このページの本文へ

業界の課題であるGPU不足はCPUでの学習効率アップで対応

プラットフォームプレイヤーを目指すAI insideが最新動向を披露

2022年02月28日 17時30分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 2022年2月28日、AI開発・運用のためのツールを提供するAI insideはメディア説明会を実施。登壇したAI insideの代表取締役社長CEO兼CPOの渡久地択氏は、同社の最新動向をプレゼンしつつ、質疑応答ではAI業界のトピックについて解説した。

AI inside代表取締役社長CEO兼CPO 渡久地択氏

AIプラットフォームにマーケットプレイス導入へ

 AI insideはノーコードのAI開発ツール「Learning Center」、AI OCRツール「DX Suite」、AI実行用の独自ハードウェア「AI inside Cube」などの製品を展開するAIカンパニー。2月10日に渡久地氏自身が代表取締役社長CEOとCPO(Chief Product Officer)を兼任することが発表され、AI OCRを基軸とした従来のSaaSカンパニーからプラットフォームプレイヤーへと移行を図っている。

 登壇した渡久地氏は、「世界中の人・物にAIを届け豊かな未来社会に貢献する」というミッション、AIをあらゆるところに配置する「AI inside X」というビジョンを改めて紹介。また、誰でも安く、早く、簡単にAIを作れて、使えて、シェアできる世界を実現するため、優れたUXがユーザーとデータと呼び込み、付加価値の高いAIが生まれ、低コスト化が実現するという「AI inside Cycle Engine」というサイクルを重視していると説明した。

 プロダクトの最新動向も披露された。まずノーコードのAI開発基盤であるLearning Centerは、データ収集、学習、評価、実行など、これまで時間がかかっていたAIの開発を低コスト・短期化で実現する。最新版では構築したモデルの推論結果を画面で表示するプレビュー機能や1秒単位での従量課金を導入。また、学習に必要な下限データが従来の300枚から20枚になったほか、他環境でアノテーションされたデータのインポートも可能になった。

 渡久地氏は、Learning Centerのユーザーについて、「導入されるお客さまは、いいパッケージAIに出会えなかったという会社が多い。外注したけどコストだけがかかり、内製シフトするにも社内にスキルがないという悩みを抱えている。その点、Lerning Centerはシンプルを追求し、ボタンを1つでも減らせるように努力している」と語る。

Learning Centerで不良のねじを分類するAIを開発する操作

 また、DX Suiteは高精度なテキストのデータ化を実現するAI OCRで、日本語のみならず、英語、中国語、タイ語、ベトナム語の5カ国に対応する。大量帳簿を仕分けるソーターの機能や学習の可否を選択するプライバシーコントロールの機能を搭載する。

 最新版のDX Suiteでは、技術文書や契約書などの文書全体を設定不要でテキストデータ化する全文読み取り機能の提供や、新たに給与支払報告書、保険証書、履歴書など全13種類の非定型帳簿への対応などを実現。また、データから必要な箇所のみ抽出したり、サーチャブルPDFにも対応する。「設定いらずで、どんなフォーマットで読める」(渡久地氏)を目指してアップデートを図っているという。

 AI inside Cubeは専用のAIハードウェア。AI insideのサービスは、専用のクラウドサービス上に実装されているが、AI inside Cubeは機密データを第三者に提供せず、自社内でAIを運用することが可能になる。処理性能に合わせて3種類のスペックをラインナップしており、スイッチオンですぐに利用できるという。

 今後はユーザー自身が作ったAIモデルをシェアし、マーケットプレイスに公開する機能を搭載し、プラットフォームとしての機能を拡充する。「別のユーザーが同じAIを開発するのは効率が悪いし、環境負荷も高い。せっかく作ったAIは共有した方が、SDGsの観点でもよい」と渡久地氏。年内はユーザー企業とともにAIを作ることにフォーカスし、その後マーケットプレイス計画を推進していくという。

既存の製品群にマーケットプレイスを追加し、共有も容易に

アジアを中心にグローバル展開も加速 GPU不足についても言及

 プロダクトのアップデートに加え、渡久地氏は直近のアライアンスやユーザー事例もついても紹介した。

 アライアンスに関しては、アジア圏のパートナーを増やしている。シンガポールのAI・RPAベンチャーであるAntWorksの日本法人であるSBI AntWorks Asiaと協業。また、先日はDX Suiteの販売を加速すべく、台湾のNewSoftとグローバルパートナーシップを締結した。NewSoftは金融機関で高い実績を持ち、2021年秋口からの実証実験を経て、今回台湾でのDX Suiteの販売に乗り出すという。

アジア圏のパートナーシップを強化

 事例に関しては、ノーコードアプリ開発プラットフォームである「Unifinifty」(ユニフィニイティ社)との連携を実現。モバイルアプリにAI insideの文字認識・画像認識の技術を活用できる。また、AI開発基盤にLearning Centerを導入したスパイダープラスは、建築図面や現場管理のアプリに自社開発のAIモデルを組み込むという。さらに、富士フイルムビジネスイノベーション(旧:富士ゼロックス)のクラウドサービスでも文字認識のAI技術を提供しており、同社のビジネス複合機「ApeosPlus desola Technology by AI inside」として2021年10月にデータ入力の効率化サービスを開始している。

 最新の事例としては「あんしん漢方」というサービスにおいて、未病状態を判断するための「舌診」をAIで実現。スマホで撮影した舌の画像を元に、AIで健康状態を判断する機能を取り入れ、不調状態をセルフチェックできるようにしていくという。

あんしん漢方のサービスでは舌診をAIで実現

 発表会の後半に行なわれた質疑応答で、渡久地氏はGPUをはじめとした半導体不足についても「先行してGPUの購入に努める一方で、GPUなしでも学習効果を高めるソフトウェアの改良を推進し、「CPUの処理でも、従来に比べて3倍の処理能力を向上した」とコメントした。

■関連サイト

カテゴリートップへ

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

アクセスランキング

  1. 1位

    デジタル

    約3000人のハッカーが侵入できなかったpCloud すべてはユーザー自身のデータを守るため

  2. 2位

    ITトピック

    「原則出社」命じる企業とテレワーク社員の意識ギャップ/“推し活依存”自覚するZ世代が2割/シニアの利用が盛んな○○アプリ、ほか

  3. 3位

    sponsored

    高齢者をポットで見守る「みまもりほっとライン」 25年続く「サービスの温もり」とは?

  4. 4位

    sponsored

    専門家が分析するSCS評価制度・153項目 中小企業に最適な対策のアプローチは?

  5. 5位

    データセンター

    600km超離れたデータセンター間でシステム全体を「完全自動復旧」 日立・NTTドコビジらが実証に成功

  6. 6位

    ビジネス・開発

    フィジカルAIの突破口、「現場データ」を価値に変えるソリューション

  7. 7位

    TECH

    フロンティアAI対策を国内組織はどう捉えているか “内製化への意欲”と待ち望む“政府主導のガイドライン”

  8. 8位

    デジタル

    ヤマハ、SOHOルーター国内シェア22年連続1位 強さを支えるネットワーク戦略

  9. 9位

    ビジネス・開発

    首都高が「AIの高利用者」を1年で10倍に 非IT人材に刺さったGemini Notebookと“泥臭い”浸透策

  10. 10位

    ITトピック

    PC価格高騰で4割の企業が「調達を延期」/“謎のExcelマクロ”は業務継続リスク/日本のデジタル行政、利用率・満足度とも最低レベル、ほか

集計期間:
2026年08月27日~2026年09月02日
  • 角川アスキー総合研究所