RX 6500 XTをさらにスケールダウン
まずはRX 6400のスペックを確認しよう。Radeonにおける描画性能を決めるCU(Compute Unit)の数は12基であり、さらにコア/メモリークロックともにRX 6500 XTよりも抑えられている。反面Board Powerは53Wと現行GPUでは最も低い設定になっているためPCI Expressスロットからの電力供給だけで動作するのがメリットだ。RDNA 2世代なのでDXR(DirectX Raytracing)にも対応するが、Ray Acceleratorが少ないのでゲームでのレイトレーシングは“辛うじて動く”程度である点は覚えておきたい。
「GPU-Z」でRX 6400のテスト用カードの情報を拾ってみた。「Bus Interface」の表示はPCI Express Gen4対応GPU(図ではRyzen 5 5600X環境)でのものだが、Gen3対応のCPUの場合は@以下がx4 3.0となる
RX 6400はRX 6500 XTのダウンサイズ版であるため、設計的な特徴もRX 6500 XTと共通だ。即ちメモリーバス幅は64bit、インターフェースはPCI Express Gen4のx4という足回りの細さ、上位Radeonには搭載されている動画エンコーダーは非搭載……といったものだ。
ゲームを高画質で遊んだり録画やストリーミングでシェアすることを考えているなら、迷わずRX 6600より上のRadeonを選ぶことをオススメするが、軽めのゲームをフルHD&中程度の画質で遊べれば十分と考えているなら、RX 6400も選択肢に入ってくるだろう。
Ryzen 5 5500と組み合わせた時のパフォーマンスを見る
RX 6400のパフォーマンス検証に入る前に検証環境を紹介しよう。筆者のGPUレビューだと強力なCPUを使い描画負荷も高く設定して“GPUがどこで音を上げるか見る”のが定番のやり方だが、今回は「Ryzen 5 5500」という比較的低価格なRyzen、即ちPCI Express Gen4非対応のCPUと組み合わせた時の性能を検証する。
比較対象として直接の上位であるRX 6500 XT、さらに令和の時代に新製品が出たRadeon RX 550(RX 550)、そして2万円台前半で購入できるGeForce GTX 1050 Ti(GTX 1050 Ti)を用意した。RX 6500 XT以外のGPUは全てショート基板かつ補助電源不要で動作するタイプのカードとなっている。
OSはWindows 11、Resizable BARやセキュアブート/メモリー分離、さらにHDR(Windows HD Color)などの機能は全て有効化している。ドライバーのバージョンはRadeonが22.4.1で統一、GeForceは512.15を使用している。
| 【検証環境】 | |
|---|---|
| CPU | AMD「Ryzen 5 5500」 (6コア/12スレッド、最大4.2GHz) |
| CPUクーラー | ASUS「ROG RYUJIN II 360」 (AIO水冷、360mmラジエーター) |
| マザーボード | GIGABYTE「B550 Vision D」 (AMD B550、BIOS F15a) |
| メモリ | G.Skill「Trident Z RGB F4-3200C16D-32GTZRX」 (DDR4-3200、16GB×2) |
| ビデオカード | Sapphire「SAPPHIRE PULSE AMD RADEON RX 6500 XT GAMING OC 4GB GDDR6 HDMI/DP」 (Radeon RX 6500 XT)、 ASRock「Radeon RX 6400 Challenger ITX D 4G」 (Radeon RX 6400)、 玄人志向「RD-RX550-E2GB/OC」 (Radeon RX 550)、 玄人志向「GF-GTX1050Ti-E4GB/SF/P2」 (GeForce GTX 1050 Ti) |
| ストレージ | Corsair「CSSD-F1000GBMP600」 (NVMe M.2 SSD、1TB、システム用) +Silicon Power「SP002TBP34A80M28」 (NVMe M.2 SSD、2TB、ゲーム用) |
| 電源ユニット | Super Flower「LEADEX PLATINUM SE 1000W-BK」(80PLUS Platinum、1000W) |
| OS | Microsoft「Windows 11 Pro」 |
上位との性能差はほぼ計算通りの「3DMark」
定番の「3DMark」の検証からスタートしよう。Fire Strike〜Port Royalまでのテストを一通り実施するが、RX 550やGTX 1050 TiはPort Royalは設計上動かない点に注意したい。
RX 6400はRX 6500 XTよりも下なのでスコアーも控えめ、という点が確認できたが、Fire Strikeのスコアーに着目するとRX 6400はRX 6500 XTの78%程度。CU数比は4:3であることを考えるとほぼCU数が減った分だけスコアーも下がっていることが分かる。
また、2万円台前半で買えるGTX 1050 Tiと比べると1.6倍程度のスコアーを示している。今2万2000円程度で出回っているGTX 1050 Tiを買うなら、プラス5千円で1.6倍の性能を出せる……と考えることもできるだろう。ただしGTX 1050 TiはNVENCが使えるのでRX 6400が絶対的にお得、とは断言できないのが残念だ。

この連載の記事
-
第473回
デジタル
Ryzen 7 9800X3Dと9700Xはどっちが良いの?! WQHDゲーミングに最適なRadeon RX 9060 XT搭載PCの最強CPUはこれだ! -
第472回
sponsored
触ってわかった! Radeon RX 9070 XT最新ドライバーでFPSゲームが爆速&高画質に進化、ストレスフリーな快適体験へ -
第471回
デジタル
8TBの大容量に爆速性能! Samsung「9100 PRO 8TB」で圧倒的なデータ処理能力を体感 -
第470回
デジタル
HEDTの王者Ryzen Threadripper 9980X/9970X、ついにゲーミング性能も大幅進化 -
第469回
デジタル
ワットパフォーマンスの大幅改善でHEDTの王者が完全体に、Zen 5世代CPU「Ryzen Threadripper 9000」シリーズをレビュー -
第467回
デジタル
Radeon RX 9060 XT 16GB、コスパの一点突破でRTX 5060 Tiに勝つ -
第466回
デジタル
Radeon RX 9060 XTは6.5万円でVRAM 16GBのお値打ちGPUになれたか? -
第465回
デジタル
遅れてやってきたPCIe5.0 SSDの大本命、リード14GB/秒超えのSamsung「9100 PRO」を実機レビュー -
第464回
デジタル
Radeon RX 9070シリーズの仕上がりは想像以上だったことがゲームベンチでわかった -
第463回
デジタル
Ryzen 9 9950X3Dは順当進化。3D V-Cache搭載Ryzenの最強モデルだがクセありな部分はそのまま -
第462回
デジタル
RTX 5070の足を止めた「Radeon RX 9070 XT/ 9070」レビュー - この連載の一覧へ



