マランツでは「今までのオーディオ製品では、CDなどのプレーヤーと一緒に組み合わせるプリメインアンプが同時に発表され、コンビでラインアップするのが通常だった。しかし、オーディオのニーズが多様化する中、同じ価格帯でも多様化したアンプを設定することが増えており、CDについても新しいあり方を考えて企画すべきだ」と考えているそうだ。
CD60は既発売のMODEL 30やMODEL 40nと高さ、幅、奥行きを同じにしており、統一感を出している。CD60と組みあわせるアンプとしては様々な選択肢が取れる。例えば、CDを中心に楽しむのであれば「MODEL 30」や「PM8006」。ネットワーク再生を中心に楽しみつつCDも楽しむのであれば「PM7000M」「MODEL 40n」「NR1200」など。将来的にはMODEL 40nよりもさらに下のグレードの機種との連携も想定しているという。
新筐体はMODEL 30と比較した場合、両サイドにアルミ、上部にスチールを使用した3ピース構造ではなく、コの字型で一体化したスチールトップカバーになっているという違いがある。フット部やフロントパネルは一緒。両サイドの光るイルミネーションは省略している。4桁型番よりも厚みを強化して頑丈な筐体にしている。
音質面で重要なDAC機能については「ESS9016」を搭載。最新ではないが十分に高性能なチップであり、マランツオリジナル開発のフィルターを適用している。この「Marantz Musical Digital Filtering」は2種類のパラメーターがあり、標準がHi-Fi調のスローロルオフ。もうひとつがアナログ調のシャープロールオフ/ショートディレーとなる。アルゴリズム的には、マランツオリジナルDACを搭載する上位機の「MMM-Stream」と同じものだそうだ。
これ以外に、低ひずみなアナログ回路(低歪HDAM=改良型)を採用。チャンネル当たり、3つのJFETを追加している。従来比で約3割ほど低ひずみ化に貢献しているという。
サウンドマネージャーの尾形氏によると、組み合わせるアンプの選択肢が多いということもあり、想定するアンプに合わせた特性ではなく、よりフラットな特性にしているという。機能性は敢えて追求せず、音質への集中に注力したという。
内部の構成は既存の8006とほぼ同じだが、音の方向性は変えており、特殊な用途でなければこれで十分という本当のHi-Fiの音作りをしたとする。鮮度感が高く、フレッシュ感のある再生にもこだわっている。「高いS/N感、サウンドステージなどを、ピュアなHi-Fiとして楽しめるアプローチを取っている。組み合わせるスピーカーやアンプのグレードを鑑み、マッチングを考えて音を調整したというわけではない」(尾形氏)。
実際、CD再生のみで10万円を支払う人はかなりこだわりがある人だとマランツではとらえており、ケーブル交換やインシュレーターの利用など、些細な使いこなしの変化にも敏感に反応し楽しめる機種を目指したという。
本体サイズは幅442×奥行き396×高さ129mmで、重量は8.0kg。アナログ出力、同軸/光デジタル出力端子、ヘッドホン端子などを装備。本体にはリモコンが付属する。