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佐々木喜洋のポータブルオーディオトレンド 第82回

一瞬あれに見える、カセット風ハイレゾプレーヤーOriolus「DPS-L2」

2021年07月05日 13時00分更新

文● 佐々木喜洋 編集●ASCII

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アナログ的な見た目だが中身は最新のハイレゾ機

 ユニークなデジタルオーディオプレーヤーがOriolusから発売される。初代ウォークマンなどカセット式のヘッドホンステレオを思い出させるデジタルオーディオプレーヤー「DPS-L2」だ。外見はレトロなカセットプレーヤー風だが中身は最新のDAPとなっている。テーマは「レトロとモダンの融合」とのことだが、まさに言い得て妙と言える。

 こうした製品には「NW-A100TPS」があった。これはウォークマン40周年を記念してソニー自身が企画・販売したもので、ベースはウォークマンのA100シリーズ。専用ケースを取り付けると、初代ウォークマンそっくりの外観になる。DPS-L2は、さらに動作ボタンをメカ式にするなど、より凝った設計がなされている点がポイントだ。

 DPS-L2の筐体はアルミ合金製で、スライド方式のアナログボリュームコントロールが採用されている。ボリュームは高精度のALPS製だ。再生やスキップボタンもタッチではなくメカボタンで再現されている。再生ボタンには、押すとメカ機構で再生ロックがかかるという機械式ならではの仕組みも組み込まれている。逆に止めるためには停止ボタンを押して再生ボタンを解除するわけだ。これは昔のカセットプレーヤーの仕組みにそった形となっている。

 再生中にカセットテープのような画面が表示されるのも面白いが、NW-A100TPSのようにノーマルポジションの「AHF」や「BHF」など実在したテープの名前は使っていない。今の読者には補足が必要かもしれないが、カセットテープは磁性体の種類によって音質が異なっていた(NW-A100TPSでは音質=ビットレート/フォーマットの違いによって異なるテープが表示される仕組みになっていた)。それゆえにテープごとに再生音質も個性だった。ちなみに当時はよく自分だけの好みの音楽を入れた"マイベスト"などのテープを編集して作成していたが、これは現在のプレイリスト機能に相当する。

DPS-L2は全世界999台限定、予想実売20万円台前半、発売7月16日

 こうしたアナログでレトロな雰囲気とは対照的に、リモートでプレーヤーをコントールできる「Hiby Link」やUSB双方向データ通信など最新の技術も搭載されている。Hiby LinkはHiby Musicアプリをインストールしたスマートフォンを使い、Bluetooth接続で音楽再生やボリューム調節、楽曲リストの管理などが可能になるリモコンアプリだ。そのため、メカボタンだからといって操作が不便だという感じはない。まさに趣味のためだけにメカボタンを搭載した製品と言える。

ヘッドホン端子

 また、3.5mmステレオミニ端子が2個ある。ちなみに、3.5mmステレオ端子を最初に搭載した製品は初代ウォークマンである。これは初代ウォークマンが初めてポータブルオーディオ機器でステレオ再生を可能にした製品だからだ(従来は6.3mmのプラグしかなく、3.5mmでステレオ再生ができるプラグをウォークマンに向けて開発したと言われる)。DPS-L2ではそれに加えて4.4mmのバランス端子も搭載している。ヘッドフォンアンプは独立したバランス回路とシングルエンド回路が内蔵されている。心臓部であるDACチップには最高クラスの「ES9038PRO」を採用している。これはもともとポータブルではなく据え置き用のDACチップである。

 このようにDPS-L2は遊び心満載の機材でありながらも、中身は最新・最高クラスの再生が楽しめるユニークな製品となっている。凝った初代ウォークマンへのオマージュ製品を中国メーカーが作るというのも面白いが、それだけ日本製品が他の国で愛されていたということの証しと言えるだろう。

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