このページの本文へ

オフィススイートにPDF編集、クラウド共同編集などの機能を備え年額4560円。広告付き無料版も

キングソフトがオフィスSaaS参入、個人向け「WPS Docs」から

2021年10月01日 10時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 キングソフトは2021年9月30日、自社オフィスソフト「WPS Office」のクラウド版(SaaS)となる「WPS Docs」を提供開始した。Web版アプリとデスクトップ版アプリ、20GBのオンラインストレージが使える有料版は年額4560円(税込)と価格を抑えたほか、広告表示付きの無料版も提供する。同社 代表取締役社長兼CEOの馮達氏は「社運を懸けた新サービス」だと意気込む。

キングソフトがオフィスSaaS「WPS Docs」を提供開始

キングソフト代表取締役社長兼CEOの馮達氏(左)、同社 専務取締役 営業本部長 福田鋭氏

 WPS Docsは、キングソフトの主力製品である総合オフィスソフト「WPS Office」の流れを継ぐ新しいクラウドサービス。オフィスドキュメントの作成/編集/保存、オンライン共同編集、PDF編集、クラウドストレージ、無料テンプレートなど、機能を絞ることで、個人ユーザー向けに導入しやすい価格帯を実現したという。

「WPS Office」はグローバルで累計10億ユーザー、日本でも800万ユーザー以上が利用してきた総合オフィスソフト。企業導入も来年には4000社を見込む

 WPS Officeが提供する文書作成、表計算、スライド作成の機能を提供し、Microsoft Office形式のファイル(.docx、.xlsx、.pptx)の編集や保存にも対応する。Web版アプリケーションは「Microsoft Edge」「Google Chrome」「Apple Safari」など主要Webブラウザで動作する。

 WPS Docsの特徴の1つがPDF編集機能である。WPS DocsではPDFファイルの作成、文字の編集、画像の挿入、コメントの挿入、テキスト抽出、ページの分割や入れ替え、PDFファイルの結合といった高度な編集ができる。通常、PDF編集には「Adobe Acrobat Pro」などのツールが必要だが、「量販店などで1万円前後するパッケージソフトを、(WPS Docsの)契約サービス内で使うことができる」(キングソフト 専務取締役 営業本部長 福田鋭氏)とアピールする。

PDF編集機能(発表会のデモより)

 もう1つ、福田氏が差別化ポイントとして強調したのがファイル編集履歴機能だ。WPS Docsで作成したファイルは自動的にクラウドストレージへ保存される。編集途中でブラウザを閉じてしまった場合でも直前の状態が保存されているほか、誤って編集/上書きしてしまった場合は過去のバージョン(最大7日前まで)を復元することも可能だ。

 クラウドならではの機能として、複数のメンバーが同じオフィスファイルにアクセスして、同時に編集できる共同編集機能も備える。プライベートでもリモートでのやり取りが増えた現在、学生のゼミ資料やサークルのポスターデザイン作成などで幅広く活用できる。

共同編集機能では、特定の箇所をメンバーが編集できないよう制限することもできる

 WindowsやMac、iOS、Androidといったマルチデバイスへの対応、デスクトップ版アプリとの併用も特徴だ。PCブラウザでドキュメント作成や編集を行ってクラウドストレージに保存し、スマートフォンからその内容を確認する一方で、高度な作業はデスクトップ版WPSで行うといった切り替えが可能だ。デスクトップアプリが使えるという、Web版のみの他社SaaSとの違いも強調した。

 馮氏によると、WPS Docsは3~4年前に中国でリリース済みで、世界で5億人のユーザーがいる。「日本市場でもSaaSの需要が高まっており、1年をかけて開発に注力してきた」と述べる。日本での展開に向けて国内データセンターを構築しており、日本のユーザーのデータは国内に保存されることになる。

 WPS Docsの利用価格(税込)は、1年プランが4560円、6カ月プランが2520円となっている。いずれも7日間の無料トライアル付き。またWeb版アプリと1GBクラウドストレージのみで、広告表示付きの無料版も提供している(要会員登録)。

 なお今回発表した個人向けサービスに加えて、企業が必要とする機能を追加した企業向けサービスも2021年中に発表予定だと述べた。

 「情報を個人で使う時代からシェアする時代へと導くツールになる。シンプルで手頃なSaaS型オフィスソフトとして、新しい時代の象徴になると確信している」と馮氏は述べた。国内の導入目標については「早いうちに100万ユーザーを突破したい」としている。

■関連サイト

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン