ユーモアとスリルがたくさん詰まった大人の嗜好品

「DEATHLOOP」プレイレビュー、ループを繰り返すほど面白さが加速していく良作FPSだ

2021年10月30日 11時00分更新

文● イチえもん 編集●ASCII

予測不可能なライバル・ジュリアナとの対峙

 前頁で軽く述べたが、もう1つのポイントは、コルトのライバルであるジュリアナという存在だ。ジュリアナはエリアに配置されている敵NPCと違い、何の前触れもなく出現し、コルトに襲いかかってくる。レトロゲームでおなじみのお邪魔キャラだ。

ジュリアナは本作におけるお邪魔キャラ。コルトの暗殺を企てる、もう1人のプレイアブルキャラクターなのだ(設定でAI操作に切り替えられる)

 彼女は強力な武器とスラブを装備しているほか、敵NPCとは異なる動きを見せる。敵NPCは決められたパターンで行動しているから把握しやすいが、ジュリアナだけはなかなか予測ができない。なぜかというと、ジュリアナは、コルトを邪魔するもう1人のプレイアブルキャラクターだからだ。

ランダムに出現するジュリアナ。ヴィジョナリーを暗殺した帰りに現われたりしたらため息が出てしまう

ジュリアナを倒せばレジドゥム、武器、スラブなどを入手できる。ヴィジョナリーが所持するレジドゥムを入手できることも

ジュリアナが出現すると同時に、脱出経路も絶たれてしまう。エリア内に設置されたアンテナを見つけ、ハッキングする必要がある

 従来の暗殺ゲームは、ステージに配置された敵NPCに対してどのようなアプローチを仕掛けるかが攻略の秘訣となっている。後ろからこっそり倒してもよし、堂々と銃撃戦をしてもよしとアプローチの自由度はかなり高い。ある種パズルゲームのような感覚に近く、自分の思い描くアプローチが見事型にハマったときの快感がたまらないのだ。

 だが、そこに予測不可能な存在が現れたどうなるか。装備している武器とスラブやエリアの状況などを考慮し、咄嗟の判断でジュリアナに挑まないとならない。いうなれば"アドリブ(即興)"だ。突然現れた介入者と対峙するという対戦要素が、ほかの暗殺ゲームと違う大きな魅力といえる。

 なお、ほかのプレイヤーに邪魔されたくない人はオプションでAI操作(シングルプレイモード)に変更できる。ストーリーに没頭したい人にとってありがたい仕様だ。もっとスリルを味わいたい人は、プレイヤーが介入してくるオンラインモードに切り替えるといいだろう。

 加えて、ジュリアナとしてコルトを操るプレイヤーの世界へ侵入するモードも用意されている。クリア目的はコルトを暗殺するだけで、暗殺が成功すればランクの上昇や武器・スラブの獲得が見込めるほか、報酬としてコルトおよびジュリアナの衣装もゲットできる。コルト編(PvE)に疲れたら、ジュリアナ編(PvP)で息抜きをするのも悪くない。クリア報酬をゲットする、コルト編で培われたテクニックがどこまで通用するのかチェックしたい人はぜひプレイしてほしい。

ジュリアナを操作して、別のタイムラインにいるコルトを暗殺するゲームモードも用意。PvPの要素も含まれているのだ

ユーモアとスリル満載の暗殺ゲーム

 DEATHLOOPを初めてプレイしたとき、同じことを何度も繰り返すうちに中だるみが生じるのではと少々不安ではあった。しかし、本作のタイムループは省略が巧いうえに行動次第で変化が生じるため、最後まで飽きずに楽しめた。タイムループの不安を払拭し、没入感高めで、かつやめどきがわからなくなるゲームに仕上げたのは実に見事だ。

DEATHLOOPはユーモアとスリル満載の暗殺ゲーム。PS5とPCで販売中だ

 ユーモアに満ちたコルトとジュリアナのやりとりや、60年代のポップカルチャーから影響を受けたビジュアル、心に残る音楽、そして謎だらけのストーリーもポイントだ。Z指定(18歳以上対象)も納得のグロ描写も目立つが、ゲーム全体のクオリティーは非常に高く、贅沢な時間を過ごすことができるだろう。大人の嗜好品に相応しい本作が気になる人は、ぜひプレイしてみてほしい。

【ゲーム情報】

タイトル:DEATHLOOP
発売元:ベセスダ・ソフトワークス
開発:Arkane Lyon
ジャンル:ファースト・パーソン・アクション
プラットフォーム:PlayStation 5、PC
発売日:2021年9月14日
CERO:Z(18歳以上対象)

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