このページの本文へ

連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第36回

IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 6月11日~6月17日分

エネルギー価格高騰で在宅? 出社?、米大手CEO報酬は前年比15%増、国内クラウド市場、ほか

2022年06月20日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えしています。

 今回(2022年6月11日~6月17日分)は、好調な国内クラウド市場、エネルギー価格高騰が働く場所に及ぼす影響、米大手企業のCEO報酬の増加、コロナ禍を受けたCX/CRM市場の変化、自家用車に対する意識についてのデータを紹介します。



■[クラウド]2021年の国内クラウド市場は前年比34%増、市場規模は2026年に2.6倍に(IDC Japan、6月14日)
・コロナによる減速から回復、2021年は前年比34%増
・2021年~26年までCAGR(年間平均成長率)21.1%で成長
・DX/データ駆動型ビジネスへの投資が大幅増、市場規模は1兆円越え

 2020年は新型コロナにより成長がやや鈍化したが、2021年は回復。市場規模は前年比34.7%増の4兆2018億円となった。2021年~26年までのCAGR(年間平均成長率)は21.1%と予想している。成長を牽引したのはパブリッククラウドで、クラウドファーストの動き、従来型ITからクラウドへの移行のプロジェクト期間の短縮などの要因を挙げている。DX/データ駆動型ビジネスへの関心が高く、今後の成長を牽引すると予想している。

国内クラウド市場、青はDX/データ駆動型ビジネス、緑はリプレイスメント/効率化(出典:IDC Japan)



■[生活][働き方]エネルギー価格の高騰が在宅とリモートの両方に影響(シトリックス・システムズ・ジャパン、6月15日)
・ガソリン代を抑えるために在宅勤務を増やす人が増加
・一方、光熱費を抑えるためにオフィス出社したい人も増加
・20%が「生活費上昇のため、今年は昇給を希望する必要がある」と回答

 CitrixとOnePollによる働き方に関するグローバル調査「Return to Work」より。10カ国、6500人が対象。ガソリン、光熱費などのエネルギー価格が世界的に高騰しているが、日本では北海道や東北地方など自動車通勤が多い地域で、ガソリン代を抑えるために出社を控えたいという人が増えていることがわかった。一方、自宅の光熱費を抑えるために出社したいという人も増えており、近畿・関西では28%が出社を「増やす/増やしたい」と回答した。世界的には、自宅の光熱費削減で出社を「増やす/増やしたい」という回答比率が最も大きかったのはフランスで、43%がそう回答している。

自宅の光熱費を抑えるために「出社の頻度を増やす/増やしたい」人は近畿・関西で28%、ガソリン代を抑えるために「在宅の頻度を増やす/増やしたい」人は東北で35%だった(出典:シトリックス・システムズ)



■[人事]2021年の米国大手企業CEOの報酬は前年比15%増、過去7年で最速の増額ペース(タワーズワトソン、6月17日)
・2021年の米国大手企業CEOの報酬は前年比15.7%増
・2014年以降で最速の増額ペース
・変動報酬へのESG指標組み入れも進む

 Willis Towers Watson(WTW)が、S&P1500企業のうち4月末までに報酬開示を実施した主要企業500社を対象に調査。2021年の大手企業CEO報酬は前年から15.7%増加と、2014年以降で最速の増額ペースとなった。内訳として、基本報酬は前年比2%増、年次賞与は同39.3%増など。2021年の平均賞与支給率は基準比145%で、2020年の97%から大きく増加した。2021年はCEO報酬が急回復した年となり、多くの企業や投資家にとって財務面で良い年となった、と同社はコメントしている。



■[CRM][CX]国内CRM市場は前年比13%増、CX市場も12%増と好調(IDC Japan、6月15日)
・2021年の国内CX関連ソフトウェア市場は前年比12.5%増、5444億円に
・国内CRMアプリケーション市場は前年比13%増、1812億円に
・2021~26年のCAGRはCX関連ソフト市場が8%、CRMアプリ市場は10%

 国内顧客エクスペリエンス(CX)関連ソフトウェア市場、国内CRM(Customer Relationship Management)アプリケーション市場の予測。コロナ禍を受けた顧客接点のデジタル化浸透と選択肢の拡大などが後押しし、2021年は両市場ともに前年比2桁成長を遂げた。ポストコロナに向けてカスタマージャーニーを通じたCX向上が課題となるほか、リモート/ハイブリットワークなどの働き方改革によるCX関連フロントライン業務の生産性向上なども優先的な取り組み課題になるとしている。

国内CX関連ソフトウェア市場の2020年~26年の予測(出典:IDC Japan)

国内CRMアプリケーション市場の2020年~26年の予測(出典:IDC Japan)



■[生活]東京23区の6割が「自家用車は不要」、EVの購入意向は低め(デロイト トーマツ グループ、6月15日)
・東京23区の6割が「自家用車は不要」、政令都市以外は5割が「1人1台」
・車の購入で重視するのは「車両購入価格」「燃費・燃料費」
・PHEV(プラグインハイブリッド)・EVはまだまだ少数派

 国内約2000人の消費者を対象に、自家用車の保有動向と購入に関する実態を調査し、「2022年 次世代自動車に関する消費者意識調査」としてまとめた。調査期間は2022年4月~5月。自家用車の必要性については地方偏重の結果に。6割が不要と回答した東京23区をはじめとした政令都市では必要性を感じる回答が少ないのに対し、政令都市以外の地方在住者は「1家に1台」が約7割となった。車両選定にあたっては、環境や先進機能よりも保有のトータルコストが重視される傾向が明らかになった。調査では、「購入予定がある人の大半は、ガソリン車あるいはハイブリッド車(HEV)を選択」としており、EVについては一定の関心はあるものの購入意向は低いという。

自家用車の必要性は都市と地方で分かれた(出典:デロイト トーマツ グループ)

購入予定の車としては、全国的にガソリン車が多数派。EV、PHEVは都市部で少し多い程度(出典:デロイト トーマツ グループ)

カテゴリートップへ

この連載の記事