今思えば、学生時代の夏は天国だった。なかでも「夏休み」は学校生活において最高の休暇であり、7月末を待ち遠しく感じた覚えがある。家族と一緒に登山や海水浴に行ったり、友だちとキャンプに行ったりして夏休みを過ごしていた。スイカや冷やし中華、そうめんを食べる、夏休みの時期に公開された映画を見に行く、昆虫採集もまた、夏休みの良い思い出として心に刻まれている。
あの夏の日の思い出を振り返ると、もう一度夏休みを体験したいという欲に駆られてしまう。社会人になった今、夏休みレベルの長い休暇を取るのは難しくなってきたが、せめて夏休みの雰囲気を味わうことができれば……と願う今日この頃だ。
そう思っていた矢先、7月15日に『クレヨンしんちゃん「オラと博士の夏休み」~おわらない七日間の旅~』(以下、オラ夏)が発売された。臼井儀人先生原作の『クレヨンしんちゃん』をモチーフとした夏休み体験アドベンチャーで、『ぼくのなつやすみ』シリーズを生んだ綾部 和氏がディレクションおよびシナリオを務めている。
筆者はクレヨンしんちゃんも好きだし、『ぼくのなつやすみ』シリーズも好きだ。本作の発売前、大好きな2つのコンテンツを融合させるのは正直いって半信半疑だったが、実際にプレイしてみると想像以上の出来で驚いてしまった。「とんかつ」と「カレー」を足したら「かつカレー」という絶品が生まれたような感覚に近いかもしれない。そこで本記事では、話題沸騰中のオラ夏を紹介していく。
クレヨンしんちゃんの世界で忘れられない夏休み体験!
まずは簡単にあらすじを紹介しておこう。野原しんのすけを含む野原一家は父・野原ひろしの県外出張に同行すべく、母・野原みさえの故郷「熊本県・アソ市」……の隣の隣にある田舎町「アッソー」へ。そこにはみさえの友人であるひのやまヨヨコとその家族が住んでいて、彼らの家に下宿しながら"七日間の夏休み"を満喫することに。だが、「あくの博士」の手によって、しんのすけは不思議な"エンドレスサマー"を体験する……といった内容だ。
本作は"夏休み体験アドベンチャー"というだけあり、『ぼくのなつやすみ』シリーズと同じく夏休みを味わうことにフォーカスしている。自然豊かな田舎町で、しんのすけに扮して夏休みを自由に楽しむ。それがオラ夏のコンセプトにして醍醐味でもある。
朝のラジオ体操や食事、お風呂、遊びなど、夏休みならではのシチュエーションをゲーム内で体験できるのが実に印象的、かつ懐かしく感じた。クレヨンしんちゃんが好きな人、田舎でスローライフを送ってみたい人はもちろん、『ぼくのなつやすみ』シリーズを愛してやまない人の心を惹きつける魅力といえよう。
クレヨンしんちゃんのゲームでありながら、『ぼくのなつやすみ』シリーズの醍醐味をしっかり継承している点が、最初にプレイして感じた驚きだった。『ぼくのなつやすみ』シリーズの新作を心待ちにしていたファンは、きっとオラ夏に満足するのではないかと思われる。
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