ストリートファイターリーグ:Pro-JP 2021優勝!「v6プラス FAV Rohto Z!」チームの2選手と「v6プラス」を語る
オンライン対戦が増えるなかで、プロeスポーツ選手はどう戦っている?
KADOKAWA Game Linkage(以下、KGL)がチームオーナーを務める「v6プラス FAV Rohto Z!」が、2021年10月から4か月間にわたって開催された「ストリートファイターV チャンピオンエディション」のチームリーグ戦「ストリートファイターリーグ:Pro-JP 2021」(以下、SFL: Pro-JP 2021)で、見事に優勝を果たした。
SFL: Pro-JP 2021は、企業8社がそれぞれのオーナーチームに4名のプロeスポーツ選手を招き、リーグ戦とプレイオフ、グランドファイナルを経て優勝チームを決めるという日本最高峰の対戦格闘ゲームリーグ。優勝したv6プラス FAV Rohto Z!チームには、同じくKGLが運営するプロeスポーツチーム「FAV gaming」所属からsako選手とりゅうせい選手の2名が参加した。
今回は優勝を記念して、sako選手とりゅうせい選手、そして同チームやFAV gamingのスポンサーとして選手や大会運営をサポートしてきた「v6プラス」の提供元、JPNE(日本ネットワークイネイブラー)取締役の辻中伸生氏の対談をお届けする。優勝の報告やリーグ戦の振り返り、eスポーツにおける通信回線の重要性など、話題は多岐にわたった。
「優勝候補」と呼ばれるプレッシャーをはねのけてSFL: Pro-JP 2021を制覇
辻中氏:まずは、あらためてSFL: Pro-JP 2021の優勝おめでとうございます。今回のチームにはすごい選手が集まっていたので、大会前からファンの期待値も非常に高かったようですね。そのプレッシャーは感じましたか?
sako選手:ありがとうございます。おかげさまでSFL: Pro-JP 2021を制することができました。
プレッシャーについては、メンバーが発表されたときから「あのチームズルくない?」とか「強すぎてバランスが崩れている」といった声は多く聞こえてきました。ただ、今回はチーム名に「v6プラス」と「Rohto Z!」のブランド名を掲げて戦ったので、「負けるわけにはいかない」という強い思いがありました。また団体戦なので、自分が負けるとチームに迷惑がかかるという意味でのプレッシャーも大きかったです。
実際に戦ってみると接戦続きで大変でしたが、チームで練習方法を工夫してレベルアップしたり、スポンサーさんの応援もいただいたりして勝つことができました。プレッシャーをはねのけての勝利だったので、今回の優勝は特にうれしかったです。
sako選手
1979年4月9日生まれ/鹿児島県出身(3歳~大阪育ち)/Twitter:@sakonoko
世界有数のテクニックを持つ技巧派プロプレイヤー。国内外の数々の大会で好成績をおさめ、2013年にはCAPCOM公式世界大会、CAPCOM CUP優勝で初代世界王者となる。
○おもな戦績
・CAPCOM CUP 2013 優勝(スーパーストリートファイターIV AE Ver.2012)
・SoCal Regionals 2018 優勝(ストリートファイターV AE)
・EVO Japan 2020 3位(ストリートファイターV CE)
・ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2020 優勝(ストリートファイターV CE)
・CAPCOM Pro Tour 2021 日本大会 2 準優勝(ストリートファイターV CE)
・ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2021 優勝(ストリートファイターV CE)ほか
辻中氏:普段の個人戦とはまた違うプレッシャーがあったのですね。
りゅうせい選手は、日本を代表するベテラン選手が集ったv6プラス FAV Rohto Z!の中で、唯一と言ってもいい若手選手でしたが、そういった意味でのプレッシャーはありましたか?
