iPadやMacでポータブルSSD使ってみた 第12回

ベンチマーク結果で最大2倍以上の速度改善も

M1 MacにThunderbolt 3接続のディスプレーを接続すると外付けSSDの速度が向上するという噂は本当か?

文●平澤寿康 編集●北村/ASCII

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M1 Macとの接続方法は4つ

 速度検証は、以下の4パターンで行なった。

  • ① M1 Mac(のUSB4ポート)に外付けSSDを直接接続した状態
  • ② TB3ディスプレーをM1 Macに接続したうえで、ディスプレー側のTB3ポートに外付けSSDを接続した状態
  • ③ TB3ディスプレーをM1 Macに接続したうえで、M1 Mac側に外付けSSDを接続した状態
  • ④ M1 Macの2つのUSB4ポートの片方にダダンドール社製外付けエンクロージャー、もう片方に外付けSSD(X5 or T7 or T5)を接続した状態

SSDを4つのパターンで接続した

 速度検証に利用したベンチマークアプリは、Katsura Sharewareの「AmorphousDiskMark 3.1」と、Blackmagic Designの「Disk Speed Test」だ。また、SSDのファイルシステムは「exFAT」と「APFS」の2種類でそれぞれ計測した。

TB3ディスプレー接続時に速度が向上することを確認

 では、結果を見ていこう。まずはAmorphousDiskMark 3.1の結果からだ。なお今回は、AmorphousDiskMark 3.1で計測できる結果のうち「SEQ1M QD8」の結果のみを抜粋している。また、計測時のデータサイズは1GiBに設定して計測している。

 結果を見ると、確かにTB3接続の外付けディスプレーを接続した②と③の場合には、TB3/USB接続を問わず、書き込み速度改善に寄与しているようだ。

 ②は、USB接続時の読み出し速度の改善にも寄与しており、T7とT5の読み出し速度はAPFSで最速を記録している。③は、TB3接続時に書き込み速度が2倍以上改善しており、X5とエンクロージャーはAPFSで読み書きともに高速化を達成している。

 対して、TB3接続の外付けディスプレーのかわりにTB3接続のSSDエンクロージャーを接続した④の場合は、速度がほとんど変わっていない。このことから、外付けSSDの速度が向上するのはTB3接続の外付けディスプレーを接続した場合のみ、ということもわかる。

 ファイルシステムの違いについては、ファイルシステムがAPFSの場合がexFATよりも高速となるのは過去の検証で確認済みだが、そのうえでTB3接続の外付けディスプレーを接続した場合のほうがより高速となっている。速度向上の傾向はexFATの場合とほぼ同じで、特に書き込み速度が大きく向上している。

Blackmagic Disk Speed Testでも同様の結果に

 続いてBlackmagic Disk Speed Testの結果だ。計測時のデータサイズは5GBに設定して計測している。

 こちらの結果も、AmorphousDiskMark 3.1同様に、TB3接続の外付けディスプレーを接続した②と③の場合に速度が向上している。速度向上の傾向や、ファイルシステムがAPFSの場合により高速になるという点もほぼ同じだった。

 なかでも②は、USB接続時の読み出し、書き込み速度の改善に寄与しており、T7とT5の速度はAPFSで最速を記録している。③は、書き込み速度の改善に寄与し、X5はAPFSで読み書きともに高速化を達成している。

 TB3接続の外付けディスプレーのかわりにTB3接続のSSDエンクロージャーを接続した④では有意差が見られなかった。エンクロージャーは、①のAPFSですでに読み書きともに2700MB/s以上を記録していたこともあり、それ以上の性能向上は確認できなかった。

TB3の外付けディスプレー接続が何らかのトリガーとなり
TB3のデータ転送用帯域が広がっている可能性がある

 テストの結果、TB3の外付けディスプレー接続時に、外付けSSDの速度が向上することが確認できた。また、外付けディスプレーを接続している場合でも、SSDをディスプレー側のTB3に接続するか、M1 Mac側のTB3に接続するかで速度が変わる様子が見られる。

 例えば、TB3接続のX5では、ディスプレー側ではなくM1 Mac側のTB3に接続した方が、読み込み、書き込みともに速かった。しかしUSB接続のT5やT7では、M1 Mac側ではなくディスプレー側のTB3に接続した方が読み込み、書き込みともに高速だった。

 なぜSSDによって速度向上の傾向に違いが見られるのか、はっきりとした要因はわからない。TB3ではデータ転送用とディスプレー表示用で帯域が分けられているため、SSDをディスプレー側のTB3にデイジーチェーン接続したとしても速度が低下することはないはずだが、デイジーチェーンによって何らかのボトルネックが発生している可能性がある。ただそうなると、USB接続のT5やT7でディスプレー側のTB3に接続した方が高速になるという点の説明がつかなくなる。

 そして、そもそもなぜTB3接続の外付けディスプレーを接続した場合に外付けSSDのアクセス速度が速くなるのか、その理由も不明だ。ひとつ考えられるのは、M1 MacのTB3では通常は帯域が制限されており、TB3接続の外付けディスプレーを接続すると帯域が広がるのではないか、というものだ。

TB3接続の外付けディスプレー接続が何らかのトリガーとなり、TB3のデータ転送用帯域が広がっている可能性がある

 もちろんこれはあくまでも仮説であり、もともと十分な帯域が確保されていると考えられるUSB接続のSSDでも高速化するという点で、やや弱い部分もある。とはいえ、実際にTB3接続の外付けディスプレーを接続することで外付けSSDが高速化することを考えると、TB3接続の外付けディスプレー接続が何らかのトリガーとなり、TB3のデータ転送用帯域が広がるなどの影響があるのは間違いなさそうだ。

 以上のことから、M1 Macで外付けSSDの速度を最大限引き出したいなら、TB3接続の外付けディスプレーを接続した環境での利用がベストとなる。合わせて、Mac以外でのアクセスが難しくなるものの、ファイルシステムにAPFSを利用すれば、より速度を引き出せるので、そちらもお勧めしたい。

 なお、これは2021年10月に検証したときの結果だ。アップデートなどで対策が施された場合、今回の検証と同じ結果が出るとは限らない。現時点では有効な裏技だが、今後使えなくなる可能性があることは留意しておく必要がある。

 このような挙動が、今月発表された新SoC M1 Pro、M1 Max搭載マシンでどのような変化を見せるのか、引き続き注目していきたい。

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