ディスプレー内蔵型フロントカメラの実力は?
カメラに関しては、背面のメインカメラはいずれも1200万画素の広角・超広角・望遠の3眼構成。Galaxy Z Fold2 5Gと比べ大きく変化している訳ではない。
それゆえ性能面は全般的にGalaxy S21シリーズに譲るのだが、撮影した写真はGalaxyらしい鮮やかな色合いで、コントラストの高い有機ELディスプレーでの表示と合わせると逆光下でもかなりくっきり映し出せている
しかしながら短時間の動画を撮影してベストショットを切り出す「シングルテイク」や、マイク向きをコントロールできる「プロ動画」、メインカメラとフロントカメラの映像を同時に映し出す「ディレクターズビュー」など、最近のGalaxyシリーズでおなじみの機能はしっかり搭載されているようだ。
また撮影中にディスプレーを折り曲げることで、ディスプレーの上側で映像を確認しながら、下側で撮影したり、画像を確認できたりするなど、Galaxy Z Foldシリーズならではの特性を生かした機能は今回もしっかり用意されている。特に本体を置いたままフロントカメラでの撮影ができることから、セルフィーの撮影には有効活用できるだろう。
そのフロントカメラは、ディスプレーを開いた状態と閉じた状態のディスプレーそれぞれに用意されており、前者は約1000万画素、後者は約400万画素となる。開いた状態の方が画素数が低いのは、先にも触れた通りディスプレー内蔵型という特殊性ゆえだろう。
実際開いた状態のフロントカメラ部分は、通常ディスプレーの一部として表示がなされており、撮影する時だけフロントカメラが現れる仕組みとなっている。ディスプレー内蔵型のカメラにすることで、従来機種にあったノッチがなくなり大画面をより生かせるようになったのはメリットなのだが、気になるのはフロントカメラ部分の表示と、撮影時の画質だ。
というのも国内で販売されたスマートフォンの中にも、楽天モバイルの「Rakuten BIG」が同様にディスプレー内蔵型カメラを採用していたのだが、同機種はフロントカメラ部分の画素が荒くなるのに加え、フロントカメラで撮影した写真もややぼやけてしまうなど、必ずしも評価が高いとは言えなかった。
ではGalaxy Z Fold3 5Gはどうかというと、フロントカメラ部分の表示画素はやはり荒くなるものの、Rakuten BIGよりは細かく、より目立ちにくくなっている。また実際にセルフィーを撮影してみても、被写体はかなりクリアでぼやけた印象はなくなっている。画質を求めるならやはり閉じた状態のフロントカメラで撮影した方がよいが、開いた状態でセルフィーを撮影しても悪くはない、というのが正直な所だ。
【まとめ】安心感は高まったが価格面のハードルはあまり下がらず
それ以外の性能を確認すると、バッテリーは4400mAhの大容量で、25Wの急速充電に対応。開いた状態でゲームプレイなどをしているとさすがに消費は早いが、日常使いに困るレベルではないと考えられる。
生体認証はフロントカメラによる顔認証と指紋認証に対応、指紋センサーは従来同様側面の電源キーに内蔵されている。それに加えて新たにFeliCaが追加され、「おサイフケータイ」の利用も可能になったことから、コロナ禍でも安心して利用できるのはメリットだ。
通信はもちろん5Gに対応しているが、au版の対応周波数帯はn77、n78で(4GはB19非対応)、ドコモ版の対応周波数帯はn79も含まれる。両キャリアともSIMロックを解除した状態で販売するが、他キャリアのSIMで利用する場合は従来通り、周波数帯に注意して利用する必要があるだろう。
まとめると、Galaxy Z Fold3はボディーの強度面での課題をかなりクリアし、折りたたみスマートフォンが日常使いできる水準に達したと感じさせる内容に仕上がっている。強度の面で購入をためらっていた人にも、安心してできるようになったといえるだろう。
ただ一方で、価格はドコモ、auともに23万円台と、25万円台だったGalaxy Z Fold2と比べれば安くなったものの、20万を切らなかっただけに消費者目線で見ると厳しいことは変わっていない。ディスプレーサイズと性能が近い所である意味競合といえる、第6世代「iPad mini」の256GBモデルのApple Storeでの価格は約9.5万円、それに「iPhone 13」の512GBモデルを加えてようやくGalaxy Z Fold3と同程度の金額となるだけに、折りたたみという付加価値があるとはいえ低コスト化は引き続き課題といえそうだ。
「Galxy Z Fold3 5G」の主なスペック | |
---|---|
メーカー | サムスン電子 |
ディスプレー | 7.6型有機EL(22.5:18) 6.2型有機EL(24.5:9) |
画面解像度 | 1768×2208ドット 832×2268ドット |
サイズ | 約128×158×6.4mm 約67×158×14.4mm(最厚部16mm) |
重量 | 約271g |
CPU | Snapdragon 888 2.84GHz+2.4GHz+1.8GHz (オクタコア) |
内蔵メモリー | 12GB |
内蔵ストレージ | 256/512GB |
OS | Android 11 |
5G対応周波数 | Sub 6/ミリ波 |
カメラ | アウト:約1200万画素(標準) +約1200万画素(超広角) +約1200万画素(光学2倍) /イン:約400万画素/カバーカメラ:1000万画素 |
バッテリー容量 | 4400mAh |
防水/防塵 | ○/○ |
生体認証 | ○(指紋、顔) |
カラバリ | ファントムブラック、ファントムグリーン(auのみ) |
この連載の記事
-
第518回
スマホ
モトローラの縦折りスマホ最高峰「motorola razr 50 ultra」は強化されたAIが楽しい -
第517回
スマホ
安く買えて普段使いに問題なし! バランスが良いオススメのミドルレンジスマホ3選 -
第516回
スマホ
カメラやAIの性能に違いはあるのか? Xiaomi 14Tと14T Proを使い比べてみた -
第515回
スマホ
日本発売が決定した可変絞りカメラ搭載のハイエンドスマホ「nubia Z70 Ultra」速攻チェック -
第514回
スマホ
2人同時に音楽を楽しめる青春スマホ「nubia Music」に新しい可能性をを見た -
第513回
スマホ
4万円で買えるゲーミングスマホも! コスパに優れたデザインスマホ「realme 13」シリーズがアツイ! -
第513回
スマホ
100倍望遠が実用的なスマホ「vivo X200 Pro」はカメラ性能が変わらず最強だった -
第512回
スマホ
ツァイスカメラ搭載のスマホ「vivo V40」は可変色LEDライトでポートレート撮影も得意 -
第511回
スマホ
価格も性能も妥協したくない人にオススメの王道ハイエンドスマホ3選 -
第510回
スマホ
スマホは高くない! 2万円台で買えるオススメ格安エントリースマホ4選 -
第509回
スマホ
着せ替えスマホ「CMF Phone 1」はカスタマイズが楽しいが実用面での弱点もあり - この連載の一覧へ