経営のノウハウを後進に伝える
この5年間に渡って、戴会長兼CEOは、47回のメッセージを社員に対して発信した。
ただ、最新のメッセージを含めて、最近では、自らの経営の極意を改めて示したり、次代へのバトンタッチを視野に入れた発言が増えている。
8月12日の最新のメッセージでは、最後に、「私は、この5年間、シャープの経営改善に全力で取り組み、気づけばまもなく70歳を迎える。2年前から、様々なメディアの取材で2022年3月までに退任する意向を述べてきたが、この思いは変わっておらず、現在、シャープの将来を託せる次期CEOを社内外から探している。来年の株主総会までに後継者を決定し、私は退任したいと考えている」と改めて強調した。
戴氏は、過去2回、退任の意向を示したことがあった。
1回目は東証一部への復帰を果たしたときだ。東証での記者会見のなかで、「私はもう67歳(当時)であり、目標の東証一部復帰を達成したので辞めたいという気持ちがあった。取締役会に諮ったが、業績が成長し、年度途中で社長交代をすることは異例であると言われたことに加え、社長は株主総会で選出された取締役から選出することが通例であるとされたため、その話は保留になった。本当は辞めたいが、個人のわがままでは決められない」と語り、続投を決めた。
2回目は、2019年度(2020年3月期)を最終年度とした中期経営計画の終了にあわせた退任だ。だが、米中貿易摩擦や新型コロナウイルスの影響で市場環境が悪化。当初掲げた目標を下方修正せざるを得なくなったこと、さらなる構造改革が必要になったこともあり、社長の座は譲ったものの、会長兼CEOとして陣頭指揮を振るう体制を維持した。
だが、今回は3度目の正直となりそうだ。
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