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プログラム参加9社が自社におけるDXの取り組みについて最終報告

デルとNAISTの「中堅企業DX支援プログラム」、9社の成果発表会

2021年10月25日 07時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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NAISTの講師各氏もDX推進支援における気づきや工夫を語る

 今回のプログラムを通じて講師やメンターを務めたNAISTの各氏からも総評が行われた。

 NAIST 先端科学技術研究科 助教の平尾俊貴特任氏は、中堅企業DXアクセラレーションプログラムの1年間の活動を振り返り、「DXの推進においては、組織を動かすことの難しさを改めて感じた」と語った。

 「課題を洗い出して、解決策を見つけ出していくことはできる。だが、現場に導入して、オペレーションを行うところは簡単にはいかない。DXといえども、最後は人である。社員や関係者、取引先に理解を得ることが大切だと感じた。メリットを粘り強く説明して、取引先の協力を得たチームもあり、そうした点での工夫もあった。世の中でDXと言っている人の多くは、技術面にフォーカスしすぎている。だが、今回の参加企業は、ヒト、モノ、カネが連動して動くDXの重要性を体感している。DXを代表する企業としてリードしてほしい」(平尾氏)

 またNAIST 先端科学技術研究科 助教の松田裕貴氏は、プログラムを支援するなかで参加企業のマインドが変化していったことを感じられたと総括した。

 「参加企業のなかには、うまく進まないところに空回りするような様子も見られた。最初はメンターからアイデアを出したが、徐々に自主的にアイデアが出てくるなど、メンタル面が変わっていくことがわかった。試行錯誤のサイクルを回すことができるようになったのではないか。DXは『何をつくるか』ではなく、会社の仕組みや考え方を変えて『どうつくるか』が大切である。今後は自走していける会社も多いだろう」(松田氏)

 NAIST 先端科学技術研究科 博士後期3年の伊藤健史氏は、DXにおいて肝要な点について触れた。

 「DXは、会社が持つビジネス上の資産を生かしながら、デジタル技術を乗せ、どうアクションにつなげるかが難しい。最初は、資料のデジタル化という作業だけでも、どうやったらいいのかわからないという企業もあった。クラッシュしてしまうのでなく、軟着陸するにはどうするかということを考えて支援してきた。そのためには、なにをしたいのか、なぜやりたいのかということを細かく再確認をし、軌道修正をしながらやっていくことが、一番大切であった。DXはボトルネックを同定し、デジタル技術を活用して解決に導いていくものである。ビジネスでネックになっていることを明らかにした上で、そこに技術を注いでいく姿勢を失わないでほしい」(伊藤氏)

第2回のプログラムを開始、新たにエッジやVR/AR、5Gも対象に

 なお、デル・テクノロジーズは、2021年11月11日から、第2回中堅企業DXアクセラレーションプログラムを開始することも発表している。従業員1000人以下の中堅中小企業を対象に募集。10月8日に締め切っている。

 第1回では、募集するビジネスプランに活用する技術要素は、AIやブロックチェーン、IoTを対象にしていたが、新たにEdge Computing、VR/AR、5Gにも対象を拡大。引き続き、NAISTが支援を行い、DX関連の技術概要や活用方法を学ぶ講座、DXエンジニア養成講座として実装するためのプログラミング技術の習得支援を行う。

 11月11日にはコンテストを開催。DX関連技術を活用した社内の業務効率やコスト削減から新規事業まで、応募各社のビジネスプランが発表されることになる。プレゼンテーションは各社5分間で、Zoomを使って実施される。8人の審査員により、実現可能性、新規性/優位性、継続性、発展性、経済性の5つの評価基準により、総合得点で判断し、上位9社に対して、NAISTのメンターによるDXプロジェクトの実装、定着化を1年間支援。デル・テクノロジーズによるDX実装に向けて必要となるサーバーの無償提供プログラムを提供することになる。

 「今日の報告会は1年間の取り組みの終わりであり、新たな一歩の始まりにもなる。デル・テクノロジーズは、これからも、日本の中堅企業のデジタル変革を支援する」(デル・テクノロジーズ 上原氏)

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