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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第654回

謎の3Dアドレス機能付きVLIW/SIMDを出荷するRoviero AIプロセッサーの昨今

2022年02月14日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

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MAC数の0.0468倍がフレームレートになる性能
クロックは22nmで600MHz、14nmで2GHz超

 気になるのは性能であるが、FPGA上で62.5MHzで動かした構成を400MHz相当に正規化したものだが、例えばResNet-50だと256MACで19fps、1024MACで58fps、9216MACで440fpsといったところである。

問題はむしろ「なぜ400MHzで動かさないのか?」である。講演ではこれに関する説明は特になかった

 ややわかり難いのでグラフにしてみたが、綺麗にMAC数に比例する。近似値で言えば、例えばResNet-50の場合はMAC数の0.0468倍がフレームレートになっているので、60fpsが欲しければ1282MACほど用意すればいい計算になる。ちなみにレイテンシーの方も、ほぼMAC数に逆比例する形で減少しており、このあたりはアプリケーションで必要とする処理性能に合わせて調整がしやすい格好だ。

FPGA上で62.5MHzで動かした構成を400MHz相当に正規化したグラフ

 実機のデモとしては、引き続き62.5MHz動作のままで10個のFPGAを接続してのデモも行なわれている。この構成では合計で10万2400MACの計算になっており、結構な性能であるのは間違いない。もちろんCloud AIクラスに比べるとだいぶ落ちるが、Edge AIやEndpoint AI向けではピーク性能よりも性能と消費電力、あるいは回路規模とのトレードオフになるわけで、そのあたりのバランスの良さを狙ったものと考えればいいだろう。

気になるのはFPGAになにを使っているかである。評価ボードから見ると、Virtex-7クラスに見えるのだが……

 22nm(おそらくはTSMCの22ULP)だと600MHz駆動で100mm2とやや大きめだが、14nm(SamsungかGlobalfoundries)に移行すると40mm2で、2GHz動作を超えるという。この構成では、もう上の画像にある評価システムの性能を超える計算になるわけで、FinFETプロセスを使うケースなら十分Endpoint向けに組み込める計算になる。

ただTSMC 22ULPから例えばSamsungの14LPPに移行しても、エリアサイズはここまで劇的に減らない気がするのだが、説明では9216MACの場合だとしていた

 RovieroはすでにIPとコンパイラに加え、OpenCV経由での画像分類/物体認識/超解像/セグメンテーション、それと画像処理(ノイズ削減、圧縮、タグ付けなど)に向けたサンプルアプリケーションも容易しており、同日出荷可能としている。

 ターゲットとしてはまずは監視カメラとかスマートカメラの類であろう。なんというかかなりトリッキーなアーキテクチャーのプロセッサーで、それもあってエリアサイズが大きめなのが気になるところ。あとはコンパイラの品質がどの程度か? というのも懸念事項の1つだろうか。おもしろい実装だとは思うのだが、無事にビジネスにつながるといいのだが。

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