収益低下でネットワーク品質が懸念される
通信料収入が下がることで懸念されるのが、ネットワーク品質の低下だ。ヨーロッパの国々は世界に比べて安価な料金プランが提供されているが、その分、通信が安定しておらず、よく止まったり、速度が遅いなんてことがある。
将来的に通信料収入の減少が続くことで「ネットワークへの設備投資を見直す必要がある」と警鐘を鳴らすのはソフトバンクの宮川潤一社長だ。
「(減収が続けば)基地局整備に影響するかもしれない。コスト削減を徹底的に行ない、ネットワーク設計に不備がないようにしているが、これが5年、10年と続くと、中長期的には通信インフラ整備の在り方を見直す必要があるかもしれない」(宮川社長)
この1〜2年は5Gの立ち上げ期のため、設備投資は惜しまないが、値下げによる減収が続けば、将来的にはインフラ投資を見直す可能性も出てくるというのだ。
政府はキャリアに対して料金値下げを迫った一方で、Beyond5Gや6G時代に向けて、世界で日本の企業がリードできるように旗を振っている状態だ。3G時代、日本企業は世界からぶっちぎりにリードしすぎたことで、他の国が付いてこず、グローバル展開に失敗。4G時代は先頭集団のなかにいたが、いつしか中国・ファーウェイや米国・クアルコムに置いていかれた。
過去の教訓を生かそうとBeyond5Gや6G時代には日本企業がグローバルで活躍できるよう、国や総務省が鼻息を荒くしているのだ。
しかし、宮川社長は、料金値下げによる減収で、こうした状況に危機感を募らせる。
「総務省が世界2位の安い料金になったと発表した。しかし私は通信量や品質を考えると日本は世界一安いと思う。日本が世界で安価な料金プランを目指す方向だったらついていくが、業界を引っ張っている先進国はそういう方向には行っていない。通信の開発面で日本が遅れていってしまうのではと懸念している」(宮川社長)

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