黒字化を果たしたTwitterはなくなっては困る存在に
Twitter直近の2021年第3四半期決算は、売上高12億8000万ドルで前年同期比37%増と、広告収入の成長が続いています。今回はEUのGDPR(一般データ保護規則)に関する制裁金などの支払いを計上したことから、7億4300万ドルの赤字となりましたが、それがなければ2300万ドルの黒字を計上していたところでした。
Twitter’s Q3'21 shareholder letter is now available. Read it here: https://t.co/Nud3F9IgDM$TWTR
— Twitter Investor Relations (@TwitterIR) October 26, 2021
Twitterは、SNSとしては、Facebook、Snapchatに続く3番手となり、赤字体質が続いていました。2013年に「次なるFacebook」として成長を期待されながら、赤字続きを脱せずにいた2015年に、CEOとして復帰したジャック・ドーシー氏。
CEOとしてドーシー氏は、本業であり強みである「世界中で今何が起きているのか」という得意分野に集中することで、2017年第4四半期に上場来始めて9100万ドルの黒字を計上。2018年第1四半期も6100万ドルの黒字を計上し、利益の出る企業への転換を果たすことに成功しました。
一般的な広告ベースのSNSでは、「月間ユーザー数」(Monthly Active Users、月に1度でもウェブサイトを訪れるユーザー数)を指標とし、その広告価値を投資家にアピールしています。FacebookのMAUsは28億9000万人に達する中、Twitterが同じ土俵で戦っても勝ち目がありません。
そこでTwitterは、「日間ユーザー数」(Daily Active Users)という数字を使い始め、Facebookとは異なる広告価値の提示に努めるようになりました。最新のTwitterのDAUsは2億1100万人で前年同期比13%増であるとしています。
米国で暮らしていた頃の実感として、FacebookやInstagramがなくてもあまり困らないが、Twitterがなくなると非常に困る、あるいは命を守れるかどうかに影響する、という感覚がありました。
Twitterがある米国での行動パターンとして、「ヘリが飛んだらTwitterを確認せよ」というものがあります。米国では事件や事故などが起きると、事態の把握や報道のためにすぐにヘリが飛びます。つまり近辺でホバリングしているヘリが飛んだら、近辺で何か異変が起きたことを意味するのです。
たとえば、日本でもしばしば報道される派手なカーチェイス。あるいは銃や刃物を持った犯人が事件を起こして住宅街に逃げ込んでいたり、大規模な火事や事故で道路が封鎖されていたり。あるいは暴徒化を始めたデモ行進がどちらの方向に動いているのかも、重要なリスク情報です。
銃社会ですから、そういう事件が発生して察知が遅れると、巻き込まれて命の危険にさらされます。命に関わらなくても、周辺道路が大渋滞になってしまうと、身動きが取れなくなり、平気で数時間ロスする可能性があるわけです。
そうした早期リスク情報(Early Warning Information)を得る手段として、FacebookやInstagramは役に立ちません。Twitterで自分の街の名前を検索するのが一番確実な情報入手の手段となるのです。
2015年頃から、Twitterは早期リスク情報を得るために欠かせない情報手段となり、「米国生活においてなくなっては非常に困るサービス」という認識を持つようになりました。これも、ドーシー氏が返り咲いたTwitterが、機能面やマーケティング面で、自身の強みをいかに発揮するのかを認識して強化した結果だったのではないか、と思います。
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