誰もやってくれないのならば自分たちでやろう
では、BALMUDA Technologiesの第1弾となる5Gスマホはどんな商品になるのだろうか。
寺尾社長兼チーフデザイナーは、「いまのスマホは、どの機種も、だいたい同じように見える。現代社会で暮らしている私たちは、ひとつの商品を購入するときに、多くのバリエーションのなかからから選べるのが通常の姿である。それに対して、世界で最も多く使われている商品であるスマホは、あまりにも選択肢がない状況にある。一人の消費者としてもそれが課題だと考えていた」と述べながら、「誰もやってくれないのならば自分たちでやろうというのが、スマホを開発するきっかけになった思い。BALMUDA Technologiesの5Gスマホは、個性的な端末になる。他のスマホとは明らかに違う。デザイナーとして、久しぶりに自分で線を引いて、久しぶりに自分でデザインしたものである。他の製品に比べて、エレガントであると考えている」と自信をみせる。
そして、個人的な強い思い入れがあることについても触れる。
「自宅で、1人で会社を始めたとき、最初に作ったのが、ノートパソコン向けの冷却台。できあがった商品をデジカメで撮影して、Photoshopで加工して、ウェブサイトを作って、そこで公開した。だが、本当はこの冷却台の上に載るものを作りたいと思っていた。当時はコンピュータといえば、ノートパソコンや一体型パソコンであったが、いまや、スマホがコンピュータである。ついに自分たちが、自分たちのブランドで、自分たちのデザインで、自分たちの思うようにコンピュータを作るときがやってきた」と語る。
続けて、「その点では、多少、感慨深く思っている。いつも本気だが、5Gスマホは、すべての力を使って世の中に送り出す商品になる。その出来栄えが、自分たちも楽しみである」とする。
バルミューダでは、BALMUDA Technologiesのブランド発表とともに、5Gスマホの一部を公開してみせた。
「私たちは、私たちの全力を尽くして、皆さんを驚かせ、そしてできれば喜んでいただきたいと願っています。BALMUDA Technologies のこれからの行動を、楽しみにしていてください」というのが、BALMUDA Technologiesの発表リリースに記された一文。5Gスマホもその姿勢に則って商品化される。
バルミューダは、2003年の創立以来、「クリエイティブな心で夢見た未来を、テクノロジーの力で実現して人々の役に立つ」をミッションに掲げている。BALMUDA Technologiesによって、そのチャレンジがさらに一歩前進することになる。
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