りゅうせい選手:もう、プレッシャーしかありませんでしたね(笑)。sakoさんをはじめストリートファイターシリーズで実績のあるスター選手ばかりなので、「このチームが負けるとしたら、自分が足を引っ張るかたちになるだろう」という不安が常にありました。
そうした不安に打ち勝つために、今回の試合には「これで負けたら仕方がない」と思うくらい練習を積み重ねたうえで望みました。優勝が決まったときは本当にうれしかったですし、それ以上に安心しましたね。
りゅうせい選手
1994年1月1日生まれ/埼玉県出身/Twitter:@RYUSEI_CARL
「ブレイブルー」シリーズで数々の大規模大会で優勝を経験。2017年は世界最大規模の格闘ゲーム大会EVO 2017で世界王者に輝く。その後、より大きな戦いの舞台を求めて「ストリートファイターV アーケードエディション」に参戦。
○おもな戦績
・EVO 2017 優勝(BLAZBLUE CENTRALFICTION)
・EVO 2018 9位(ストリートファイターV AE)
・Blink All Star Challenge: Japan 準優勝(ストリートファイターV CE)
・ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2020 準優勝(ストリートファイターV CE)
・FAVCUP2021 sponsored by v6プラス 優勝(ストリートファイターV CE)
・ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2021 優勝(ストリートファイターV CE)ほか
sako選手:練習以上のパフォーマンスを本番で出すことはできませんが、可能なかぎり100%の力を発揮できるように、普段の練習はすごく大事にしています。
辻中氏:実は、大変な苦労の中で勝ち取った優勝だったのですね。
今回の大会自体も、準決勝、決勝ともに4巡目までもつれ込む熱戦が繰り広げられ、その末の逆転勝利だったので、私も見ていてハラハラしました。観戦しながら思わず声を上げてしまいましたし、純粋に「eスポーツって面白いな!」と思わせる大会でした。
りゅうせい選手:ありがとうございます。僕たちも自分のプレイで喜んでもらえることは励みになりますし、さらに多くの人に見てもらいたいと思っています。
自宅でのオンライン対戦が増え、安定した通信回線の必要性を実感
りゅうせい選手:今回のSFL: Pro-JP 2021はリーグ戦からプレイオフまではオンライン、グランドファイナルはオフラインで開催されました。新型コロナウイルスの影響もあり、最近ではSFLに限らず2020年ごろからオンライン大会への変更が増えて、僕たちeスポーツ選手を取り巻く環境も大きく変化しています。
sako選手:そうですね。オンライン大会中は「Discord」でチーム内のコミュニケーションを取るだけでなく、配信の声も聞く必要があり、揃えなければいけない機材も増えてきます。余計なストレスを極力減らしたいなかで、通信回線の品質はとても重要です。今回の大会ではv6プラスの回線を用意して臨みましたが、とても快適で、プレイに集中することができました。
りゅうせい選手:sakoさんは、v6プラスに変える前後で体感的に変化を感じたことはありますか?
sako選手:以前は、多くのユーザーが一斉に接続する夜のピーク時間帯に配信をすると、どうしても落ちたりしていましたが、v6プラスに変えてからは一切なくなりました。時間帯に関係なく、スピードが安定した回線を常に利用できるという安心感は大きいと思います。――りゅうせいはオンラインで大会に参加してみてどうでしたか?
りゅうせい選手:僕の自宅はもともとインターネット環境がなく、普段の練習はオフラインばかりでした。チームに相談して初めて引いた回線がv6プラスだったのですが、最初から何の問題もなくオンラインでのプレイに切り替えることができました。
オンラインの大会が増えたので、プレイヤーは自宅から参加して勝たなくてはなりません。回線が混み合う夜間でも安定してプレイできる環境は、eスポーツに欠かせないものになったと思います。
辻中氏:v6プラスは、さまざまなプロバイダー(ISP:インターネットサービスプロバイダー)を通じてサービスを提供するものなので、一般のエンドユーザーの方に直接知っていただく機会が少ないのが課題でした。FAV gamingのスポンサーになってからは、ハイエンドのゲーマー、熱心なゲームファンを中心に、ブランドとしてのv6プラスの認知度が上がってきたと実感しています。
sako選手:FAV gamingだけでなく、ほかのチームの選手からも「v6プラスを使っている」という話を耳にするようになりました。もちろんプロゲーマーではない方も、自宅のネット回線は安定しているほうが、よりゲームを楽しめますよね。
いつでもゲームを楽しめるように、業界をあげて取り組む
辻中氏:業界全体の話になりますが、ゲームがネット回線のインフラに大きな負荷を与えるケースも出てきています。
ゲームのプレイ中にはそこまで大きなトラフィックは流れないのですが、最近ではさまざまなゲームがインターネットを通じてダウンロードされるかたちになっています。ゲームのデータサイズも非常に大きくなり、タイトルによっては数十GBになることもありますよね。そのため、人気のゲームがサービスを開始したり、アップデートがリリースされたりしたタイミングで一斉にダウンロードされると、一時的につながりにくくなる現象が発生します。
りゅうせい選手:これまで意識したことはありませんでしたが、そういう影響があるのですね。その現状を改善する方法はあるのでしょうか?
辻中氏:まずJPNE自身では、そうしたトラフィックでもネット回線がパンクしないように、設備の増強を続けています。
さらに総務省や通信事業者、ゲームの開発企業など、業界全体で協力して「回線に負荷がかかるイベントがいつ発生するか」という情報を共有するようになりました。たとえば、ゲームのリリースタイミングが大会とかぶらないよう調整したり、インターネット利用のピーク時間を避けて深夜や昼間に公開したりするといった方法で、トラフィックの負荷を分散させています。
さらに、ダウンロードサーバーを東京に一極集中させるとアクセスが集まってパンクするリスクが増えるので、キャッシュサーバーを地方に置くことで、トラフィックを分散させるように業界をあげて取り組んでいます。
sako選手:なるほど、僕たちがオンラインでも問題なくeスポーツを戦えている裏側では、皆さんの努力があったのですね。
FAV gamingもプロのeスポーツチームとして、そうした問題の解決に協力できることを考えていきたいです。参加している競技タイトルのゲームメーカーさんやステークホルダーの皆さんとも密接な関係を築かせていただいているので、何かトラフィックの偏りを解消できるお手伝いができればと思います。
(提供:日本ネットワークイネイブラー)