信号機やエレベーターとロボットが連携。ビル内外での佐川急便×ソフトバンクの配送実験
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さまざまな地域課題や社会課題の解消や、ドローンやスマートシティなどとの組み合わせで期待されている自動走行ロボットを活用した配送サービス。日本でも各種実証実験が進んでいるが、いよいよ実装が見え始めている。2020年より実施されたNEDOによる実証実験で見えてきた動きを追いかける。
人口密度の高いオフィス街は、短距離での配達物が多く、自動配送ロボットの費用対効果が高いエリアだ。佐川急便株式会社とソフトバンク株式会社は、ソフトバンク本社がある東京竹芝エリアのオフィスタワー内外を実証実験の場に、信号と連携して道路を横断するシステムを開発し、実証に成功。オフィス街や住宅街での無人配送サービスが現実味を帯びてきたが、解決しなければならない課題も見えている。
信号の変化をロボットに通知する信号機連動システムを開発
佐川急便株式会社とソフトバンク株式会社は「オフィス街向け、オフィスビル内外配送サービスの実現」をテーマに、2020年12月から竹芝エリアで自動走行ロボットによる配送サービスの実証実験に取り組んでいる。両社が目指すサービスは、①オフィスビル内の配送、②住宅街における屋外配送の2つ。
①は、例えばオフィスあての荷物をロボットに積み込み、オフィスまで届けるといったものだ。高層タワーの配達はエレベーターの待ち時間などもあり、距離が近くても意外と時間がかかる。配達スタッフは何度も上下の移動を行うため、負担となっている。また感染症対策としても非対面・非接触の配達ニーズは高い。
オフィス街は交通量が多く、配送ロボットが交差点を横断するには信号を正しく認識して、信号が青のうちに横断歩道を渡り切らなくてはならない。2021年度のNEDOの助成事業では、自動配送ロボットと信号機の連携システムを開発し、信号のある交差点を横断する屋外配送と、オフィスビル内のエレベーターを使った配送サービスの検証が行われた。
信号機との連携は、日本信号株式会社が技術提供を行い、灯色ピックアップ装置とIoTルーター、ポータブルバッテリーで構成されたシステムを信号柱に取り付け、クラウドを介して信号の現在の灯火色を検知。信号が赤になる前にスムーズに横断歩道を渡り切るため、通知の遅延は2秒以内とし、青に変わるとすぐにロボットが走行を開始する仕組みだ。
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