東京には「海の手線」が必要だ
── 先ほど防災の話がありましたが、具体的にはどういう話があるんですか。
溝口 たとえばBRTの車両は燃料電池車が予定されています。災害時にはそれを電源として活用しようというものです。バスの待ち合いスペースを帰宅困難者の受け入れに使ったり、豊洲市場やフードトラック事業者と連携して炊き出しをしたりする事も検討しています。モビリティのデュアルモード活用です。BRT、ゆりかもめ、空港リムジンバス、タクシー、シェアサイクル等の様々モビリティをシームレスに繋ぎ、乗り換え可能な交通結節点がまちの中にあり、それがビルとつながっていると。そんなコンセプトです。
──交通結節点は情報発信拠点でもあると。
溝口 ビルに設置されているデジタルサイネージをデュアルモードに活用します。平時はイベント情報、災害時には防災情報(Lアラート)に切り替わる。災害時でも携帯の充電ができて、情報が入るという拠点を作ろうということですね。豊洲の町会、自治会と連携して地域の防災訓練もやっています。
── 臨海エリアの災害というと水害ですかね。
溝口 そうですね。たとえば臨海部は、荒川の堤防が決壊するとほぼ7割が浸水すると言われています。そのために国と都とで「高台まちづくり」を推進しているんです。ビルが孤立しないようにビル同士をつなぐとか、まさにデッキで建物をつなぐとか。
── あ、ミチノテラス豊洲のオフィス棟とホテル棟がデッキでつながっているのはそういう意味もあったんですか!
溝口 そうなんです。豊洲エリアは江東区でもっとも海抜が高く、浸水リスクが低いと言われていて、災害時には臨海エリアへの避難が推奨されているんです。東京大学、行政、民間企業、地域住民と連携して防災訓練も実施しています。江東区における浸水被害想定の周知、江東区の浸水エリアから臨海部への広域避難訓練、国交省・東京都・江東区の連携による防災・避難計画検討、交通防災まちづくりにおける高台拠点の在り方の検討が目的です。ドローンを活用した支援物資配給訓練、船やBRT等の多様なモビリティを活用した広域避難訓練も予定しています。
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