を思わせる大胆なデザインで、静電型2基とBA型6基の4Wayハイブリッドモデルだ。高音域は70kHzまで伸びるという。紹介ビデオのコメントによると、無人島にひとつだけ持っていくイヤホンならこれを選びたくなるとのこと。価格は1699ドル(約22万9400円)だ。
Wells audio Headtrip II
Wells Audioのヘッドホンアンプ「Headtrip II」は、スピーカー用のアンプをベースにしたヘッドホンアンプだ。50W/chはいかにもアメリカンな超パワフルアンプであり、ヘッドホンにはいささか過剰な気はするが、「HIFIMAN HE6」など超低能率の平面磁界型ヘッドホンのオーナーはこうしたアンプが欲しくなるようだ。価格は7000ドル(約94万5000円)。
また、紹介ビデオにはなかったが、当日のサプライズとして「RAAL Audio」がリボン型イヤースピーカーの新製品「CA-1a」を披露している。披露されたCA-1aはプロトタイプのようで外観の評判は良くなかったが、音については低音域に特徴があるようだ。製品ページも用意されている。
当日はセミナーもいくつか開催された。この連載でも紹介した“Knowledsカーブ”をベースの話題にしつつ、ジェリー・ハービー氏なども招いたBA型ツィーターの話題はその中でも特に興味深いものだった。MEMSスピーカーとBA型ドライバーの関係を絡めつつ、将来のイヤフオンのカタチを考察するのも面白いのではなかろうか。

この連載の記事
- 第139回 M2搭載MacBook Airのオーディオ性能は?
- 第138回 Astell&KernとCampfire Audioの独創的なコラボ、「PATHFINDER」を聴く
- 第137回 Pixel Buds Proの発売は7月28日、Nidhi Rathi氏が技術を語る
- 第136回 『ウルトラセブン』& final ZE3000 「ウルトラ警備隊モデル」を聴く
- 第135回 Windowsのメディア プレーヤーでCDリッピングが可能に、なぜかApple Losslessにも対応
- 第134回 Bluetooth SIGが「LE Audio」の規格策定作業が完了したと発表
- 第133回 ポタ研 2022夏が開催、約2年半ぶりのリアル開催
- 第132回 Appleが超音波タッチセンサーの特許を取得、応用先はMRゴーグル?
- 第131回 LE Audioをめぐるアップルの対応は? 可能性はこの秋以降の次世代製品
- 第129回 買収、倒産など、統廃合が進むオーディオ業界、あのブランドも……
- この連載の一覧へ