このページの本文へ

連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第31回

IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 5月7日~5月14日分

Kubernetesの本番運用拡大で求められるツール、Excelスキルと残業時間の関係、ほか

2022年05月16日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えしています。

 今回(2022年5月7日~5月14日分)は、Kubernetesクラスタ運用拡大の実情、国内人材管理市場の成長理由、SDN/ネットワーク仮想化市場推移、バックオフィス業務とExcel、カスタマーサクセスの認知度についてのデータを紹介します。



■[コンテナ]Kubernetesクラスタの数が急増、運用管理が課題に(ヴイエムウェア、5月9日)
・Kubernetesクラスタ(運用中)の数は「51以上」が29%
・Kubernetes導入の要因は62%が「アプリケーションの柔軟性向上」
・運用上最も重要なツールは「データセキュリティ、保護、暗号化」が36%でトップ

 従業員数1000人以上の企業でKubernetesの担当者を対象とした調査。デプロイされているKubernetesクラスタの数は「51以上」が29%で最多、来年度の計画についても48%の回答者が、運用クラスタ数は「50%以上増加予定」だと回答した。Kubernetes導入要因を聞いたところ「アプリケーションの柔軟性向上」(62%)、「クラウド利用率の向上」(59%)などが多く挙がった。運用で最も重要なツールは「データセキュリティ、保護、暗号化」(36%)、「クラスタのライフサイクル管理」(34%)など。クラスタの成長とマルチクラウド利用によってKubernetesの運用が変化しており、「経験や専門知識の欠如が課題になっている」とまとめている。

過去の同調査と比較すると、Kubernetesのクラスタ数は急成長している(出典:ヴイエムウェア)

Kubernetes環境が大規模化した影響で、運用管理ツールが必要とされていることがわかる(出典:ヴイエムウェア)



■[人事]国内人材管理市場は100億円規模を突破、働き方改革が後押し(アイ・ティ・アール、5月12日)
・人材管理の市場規模は2020年度、126億円
・2021年度の見込みは前年度比28.5%増
・2020~2025年度のCAGR(年平均成長率)は17.9%で成長を予測

 国内の人材管理市場規模について調べた調査。2020年度は126億円規模で、2019年度の97億円から増加した。引き続き、2021年度には前年度比28.5%の増加(165億円)を見込み、2030年には300億円規模に達すると予測している。右肩上がりに成長する背景にある要因は、「テレワークの普及」、時短勤務、限定正社員など「新たな雇用形態の発生」、ワークライフバランスの浸透による「勤務スタイルの多様化」、「人材の流動化」など。企業は人材管理の仕組みを導入して、個々の従業員がもつスキルの把握、生産性の向上につなげようとしている。

国内人材管理製品・サービス市場は2025年度、2019年度の3倍を上回る規模になると予想(出典:ITR)



■[仮想化]2021年のSDN市場規模は438億円、クラウドファーストを背景に今後の成長率は“微増モード”に(IDC Japan、5月11日)
・2021年のネットワーク仮想化/自動化市場規模は438億円
・データセンターSDNの2021~26年度CAGR(年平均成長率)は2.8%
・企業LANにおけるSDNの2021~26年度CAGRは3.1%

 SDN(Software-Defined Network)などのネットワーク仮想化/自動化市場(国内)に関する予測。データセンター内のネットワーク仮想化/自動化は、2020年の投資停滞の反動で2021年は8.5%の増加となったが、2022年以降は「緩やかな成長」に転じると予想。SDNは定着しつつあるものの、クラウドファーストによりデータセンターへの投資優先度が下がっていることから、2021~26年のCAGRは2.8%と予想。企業LAN側でも市場が安定化しつつあり、2021年~28年のCAGRは3.1%と予想する。両分野を合計した同期間のCAGRは3%とみる。

国内ネットワーク仮想化/自動化市場(2020~2026年)の売上額と成長率予測(出典:IDC Japan)



■[働き方][DX]バックオフィス業務とExcel、Excelスキルが高いと残業時間が延びる?(すごい改善、5月10日)
・月次の集計作業・レポーティングにかかる時間は平均月26.5時間
・ExcelのSUMIF関数が使える人は残業が多い傾向
・Excelを使うバックオフィス業務トップ3は「請求書・入金管理」「振り込み一覧表」「資金繰り管理」

 20代~50代の男女350人の社会人を対象にした調査「バックオフィス業務とExcel」より。クラウドサービスの導入も増えているが、バックオフィスでは相変わらずExcelが多く使われている。Excelを使う業務としては「請求書の発行・入金管理」(34%)、「振り込み一覧表の作成」(28%)など。月次の集計作業に費やす時間は月平均26.5時間で、「月40時間以上」という回答者も16.9%いた。Excelの代表的な関数(IF、SUM、SUMIFなど)の理解度を5段階に分類して残業時間をみたところ、重要度の高いSUMIF関数が使える人ほど残業時間が多いことがわかった。「スキルの高い人に業務が集中している」可能性を指摘している。

月次集計・レポーティング作業に費やす時間(出典:すごい改善)

SUMIF関数の理解度が高い人(濃い緑)は、まったく知らない人(薄い緑)に比べて残業時間が多い傾向が見られた(出典:すごい改善)



■[経営]「カスタマーサクセス」の認知率が低下、「取り組み推進」と「知らない人」の二極化進む(バーチャレクス・コンサルティング、5月10日)
・「カスタマーサクセス」という言葉を聞いたことがない人は16.6%
・「カスタマーサクセス元年」の2018年から4年経っても、理解している人は2.6%にとどまる
・「カスタマーサクセス」の取り組み、「担当者あり」が微減で「必要性を感じない」が増加

 今年で4回目となる、カスタマーサクセスに関する年次調査。20~65歳の約2万4000人を対象に聞いた。カスタマーサクセスという言葉を「聞いたことがある」は16.6%で、昨年の18%から微減。「カスタマーサクセス元年」と言われた2018年から4年連続で、「聞いたことがない」人が8割を超える結果となった。さらに言葉の意味を理解している人はわずか2.6%となり、過去4年間でも最低の結果だった。勤務先に「カスタマーサクセスに取り組む部署または担当者がある/いるか」をたずねたところ、「ある/いる」は49.1%で昨年より減少、逆に「取り組みの必要性を感じていない」は昨年の15.3%から増えて16.2%になった。

「カスタマーサクセス」を聞いたことがない人は4年連続で8割を超える(出典:バーチャレクス・コンサルティング)

「カスタマーサクセス」を認知している人に取り組み状況を聞いたところ、二極化が進んでいることがわかった(出典:バーチャレクス・コンサルティング)

カテゴリートップへ

この連載の記事