「立花宗茂」が大事にしていた銘刀長光。その愛と哀愁のエピソード
放送の後半では、上野館長のガイドで立花資料館の貴重な資料を紹介していただきました。
たまちゃんと中西祥智研究員が放送でかぶっている立花親衛隊の「金箔押桃形兜」や、誾千代の甲冑の想像復元レプリカ、立花宗茂が戦へ向かう道中や、戦の後に度々使用したと言われる盃など、立花宗茂、立花誾千代のファンなら垂涎のグッズが多数紹介されましたが、なんと言っても、高橋紹運が婿養子に出る立花宗茂に贈ったとされている銘刀「長光」の、鋭くも艶かしい輝きは印象的でした。
植野館長は「高橋紹運はこれを立花宗茂に贈る際『戦国の世だから、これから敵味方の関係になるかもしれない。その時は迷わず討ちに来い』と話したそうです」と、長光にまつわる衝撃的なエピソードを聞かせてくれました。
さらに「その際に躊躇うようなことがあれば、道節はそれを許さない。岩屋城にはもう帰れなくなるので、これを使って自害しろ」とも伝えたとか。結局、高橋紹運は岩屋城の戦いで戦死したため、長光を使って討たれることはなかったわけですが、立花宗茂は、それ以降も長光を父の形見として、ここぞという時には必ず帯びていたそうです。
歴史の話、特に戦国時代の話には、まるでファンタジーの小説やドラマで耳にするようなエピソードがたくさん出てきますが、ゆかりの地で実物を目にしながらお話を聞くと、それらが架空ではなく、実際に起きたことなのだと強く意識させられます。
コロナ禍で気軽に観光を楽しみにくい状況が続いていますが、まるで現地に行って、観光をしてきたかのような満足感と視聴後の余韻が感じられる放送内容でした。
本稿で紹介している以外にも、たくさんの名所やエピソード、グルメ情報をお届けしていましたので、見逃してしまった方は、ぜひアーカイブからご視聴ください!
立花宗茂(たちばな・むねしげ)と立花誾千代(たちばな・ぎんちよ)
”戦国最強夫婦”と謳われる福岡県柳川の戦国武将「立花宗茂」とその妻「誾千代」。
立花宗茂は関ヶ原の戦いで改易※された大名のうち、元の領地に復帰した唯一の大名であり、誾千代は、わずか7歳で立花山城主の座を継承した女城主です。
福岡県では柳川市を中心にゆかりの地など広域の官民団体で構成された招致委員会を発足し、NHK大河ドラマ招致に取り組んでいます。
(※改易:領知(領土と住民)を没収され、大名ではなくなること)