2022年6月15日、インターネットイニシアティブ(IIJ)はユーザー拠点とクラウドサービス間を広帯域で、かつ柔軟に接続できる「IIJプライベートバックボーンサービス/Smart HUB(以下、Smart HUB)」を発表した。
クラウドトラフィックの増加でネットワークの役割が変わる
今回発表されたSamrt HUBは、この数年でクラウド活用が本格化し、新型コロナウイルスによるワークスタイルのシフトにより、大幅にトラフィックが増大したことがサービスの起点となっている。発表会に登壇したIIJ ネットワーク本部ネットワークサービス2部長 小野原 雄平氏は、「増大するクラウド利用にネットワークが追従できていない。システムのクラウド化が進み、導入当初は考えていなかった問題が次々と顕在化している」と指摘する。
これに対して、Smart HUBは従来の安定性、セキュリティといったニーズのほか、広帯域、柔軟性などの新たなクラウドニーズにも応える。最大100Gbpsのクラウド接続に対応し、帯域はコントロールパネルから10Mbps単位で自由に割り当てることができる。また、東京と大阪(10月以降)にリージョンに用意されており、リージョン間の通信はプライベートバックボーンを用いるため、セキュリティや通信の安定性も高い。通信費用は不要で、東西での冗長化ニーズにも応える。
基本機能としては各リソースの設定を変更できるコントロールパネル、最大100Gbpsまでの設定可能な帯域プール、IIJプライベートバックボーン接続が提供される。また、オンプレミス接続ポート、クラウド接続ポート、NAPTやファイアウォールなどがオプションとして用意されている。
広帯域を前提に新基盤を構築 SDNも仮想ルーターも刷新
もともとIIJは2015年からさまざまな機能をクラウド上から提供しており、NFVと呼ばれるネットワークの仮想化サービスに関しても高い実績を持っている。今回は、シスコシステムズのデータセンター向けSDNソリューションである「Cisco ACI」を採用し、広帯域接続に特化した新基盤「IIJ VX(IIJ Vitualization eXchange)」を構築。ユーザー環境からクラウドサービスへの広帯域接続を実現した。
また、従来ボトルネックが存在していた仮想ルーターも、ジュニパーネットワークスの仮想ルーターである「vSRX仮想ファイアウォール」の導入によって広帯域化を実現。従来、物理的なルーターに複数のユーザーを収容していたことから生じていた運用上の制限や機能拡張の制約を、ユーザー単位の仮想ルーターに収容することで削減。仮想ルーターから物理NICを直接マウントさせることで、仮想ルーターのボトルネックを回収することも成功しているという。
用途としては、既存のネットワークとSmart HUBを接続し、クラウド接続だけブレイクアウトさせたり、AWSとAzureなどにつないだクラウド接続ポートで柔軟に帯域と付け替えるといった利用が想定されている。もちろん、既存のIIJサービスとの接続されているため、最適なデジタルワークプレース環境を構築できるという。