VIDEOGRAPHERS TOKYO 2022、サムスンブースレポート

サムスンが提案する汎用SSDの活用で大容量、高速化と4K8K収録の高コスパワークフローを実現

文●貝塚 編集/ASCII

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カメラに直接取り付けられたサムスンのポータブルSSD「Samsung T7 Shield」

カメラからSSDに直接撮り溜めるという発想

 6月10日、11日に開催されたVook主催のイベント「VIDEOGRAPHERS TOKYO 2022」。今回で3回目の開催を数える同イベントでは、複数メーカーが講演を行なったほか、撮影機器やITソリューションのメーカーが数多く出展した。

VIDEOGRAPHERS TOKYO 2022のサムスンブースの様子

 会場奥で一際人気を集めていたサムスンのブースでは、「ビデオグラファーの創造性を刺激するストレージ環境」をテーマとして、同社のストレージ製品を撮影や編集のフローに取り入れた、映像制作向けの環境を紹介。主な展示内容は以下となっていた。

  • ・汎用SSDを用いた高コスパ4K8K RAW収録
  • ・Thunderbolt 3接続の大容量SSD RAIDストレージによる高速バックアップ
  • ・超高速NVMe RAIDストレージ搭載のWindows PCでマルチストリーム編集

 特に印象的だったのが、アタッチメントを用いてサムスンのポータブルSSDを固定したカメラだ。

Blackmagic Pocket Cinema Camera 6K Proに、アタッチメントを用いてSamsung T7 Shieldが装着されている

 これはBlackmagic Design製のカメラ「Blackmagic Pocket Cinema Camera 6K Pro」や「Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K」が、USB Type-C端子経由で外付けメディアへRAW規格「Blackmagic RAW」を記録できることを活かしたアイディア。

こちらはBlackmagic Pocket Cinema Camera 4KとSamsung T7 Shieldの組み合わせ

 通常、撮影データはSDやCFast、CFexpressカードに記録することが多い。これらのメディアはそれほど容量が大きくなく、大きくても512GBや1TBといった程度。映像編集のフローに組み込む場合、自ずと、データ保管用のSSDやHDDにデータを置き直したり、撮影ごとに編集用のPCにデータを移し、メモリーカードを空にする必要が出てくる。

SSDから直接PCにバックアップできれば、速度面にもメリットがある

 だが、USB Type-CでSSDに直接データを書き込んでいけば、撮影時の書き込み用ストレージとデータ保管用のストレージを兼ねることができ、作業は効率化する。「データを移す」という手間をカットして、すぐに編集に入れるのだ。また、CFastやCFexpressカードと比較した場合、容量あたりの価格が抑えられる点もメリットになる。

メモリーカードと比較すると、コスト抑制効果も高い

2TBでも45分しか撮れない8K60p RAW動画も汎用SSDで記録できる??

ZITAYの「CFexpress to SSD Converter Adapter」をニコンのZ9と組み合わせ、Samsung 980 PROに直接保存できるようにしている

 「そうか、でもType-Cから直接書き込めるカメラじゃないと、このワザは使えないのか……」と思ったあなた。諦めないでほしい。

 すぐ隣で展示されていたのが、ZITAYの「CFexpress to SSD Converter CS-305」(以下、ZITAY CS-305)という製品を用いて、Samsung NVMe SSD 980 PROをニコンのZ9にマウントしたサンプルだ。

 ZITAY CS-305は、CFexpress Type Bのダミーカードをスロットに差し込むことで、NVMe M.2タイプの高速SSDを接続できるようにした製品。高価なCFexpressカードの代わりに汎用のNVMe SSDを活用して高速性能と大容量化、高コスパを実現する。

先端がCFexpressの形状を持っており、CFexpressスロットに差し込むだけで利用できる

ニコン Z9のモニター。アダプター経由で980 PRO 2TBが装着されているが、8.3K 60p N-RAWの記録可能時間は45分40秒となっていた

 なんとも飛び道具的な発想だが、SSDを接続してCFexpressスロットに差し込むだけと手軽に利用でき、安定性も高いようだ。

 さらに、SSDに記録した映像をバックアップSSD RAIDユニットに移し、そのデータをSSD RAID搭載のPCで映像編集するという流れが、ブーステーマのワークフローとして紹介されていた。

 4K8K RAW動画収録では、テラバイトクラスの映像ファイルが簡単に生成されてしまうので、データバックアップや編集の際のデータの取り込みにおいても転送速度と容量が重要になってくるだろう。

 この日のブース展示では、SATA SSDで最大24TBの大容量に対応したThunderbolt 3接続のRAIDストレージやインテル「Core i9-12900K」のPCグレードの環境ながら、NVMeソフトウェアRAIDで19GB/sの高速性能を実現した編集マシンなどSSDの可能性を大いに感じられた。

 サムスンの高速なSSDの性能をクリエイティブな分野で活用することで、創造性をブーストさせるという考え方は、ASCII.jpでも特集してきた。

 来場者からの反応も好評だったようで、ブース担当者によれば、「こんなSSDの使い方ができるなんて知らなかった」といった声が聞かれたそうだ。映像制作業は小規模だったり、個人経営だったりするケースも多く、ビジネスにおいてお金はもちろんのこと、時間も大切な資本。ワークフローに汎用のSSDを用いることで効率化と高コスパが両立できるという発想は、多くの来場者の胸を射止めたようだ。

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