国際認証「B Corp」取得に向けた取り組みも:

古本ビジネスの「おかしい」を変えたいバリューブックス

文●石井英男 写真●篠原幸宏(バリューブックス)提供 編集●ASCII

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「B Corp」認証取得に向けた取り組み

藤木:社会貢献とビジネスを両立させているバリューブックスでは、「Bコーポレーション(B Corp)」という新しい企業認証の取得に向けて動いているとも伺っています。B Corpとはどういう認証なんでしょうか?

鳥居:B Corpとは、株主だけでなくて環境や社会、すべてのステークホルダーに対してちゃんと成果を出していこう、利益を追求していこうという取り組みで、2006年に設立されたアメリカのB Labという非営利組織が認証する民間の認証制度です。日本でB Corpを取得した企業はまだ7社しかありませんが(2021年11月末日現在)、世界では4000社以上が認証されています。今では認証制度を超えた世界的ムーブメントになっていて、特にパンデミック以降、B Corp認証を取得する企業が増えています。

世界では4000社以上が認証されているが、日本企業はまだ7社のみ(同上

 弊社としても、B Corpには自分たちの価値観が包括的に網羅されているので、会社の指針となるであろうと認証の取得を進めているんですけれども、自分たちだけではなく、よりそういう仲間が増えていったらいいなということで、B Corpの入門書とも言える『The B Corp Handbook, Second Edition: How You Can Use Business as a Force for Good』の日本語版出版に向けて動いています。B Corp自体がアメリカの社会や法律、文化をもとにつくられている制度なので、日本の文脈に落とし込んで実装できるような形にしたいと思い、多くの方にご協力いただいて一緒にやっています。具体的には、黒鳥社さんと共同で「あたらしい会社の学校『B Corpハンドブック翻訳ゼミ』」を立ち上げ、約30人の方達とB Corpについて様々なトピックでの議論をしながら、翻訳に取り組んでいます。(ゼミ自体は2021年6月に終了)

B Corpの入門書とも言えるハンドブック Amazonより

青木:私たちイノラボでもSDGsに取り組んでいるんですが、SDGsに対する企業の取り組みという点では、バリューブックスさんがやられていることが理想的だなと感じます。「日本および世界中の人が本を自由に読み、学び、楽しむ環境を整える」という理念をもとに、リユースやリサイクルによって社会に貢献し、かつ、利益もあげている。理念、社会貢献、利益のすべてをそろえるためには何かしらの仕掛けが必要ではないかと思っていたんです。

鳥居:私たちが理想かはわかりませんが……B Corpがまさにそれを目指す指針ではないかと思います。B Corpの話でよく「トリプルボトムライン」と言われるんですね。財務、環境、社会。その3つのボトムラインを、すべてポジティブにすることが求められると。実際、B Corpのアセスメントの中には、売上などの数字を出すところもあるんですね。企業として、そうした取り組みをすること自体が持続可能でなければいけないということが重視されているわけです。

 ただ、実際にやっていて気づいたのは、たとえば先ほどのブックギフトなどのプロジェクトは「社会的インパクトを出そうとして作った」より、「自分たちの事業の困り事を解決しようとして作った」というもので、それをやっていくことでなんとか自分たちの事業が続くようにしている。結果、価値が出せているのであればうれしい。この順番は自分たちにとっては大切なんじゃないかなと思います。

B Corpコミュニティを広げていきたい

藤木:一方で、B Corpの日本での知名度はまだ低く、ゼミを通じて広げていこうという御社の取り組みは素晴らしいと思います。今後、たとえばサポートの枠を広げたり、協議会のように集まりを拡大したりといった予定はありますか?

鳥居:弊社が、というよりは、ゼミから始まったコミュニティが大きくなってきているんですよね。おかげでBインパクトアセスメントの勉強会にはゼミ参加者以外の方もたくさん参加してくださって。そういう形で、お互いに情報共有することで相談しあったりコンサルしあったりができていくといいかなと。自律型の形になっていったらいいなと、なんとなく思っています。

藤木:エシカルの概念も日本でも少しずつ根付きました。B Corpも関心がある会社同士がお互いに助けあう形が適しているように感じます。

鳥居:B Corpはひとつのムーブメントであるということもあり、場としてのコミュニティをそこに携わる人たちと共に育んでいくことがとても重要だと思っています。先日開催した勉強会にも、既に認証を取得されている方や、申請をサポートしている方に入っていただいたり、いろんな段階での経験や知識を持つ方が知見を共有しあっています。まだこちらがアドバイスできるような段階ではありませんが、弊社がそうした場をつくっていきたい、ファシリテートしていきたいという感覚はもっていますね。

藤木:日本におけるB Corpもこれから広がっていきそうですね。

鳥居:認証を取る企業が増えるのも大事だと思うんですが、その過程で企業が変容していくことが大事だと思うんですよね。ゼミで翻訳してこれから出版するハンドブックの第2版で強調されているのは「Equity, Diversity, and Inclusion」。今だとJustice(正義、公正)も入ってくると思うんですけど、そういったことを日本の社会でやらないと本当にまずい。企業がちゃんとやっていく必要がある。そういった考えを共有して、それぞれが自ら変容を起こしたり、その変容をサポートし合っていくのがムーブメントなんじゃないかと感じています。

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