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前田知洋の“マジックとスペックのある人生” 第157回

日独メジャー対決! スパイラルメジャー対BMI Meter

2021年12月28日 16時00分更新

文● 前田知洋 編集●ASCII

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お店でポケットからメジャーを出したら
あらぬ誤解を受けるかも

 筆者はショッピングに行くときに、メジャーを持っていくことがよくあります。もちろん、時間をかければ、ほとんどの製品がネットでサイズを検索できます。しかし、それでも店頭でサンプル製品をポケットに入れたメジャーで測る理由は、カタログではわからない微妙な寸法を数秒で把握できるからです。

 今までは、タジマのコンベックス(巻尺)を持ち歩いていましたが、スケール部分が鋼製で5.5mまで測れるのはいいものの、とにかく重く、かさばります。ためしに重さを測ってみましたが、325gもありました。歴代のiPhoneで一番重いiPhone 13 Pro Maxが238g。そのおよそ1.4倍の重さです。

一般的なコンベックスは、ヘビーデューティ用途なので重い

 さらに不安なのが、店頭でコンベックスをポケットから出し入れするとき、「万引きに間違えられてしまうのではないか」ということ。タジマのコンベックスは、販売されている店が多く、値段も高めですから。

 筆者の愛用品は、よく見ればキズだらけ。事情を話してから実物を見せて説明すれば、「万引きでは……」という誤解はすぐに解けるでしょう。しかし、店員さんや他のお客さんを不安にさせるのはやはりよくないはず。

 前回の記事でも紹介した「レーザー距離計」はどうでしょうか。確かに、軽くて小さいので、持ち歩くのには便利です。

 でも、レーザー距離計は「距離計」の名前のとおり、物のサイズを測るのはちょっと苦手。そのうえ、最近はいろんな店で扱い始めたので、これも「万引きと疑われる不安」は残ってしまいます。

ショッピングにぴったりの「BMI Meter」

 そんな「重さと万引き嫌疑」に不安を抱える消費者が、世界中にどれだけいるのでしょうか。もしいるとするならば、彼らに紹介したい、ショッピング用にぴったりのメジャーを発見しました。

 1つめがドイツのBMI製「BMI Meter」(日本での商品名「ポケットメジャーMeter」)です。厚さが21mmしかない上、重さはたった70g弱。あまり日本では見かけないので、店で万引きに間違えられる心配もほとんどないでしょう。

ドイツ製のBMI Meterは、薄くて軽い上、珍しいデザイン

 BMI Meterは、スタイリッシュな色とデザインが特徴です。使うときに、内側のトリガーを引くと、スケールが自動で繰り出されるギミックも機能的。下に向けてトリガーを引けば、まるで、映画「スターウォーズ」のライトセーバーのように1mほどスルスルと伸びます。

 やっぱり海外製の工具は面白いなぁ……。

日本も負けていない、新潟精機「スパイラルメジャー」

 日本も負けてはいません。もう一つ、持ち歩きに便利なのは「スパイラルメジャー」(新潟精機)。上で紹介したBMI Meterに形は似ていますが、機構や使い方はまったく違います。

 特徴は、スケールの両面に目盛りが印刷されていること。さらに階段状の印刷で、誤認がしにくくなっています。4つのマグネットにより、測定対象に吸着できたり、スチール棚の側面などに保管できたりと、細やかな機能もそなえています。

先端を移動できるので、小さいサイズも測りやすい

階段上の目盛りでミリ単位の誤認が少ない。筆者のiPad ProのUSB-C端子の位置や幅も一目瞭然

 BMI Meterは1762円(2M)、スパイラルメジャー(2M)は2200円。ともにAmazon.co.jpで購入しました。同じデザインで、BMI Meterは3M、スパイラルメジャーは1Mのバーションもあります。

手軽に持ち歩けるBME Meter
見やすさに技ありのスパイラルメジャー

 筆者が両商品を使ってみて感じたメリットを、ざっとまとめてみます。

BMI Meter
○クールなデザインと色
○ベルトフォルダーが付属
○スケールが飛び出すギミックがおもしろい

 BMI Meterには、落下や置き忘れを防ぐためのストラップ用の穴がないのが少し不安でした。しかし、輸入工具特有のビビットなレッドで置き忘れづらいので、あまり心配はいらないでしょう。不意にトリガーを引いても、メジャーが飛び出さない構造も秀逸です。

 ただ、スケールが片面印刷なので、測り方によってはメジャーを反転させるワンアクションを面倒に感じるユーザーがいるかもしれません。

スパイラルメジャー
○階段状のミリスケールが見やすい
○ストラップ穴が2つあって便利
○マグネットが保管に便利

 スケールの印刷が赤と黒で見やすく、先端のプラスチックをずらせるので、1mm〜20mmほどのサイズもかなり正確に計れる実感があります。

 先端にも強めのマグネットがついているので、隙間に落ちたネジなどの回収にも使えます。ただし、持ち歩くときにクレジットカードの磁気ストライプをダメにしてしまうこともあるので、注意が必要かもしれません。

 ちなみに、両製品とも、スケール先端に爪がないので、何かに引っかける測り方はできないので注意。

 なお、BME Meterもスパイラルメジャーも、個性的なメジャーなので万引きを疑われることはなさそうです。とはいえ、店内が狭かったり、その手の工具が多く売られていたりするような場所では、やはり不審に思われてしまう可能性はあります。

 そこで、計測を始める前に、まず店員に「部屋に置けるか確認したいので、このメジャーで商品を測ってもよいか」ということを伝えておくといいかもしれません。

マジシャンの楽屋には持ち込み厳禁

 今回の話題はメジャーでしたが、筆者の職業はマジシャン。メジャーで測ることに関して、マジックにちなんだ話を1つだけ。

 マジックの道具の中には、観客から見えるサイズと、実際のサイズが違う物もあります。たとえば、女性がライオンに変化したように見えるマジックに登場する、箱やオリ。やはり、これらのどこかに、ライオンが隠れてないとダメなわけですから……。

19世紀に演じられた女性がライオンに変化するマジック

 そんな理由から、マジシャンの楽屋に遊びに行くときは、ポケットにメジャーを忍ばせていくのは厳禁です。怒ったマジシャンに、ライオンのエサにされないとも限りません。

 それはともかくとして、スタイリッシュで軽いメジャーを持っていけば、ショッピングもより楽しくなるはず。皆さまのショッピングライフが楽しくなることを心から願っております。

前田知洋(まえだ ともひろ)

 東京電機大学卒。卒業論文は人工知能(エキスパートシステム)。少人数の観客に対して至近距離で演じる“クロースアップ・マジシャン”の一人者。プライムタイムの特別番組をはじめ、100以上のテレビ番組やTVCMに出演。LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトン)グループ企業から、ブランド・アンバサダーに任命されたほか、歴代の総理大臣をはじめ、各国大使、財界人にマジックを披露。海外での出演も多く、英国チャールズ皇太子もメンバーである The Magic Circle Londonのゴールドスターメンバー。

 著書に『知的な距離感』(かんき出版)、『人を動かす秘密のことば』(日本実業出版社)、『芸術を創る脳』(共著、東京大学出版会)、『新入社員に贈る一冊』(共著、日本経団連出版)ほかがある。

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