ショールームや建設現場、医療現場など「幅広い現場に持ち込めるMRシステム」を実現
キヤノン、製造業に適した広視野角/軽量なMR用HMD「MREAL X1」発表
2022年04月22日 07時00分更新
キヤノン、キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)、キヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)の3社は2022年4月21日、MR(Mixed Reality)用ヘッドマウントディスプレイ(HMD)の最新モデル「MREAL X1」を発表した。
MREAL X1は、シリーズ最大の表示面積を実現する広視野角と、長時間の装着作業でも疲れにくい小型/軽量な本体サイズを両立させたエントリーモデルの製品。6月上旬より販売を開始する。希望小売価格はオープンで、本体のみの想定市場価格(税抜)は200万円強、システム全体では350万円からとしている。
前モデルと同等の軽量さを維持しつつ、表示面積は2.5倍に拡大
MREALシリーズは、キヤノンが設計/開発や生産、キヤノンITSが販売やITソリューション展開を手がける、ビデオシースルー方式のMR用ヘッドマウントディスプレイ。実寸サイズ感や位置合わせ精度、必要視野角、高精細描画など、製造業におけるMR活用で求められる要件に基づいて開発されており、これまでの導入実績も大手製造業を中心に100社と、製造業が約7割を占める。
2012年にシリーズ初号機(HM-A1)を発売し、以降10年間にわたって広視野角モデル(MD-10、MD-20)、本体を軽量化したエントリーモデル(MREAL S1)を投入してきた。
今回のMREAL X1は普及モデルとして、MREAL S1とほぼ同じ軽量性を維持しながら、S1比で約2.5倍の表示面積を実現している。本体重量は約359g(ヘッドマウントユニット含む、ディスプレイ部のみは約158g)で、視野角はおよそ横58°×縦60°。特にユーザーからの要望が強かった縦方向の視野角が大きく拡大している。
頭を動かさずに視認できる範囲が拡大したことで、大型の商品や設備などの全体イメージを確認したり、対面での作業検証、自分の立ち位置を確認しながらの作業検証にも使いやすくなった。
もうひとつの特徴として、システム全体のダウンサイジングによる可搬性が挙げられる。MREAL X1本体の小型/軽量さに加えて、ミドルウェア「MREAL Platform」はモバイルワークステーションでも稼働し、表示アプリケーションと組み合わせて3D CADやCG、点群データなどを表示させることが可能。マーカーだけでなく周囲にある物体との測距技術も組み合わせることで、シンプルなシステムでも精度の高い位置合わせが実現しているという。
これにより、たとえば工場内で新しい設備を設置する前の配置確認や導線検証を行ったり、建設現場で建設前に建設後のイメージを共有したり、自動車のショールームで搭乗時の視界を確認したりと、幅広い現場にMR技術を持ち込んで活用できる。
キヤノングループ3社は今回のMREAL X1追加を通じて、メインターゲットである製造業においてさらに幅広い利用シーンへの活用提案を図るとともに、他業種を新規ターゲットとして開拓していく。新しい利用シーンとしては、自動車のような大型商品のセールスプロモーション、ボリュメトリックス技術と組み合わせた観光地やライブイベントでの臨場感のある映像体験などを考えているという。
MREAL X1本体の希望小売価格はオープン価格。システム全体(MREAL X1+PC+MREAL Platformソフトウェア+表示アプリケーション)の最小構成価格は350万円から。MREALシリーズ全体で、2025年までに年間1000台以上の国内販売を目指すとしている。