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高齢化・過疎化の進む中山間地域での自動配送ロボット利用。TISの実証実験で見えた難しさ

連載
自動走行ロボットを活用した配送サービスの未来

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複数の公共交通と自動走行ロボットを組みわせた配送サービスを実証

 実証実験は、2021年7月1日~11日に福島県会津若松市湊町地区で実施。

 ①スーパーにて住民から依頼された商品を確保、②タクシー運転手が商品をバスセンターまで配送、③バスで集落拠点まで運搬してNPO担当者が受取り、④ロボットに積載して集落内を自動走行して住宅まで配送、という流れだ。なお、実サービスでは配送業務以外も想定されているが、今回の実証では配送・集荷に限った検証となる。

 走行ルートには、集落で日常的に使われている道路、ガードレールがなく、歩車分離のない細い道、車が2台通れる比較的広い道などを選び、山間地域特有の傾斜、落ち葉や木の実などの自然の落下物のある道路を安定して走行できるかを検証した。

 また実サービスでは遠隔監視が想定されているが、今回の実証では遠隔監視は行なわず、近接監視で実施された。

 実験では2機種とも無事に配送できたが、夏場の晴天時という限定された環境であり、冬季は積雪、秋は落葉や栗などの落下物が発生するため、実サービスにはさらなる検証が必要となる。

通信環境や道路の整備、業務連携による効率化などの課題

 今回のケースでは、公共バスやタクシー、NPOなど複数の事業者が連携しての配送を実現している。それぞれの事業者の接続に人が介在することで効率が左右されるため、オペレーションの効率化が重要になる。

 また環境面では、中山間地域は市街地ほど道路が整備されておらず、歩車分離がされていない道路が多い。今回のロボットは、原動機付自転車の扱いで車道を走行した。路面状況を事前に把握するなど、事前にルートのチューニングが必要だった。

 実証は近接監視で行なわれたが、社会実装には遠隔監視が必須となる。ネットワーク環境が整備されていないエリアや、樹木などでGPSが遮断されるケースもあり得る。今後ネットワーク遅延などをロボット側の技術でカバーできるかなど、実運用地での検証はこれからだ。

 そのほかにも課題は残っている。事業を進めるには、コストの問題が大きい。地図作成などの準備やロボットの監視にもコストがかかる。1人の監視員で複数台/複数メーカーのロボットを監視できるように、遠隔監視や統合管理を業界全体で整備し、運用コストを下げる努力が必要となる。

 過疎地の少子高齢化はますます進むと考えられ、地域内の支え合いも足りなくなってきている。ロボットシェアの有益性は明らかだが、各事業者が儲かる仕組みがなければ事業の継続が難しい。自治体や他事業者と協力し、道路状況やパトロールなどほかの業務と連携した包括的な支援サービスへと調整していくことが求められる。

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