連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第13回
IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 12月18日~12月24日分
日本の労働生産性順位は過去最低、職場での孤立は働きにどう影響するか、ほか
2021年12月27日 07時00分更新
本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。
2021年最終回の今回(12月18日~12月24日)は、日本の労働生産性、AIとDX活用状況、サイバー攻撃、従業員の孤立とパフォーマンス、国内デジタルマーケティング市場についてのデータを紹介します。
■[生産性][働き方]日本の時間あたり労働生産性は49.5ドル、OECD 38カ国中23位で過去最低(日本生産性本部、12月17日)
・日本の時間あたり労働生産性は49.5ドル、OECD 38カ国中23位
・就業者1人あたり労働生産性は78655ドル、OECD 38カ国中28位
・製造業の労働生産性は95852ドル、OECD 38カ国中18位
日本生産性本部が「OECD.Statデータベース」などを基にまとめた「労働生産性の国際比較 2021」より。就業者1人あたりの時間あたり労働生産性は49.5ドルで、実質ベースで前年から1.1%上昇したが、順位はデータ取得可能な1970年以降最低となった。就業者一人あたりの付加価値を示す1人あたり労働生産性は78655ドルで、こちらも過去最低レベルとなり、ポーランド、エストニアなど東欧/バルト諸国と同水準。コロナ前との比較では、米国など過半数の国が労働生産性がアップしたが、日本は2.8%マイナス。
■[AI][DX]DX/AI活用を進める企業は2割弱、導入後の課題は「人材」(AI inside、12月21日)
・65%が「DX・AI活用を推進していない」
・AIソリューション導入企業の3割が「知識を持った人材が不足、継続的利用が難しい」
・6割が自社開発・内製化の取り組みを進行・検討中
AI insideが20~50代の2000人に、DX推進に向けたAI活用などについて聞いた。DX・AI活用については「推進していない」が65.7%、「推進している」は17.8%だった。業種別では金融・保険で「推進している」が36%となり、平均を上回った。システム内製化については「内製化を行っていない」が62.7%と、「取り組んでいる」の11.5%を大きく上回った。AIソリューションを導入中の企業では、37.2%が内製化に取り組んでいると回答した。内製化の課題としては、やはり「AI人材がいない」が上位に挙がっている。
■[セキュリティ]大企業が受けるサイバー攻撃は年間270件、前年比31%増(アクセンチュア、12月21日)
・1社あたりのサイバー攻撃件数は270件、前年比31%増
・81%が、「攻撃手法が進化しており、対応コストを維持できない」
・サプライチェーン攻撃が増加、間接的攻撃が占める比率は44%から61%に
世界18カ国の大企業の経営幹部層4700人以上を対象に、セキュリティについて調べた報告書「サイバーレジリエンスの現状 2021(State of Cybersecurity Resilience 2021)」より。82%が「セキュリティへの投資を拡大した」と回答したが、1社が年間に受けたサイバー攻撃は前年から31%増加し、280件となった。中でもサプライチェーン経由での不正アクセスなど間接的攻撃が占める比率は、昨年の44%から61%に増加しており、「自社のみでなくエコシステム全体でセキュリティを強化する必要がある」と助言している。
■[働き方]従業員の孤立はパフォーマンスに悪影響、多いのは40代・男性(クアルトリクス、12月22日)
・「職場に相談相手がいる」は56%、だが「自分から積極的に他者に声をかける」は45%
・周囲とのつながりが弱い「孤立グループ」に多い属性は、「男性」「40代」「一般社員」など
・「孤立グループ」はエンゲージメントや帰属意識が低く、日常業務も回っていない
クアルトリクスと埼玉大学が10月、約4500人を対象に、共同で職場における孤立を調査し「職場における孤立の実態調査」としてまとめたもの。職場に相談相手がいる人は56%だが、積極的に声をかけるなど自分起点でのコミュニケーションについては実行している人は5割を切っており、「仕事を通しての人と人とのつながりは総じて弱い」とまとめている。孤立グループは日常業務において、業務分担の適切さ、職場における学びや成長機会について肯定的に捉える回答者が低いこともわかった。
■[マーケティング]2020年のデジタルマーケティング市場は4305億円、前年比2.6%増 (IDC Japan、12月21日)
・2020年のデジタルマーケティング関連サービス市場は前年比2.6%増の4305億円
・2020年~2025年は年間平均成長率7.2%で成長、2025年は6102億円市場に
・産業別では金融が最大
国内デジタルマーケティング関連市場として、ITサービスとビジネスサービスから調べた。2020年の市場規模は前年比2.6%増の4305億円。この市場は2025年まで年間平均成長率(CAGR)7.2%増で成長を見込むが、特にビジネスサービスが好調でCAGR10.2%での成長を予想している。産業別では、リアル店舗を含む顧客接点の変革、非対面/非接触チャネルの活用などを進める金融が最大の市場となった。
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