動画編集を生業とするクリエイターが実際に検証!17.3インチのクリエイティブノートPC「DAIV 7N」の実力とは?

文●ジサトラハッチ 機材検証●ニシヤマ 編集●ASCII

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 マウスコンピューターのクリエイター向けブランド「DAIV」シリーズの「DAIV 7N」は、CPにインテル第11世代「Core i9-11900K」、GPUにNVIDIA「GeForce RTX 3080 Laptop」を搭載するハイエンドなノートPCだ。

 17.3インチで3840×2160ドットの4K対応と、ノートPCの中では画面サイズが大きく、高解像度のディスプレーを採用。高性能で発熱量の高いCPUとdGPUをしっかり冷却する筐体のため、サイズが大きめで重量も4.65kgと割とあるが、外出先で高解像度映像の動画エンコードや、高解像度写真のRAW変換作業などを行なう際にも活躍する。

 ストレージは、NVMe対応PCI-Express Gen4の高速な1TB SSDを搭載。メモリーの容量は標準で32GB、BTOカスタマイズで最大128GBまで選択できる。

キーボードはゲーミングノートPCのようにRGBのLEDで光る。暗所でのイベントでも活用できるだろう

「DAIV 7N」の主なスペック
ディスプレー 17.3型、4K UHD
(3840×2160ドット)
CPU インテル「Core i9-11900K」
(8コア/16スレッド、3.50~5.30GHz)
グラフィックス NVIDIA「GeForce RTX 3080 Laptop GPU」
(GDDR6 16GB)
メモリー 32GB(DDR4-3200、16GB×2)
ストレージ 1TB SSD(M.2接続/NVMe対応)
インターフェース USB 3.1 Type-A×3、USB 3.1 Type-C、HDMI、Mini DisplayPort×2、Thunderbolt 4×2、有線LAN端子(2.5GBASE-T)、マイク入力・S/PDIF出力兼用、ヘッドフォン出力・マイク入力兼用、SDカードリーダー
通信規格 Wi-Fi 6(IEEE802.11ax/ac/a/b/g/n)+Bluetooth 5
内蔵カメラ 100万画素ウェブカメラ
バッテリー駆動時間 約2.0時間
本体サイズ/重量 約幅399×奥行320×高さ43.9mm/約4.65kg
OS Microsoft「Windows 11 Home」(64bit)

「DAIV 7N」は黒を基調とした筐体で、パームレストや天板にヘアライン加工が施され、高級感もあるノートPCだ。非常に存在感のある大きさをしているが、17.3インチのノートPCは持ち運び用途ではなく、在宅やオフィスでの作業が一般的。そのため、デスクトップ用の高性能なCPUと、ミドルハイのGPUをしっかりと冷却するための厚みと考えれば納得がいく。

天板はヘアライン加工され、DAIVのロゴが控えめに入った落ち着いたデザイン。背面下部と側面にLEDが光るスリットがあり、カッコよいアクセントになっている

キーボードの配列は一般的。テンキーもあり、画像編集で色指定する際の数値入力も快適に行なえる

 ディスプレーはAdobe RGB比100%のパネルを採用。3840×2160ドットの4Kに対応し、高解像度の写真や動画編集も快適に行なえる。また、豊富な出力端子を備え、4K高解像度で最大4画面出力も可能。大規模イベントでの映像出力機としても活躍できるだろう。

 また、Thunderbolt 4やUHS-III規格対応のマルチカードリーダーも搭載。ワコムの一部ペンタブレットなどは、Thunderbolt 4のみで接続できたりするので、高速なRAID対応の外付けHDD接続などだけでなく、ペンタブレットを使うイラストや漫画制作者にも重宝しそうだ。

左側面にはUHS-III規格対応のマルチカードリーダー、USB 3.1 Type-A×2、マイク入力端子(S/PDIF出力兼用)、ヘッドフォン端子(4極対応)が並ぶ

右側面には、Thunderbolt 4×2、USB 3.1 Type-Aがある

背面にはUSB 3.1 Type-C、Mini DisplayPort×2、HDMI端子、ギガビットLAN、電源ポート×2が備わっている

動画のエンコードは7年前のMacBook Airよりも圧倒的に高速!

 本機の詳細な性能は、以前の記事を参照して欲しい。今回は、実際にミュージックビデオなどの動画編集の仕事を生業とされているクリエイターのニシヤマさんに、本機を使ってもらいどれぐらい快適だったかの感想を頂いた。ただ、現在販売されているDAIV 7Nは、OSが最新のWindows 11になっているが、ニシヤマさんに使用して貰った機材は、Windows 10搭載機だった。Windows 10とWindows 11では、使用した際のOSバージョンなどでもやや異なるが、大きく変わることはないので、結果は参考値として考えて頂きたい。

 以下は、実際に動画エンコードで使って貰った、ニシヤマさんの作品。1つは実写のミュージックビデオで、もう1つは歌詞を主体とし、イラストや文字を組み合わせたリリックビデオになっている。

 検証はAdobe「Premiere Pro 2021」(バージョン15.4.1、ビルド6)を使い、H.264形式でFULL HDとHALF HDの両方で変換した際の時間を計測。ニシヤマさんが所有している7年前のApple「MacBook Air」 (13-inch, Early 2014)と比較している。

動画のエンコードはAdobe「Premiere Pro 2021」で実施

最新のCPUを搭載するDAIV 7Nは、より高解像度のFULL HDの方がHALF HDよりもやや処理時間がかかっているが、その差も小さい。7年前のMacBook Airでは圧縮が旧いCPUコアで上手く処理できないのか、FULL HDよりもHALF HDの方が処理時間が長い結果になっている

 なぜかMacBook Airでは、何度計測しても解像度の低いFALF HDの方が時間がかかる結果になったとのことだが、実写、リリックビデオどちらもDAIV 7Nの方が圧倒的に処理が早かった。ニシヤマさんはDAIV 7Nに対して、「プロジェクトを開く時間や、レンダリング時間が早かった。動画編集をする身としては、レンダリング処理が早いのは助かる」とコメントを頂いた。

 レンダリング結果で最も差が出たのは、リリックビデオのFALF HDでMacBook Airの変換時間は、DAIV 7Nよりも約31倍多くかかっている。もちろん、最新のMacBook Airでは、このような結果にはならないが、内閣府が公開している主要耐久消費財の買替え状況の統計では、パソコンの買い替えサイクルは約7年なので、この結果に近いなる人もいることだろう。

 DAIV 7Nは8コア/16スレッドと、複数の処理を同時に行なえるスレッド数を持つCPUを備え、WQHD以上の高解像度で、一般的なPCゲームが快適にプレイできる高性能なビデオカードを搭載。クリエイティブ用途でも、十分活躍できる32GBメモリーを備えたハイエンドなノートPCだ。

 また、DAIV 7Nは4KかつAdobe RGB比100%のパネルを採用した、ノートPCとしては大きい17.3インチのディスプレーを備え、高解像度な動画やRAW現像にも活躍する。近年プロの世界では8Kなど、より高解像度なCGや動画などを扱うシーンもあるが、そうした一部の超高解像度で重い作業でもなければ、十分快適かつ高速処理できるクリエイティブ用途のPCだ。

 クリエイティブな作業をするが、しばらくPCを買い替えておらず、処理速度に不満を持っている、最近PCの調子が悪い、とお困りの人は購入を一考してみてもいいのではないだろうか。