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考えて行動し、戦う。アドベンチャーゲームの楽しさが詰まった1作

「ゼルダの伝説 スカイウォードソード HD」レビュー、アドベンチャーゲームの真髄たる所以は「剣」の操作性・視点・カット毎の完成度・謎解きにある!

2021年08月05日 16時00分更新

文● KAMEX 編集●八尋/ASCII

これがゲームのカットシーンだ。テンポと演出の『ゼルダ』

本作のカットシーンは1カット1カットがバシっと決まっている

 本作はテレビCMで「ゼルダの伝説、はじまりの物語」と宣伝されたように、シリーズ時系列で一番最初のストーリーである。そのストーリーを伝えるカットシーンの素晴らしさをお伝えしたい。

 まず最初に断っておくと、本作はあくまでHDリマスターである。ゼルダの最新作『ブレス オブ ザ ワイルド』よりグラフィックが綺麗だとか、そういうことをいっているのではない。では何がすごいのかというと、1つは「1カット毎の完成度」。そしてもう1つは「テンポのよさ」だ。

 まず、「1カット毎の完成度」について。「カット」とはどこにカメラを置き、どんな大きさでキャラクターや背景を映すかということ。そしてカット同士が繋がって一連のカットシーン(一昔前でいう「ポリ劇」)となっていくのだが、これが素晴らしいのだ。ゲームのカットシーンというのは得てして、グラフィックやイベントの派手さのゴリ押しになりがちだ。しかし本作はセリフ、ストーリー、表情すべてを見事に汲み取ったコンテ(カットの繋がり)になっている。

目を大きく見開くリンク、ゼルダ越しのカット。映画的でありながら、ゲームとしてのテンポを失っていない

 これを成り立たせているのは、キャラの表情差分の多さや、ちょっとしたニュートラルモーション(体の揺れ)の豊かさではないかと筆者は分析している。いくら演出上正しいカメラを置いてみても、ゲームキャラクターというのは現実の人間ほど解像度のある表情をしていないため、実写と同様のカット時間では間が持たない。

 なので結果として実写よりカットを短くしたり、カメラに動きをつけて誤魔化すというのが一般的な手法だ。一方で本作は前述の通りキャラクターの表現が豊かなので、実写のような固定カメラや動きの少ないカメラでも演出が成立している。そしてそれらが繋がりあうと、本当に動きが必要なカットが綺麗に目立ってテンポよく感じるのだ。

背向けやキャラの映り小さいシーンも堂々と使えるのは、演出が優れている証拠

たくさんの表情が用意されている愛されキャラ「バド」

 ただ、忘れてはいけないことがある。ゲームはあくまでゲームだ。どんなに素晴らしいカットシーンでも、ゲームプレイの妨げになっては本末転倒である。かといってカットシーンが淡泊過ぎてはプレイヤーの冒険における目標は陳腐に感じられ、モチベーションを保つことは難しい。

 本作のカットシーンはほとんどがスキップ可能であり、テキストウィンドウの切り替わりをプレイヤーが操作してカットが進む。あくまでゲームが主体であり、主導権はプレイヤーにあるべきであるということを踏まえた調整である。それらを踏まえた上でも、飛ばしたいという気持ちを起こさせないテンポが、本作のカットシーンにはあると感じている。ストーリーを重視するプレイヤーには、ぜひ実際にカットシーンを見てほしい。

「考えて戦う」という柱から広がった多彩な冒険

手応えのある冒険が待っている

 話をゲームに戻そう。本作の一番の特徴は前述のとおり「剣」であり、その豊かな操作性だ。そしてこの特徴は、ゼルダシリーズが通底してきた「考えて戦う」というコンセプトと合致していることに気づく。つまり本作は「リンクの戦闘と謎解きを、より操作解像度の高い操作で遊べる」作品だということだ。

 そうして遊べるギミックは、これまでのシリーズから発展して豊かに感じる。「考えて」といわれると窮屈な印象があるかもしれないが「気がつけば考えている」というのが直感的には正しい。巧みなレベルデザインでプレイヤーに思考のヒントを与えることで、最初の関門は無意識に踏破されている。

 プレイヤーが真に悩むのは、意図された難問に対してだ。そんな難問がリラックスしたときの閃きで解かれたりもするのが、アドベンチャーの醍醐味である。「知恵と勇気で立ち向かう」というフレーズがピッタリだ。まだ遊んでいない人、久しぶりに遊びたいという人も、本作を体験してみてはいかがだろうか。

『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』を遊んだユーザーなら、その原点を本作でも感じることができるだろう

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