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遠藤諭のプログラミング+日記 第90回

PCを濡らしたら塩化カルシウムではなくシリカゲル!

2021年07月03日 09時00分更新

文● 遠藤諭(角川アスキー総合研究所)

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10年ぶりにやってしまった

 天気予報によると東京など関東周辺で大雨となるとはされていた。傘はあるので頭は濡れなかったが、靴やズボンは、ほぼ洗濯したような濡れ方をしてしまった。いま思えば背負っていたデイバッグを体の前に持って歩くべきだった。

 それからまる1日経過した夕刻、神田神保町の喫茶店でOneMix 3Sをとりだすと天板が少し濡れていた。表面を塗れたタオルで拭いてすぐみたいな感じ。いやな予感がするまま電源を入れてみると、次のような画面があらわれたのだった。

「世界地図みたい」とか、「おしゃれな空の壁紙」とか、「木漏れ日によってできる陰みたい」などの感想をいただいた、私のOneMix 3Sの液晶画面。

 またやってしまった! 2010年だからだいぶ経過はしているが、ケータイを洗濯してしまったことがある。そのときは、液晶の表示がおかしくなったばかりでなく、本体がちゃんと起動しなかった。それでも、あの手この手を尽くしてなんとか復旧したのを思い出した。

 しかし、ここからが問題だった。家に帰るとすでに遅い時間だったのもある。少し疲れていたが、薬局まででかけて「乾燥剤」を買いにでかけた。「これですかねー」と親切な店員さん。《湿気とるなら》とパッケージに書かれた押し入れやタンスに置いて使うような除湿剤である。まあとりあえずはこれでと買ってきて、Twitterに写真をあげると。

 「ギャー!」

 とか、

 「やめてーっ」

 みたいな反応がすぐさま返ってきた。私は、買ってきた除湿剤をシリカゲルみたいな要領でOneMixと一緒にジップロックに入れたのだが、それがまったくダメらしい。よく見ると、Twitterで勧められたのは《シリカゲル》や《お米》、あるいは《ドライヤーで乾かす》しかなかったのだ。

 塩化カルシウムは、湿気を吸うと溶けてベタベタになる。塩として激しいやつなので、精密機器に直に触れさせるのは危険という意見もいただいた。ということで、こんなときはヨドバシAkibaの営業時間外受け取りしかない! と注文して、真夜中に、無事シリカゲルへの交換を終えることができた。いやホントみなさんの助言ありがたい。

 ということで、この応急処置をしてから36時間の写真を掲載しておくことにする。自分ではよい方に向かっているように思うのだが、まったく自信がない。これに対して技術的な見立てのできる方のご意見がいただけたらありがたい。

シリカゲルに密閉してから36時間後。むしろ悪化しているようにも見えるが明るい部分がむしろ問題だとするとよい方向?

 「アスキーだからネタなのか?」というご指摘もいただいたのだが、これネタではない。お恥ずかしい話なのだが、元パソコン雑誌編集長なんてなにも知らないものなのだ! いやホント。《人に聞いて済ませる》ことがクセになっている上に、《ちょっと間違っても校正・校閲で直してくれる》(パソコン雑誌の場合は技術のわかるデスクくんとかだが)くらいに考えている。

 ところが、「パソコン雑誌の編集長なんだって!? だったらこのパソコン直してくれないか」なんてことを言われることがたまにある。「あのねー」という感じなのだが、しかも、私の場合は現役の編集長でもない(だいぶまっとうな人間になった気もするが)。ということで、ここでは同じ間違いを犯してパソコンをベタベタにして壊してしまう人が出ないよう、この記事を書いている。

私が、いちばん好きなガジェットはたぶんこれなのだ

 こんなことをドタバタとやっている最中に先週からはじまった「ブロックdeガジェット by 遠藤諭」の第2回が公開された。前回のこのコラムの記事に詳しく書いたように、私は、ここのところナノブロックやプチブロックでパソコンやガジェットを作っていたた。

 その作り方の動画というわけなのだが、今回は、私がいちばん好きなガジェットといっていい「Polaroid Land Camera 1000」である。

 いかにこのカメラが人々に愛されているかは、発売から40年以上もたった2018年にその後継機ともいえるカメラが発売されたことからもうかがえる。Polaroid Originalsによる「OneStep2」だ(OneStepは1000と同型モデル)。「ブロックdeガジェット by 遠藤諭」でもいろいろ言っているが、このカメラの面白さはこのあたりに書かせてもらった。

 私は、こういうプラスチックっぽいメカトロニクスな物体が大好きなのだ。それが、Polaroid Land Camera 1000では、光学や化学まで入りこんでいる。ほとんど、手の平に乗る工場プラントみたいな生意気な物体である。ちなみに、第一回はNECのPC-8001を作っている。再生リストは、 コチラ

洗濯ケータイを救う11の方法

 ところで、ここまで原稿を書いたところで2010年に携帯を洗濯してしまったときの原稿が出てきた。あれこれ見聞きしたり調べたりした対処法を書いていたので、参考までに再集録する。

 ただし、これはあくまでケータイの話であって、すべての方法がPCやスマートフォンには当てはまらないかもしれない(無水アルコールのくだりとか、スマートフォンではちょっと心配)。いまどきの水に浸かったデジタル機器への対処法は、新たな情報があればお知らせいただけるとありがたい。

 
 

 「洗濯ケータイを救う11の方法」Blogmag , 近代プログラマの夕4(Posted at 2010/07/25 21:16:53 by hortense)より。

 2カ月ほど前に買ったばかりのケータイを洗濯してしまった。脱水したズボンのポケットがゴロンとしていると思ったら、白い「PRISMOID」(au=iida)が出てきた。なんだか、サッパリした感じだったが、電源ボタンを押してみても液晶がチラチラするだけで起動しない。

 「みんな今日の天気が悪いのさ。暑くて汗をかいたからズボンを洗ったのだ」

 などといっても、いまさら取り返しがつくわけでもない。携帯電話事業者に持っていくと、いわゆる「水没あつかい」と言われてしまうパターンである。ところが、「ケータイを洗濯してしもた」とTwitter上でつぶやいたところ、あっという間にたくさんのRTをいただいたのだ。

 「まあ、あれですよ。「iPhone 4を洗濯しちゃった!」とかじゃなくてよかったと思いましょう(w」(toshi_koさん)

 というわけなのだが、同業者や携帯電話を設計していた方をはじめとして、どんどんアドバイスも集まってきた。ポイントは、「電源を入れないこと」(実は、これはすでに1回やってしまった)、次に「電池を抜くこと」(これはやりました)、そして内部がサビないうちに「乾燥させること」である。乾燥の仕方としては、以下のような意見が集まった。

1.タオルにくるんでグルングルン回す。
2.冷蔵庫に入れる。
3.ドライヤーで乾かす(後で分かったのは冷風のこと)。
4.天日で3日ほど干す。
5.乾燥剤(シリカゲル)で乾かす。
6.無水アルコールに浸して乾かす。

 1の遠心力法は、一見、消極的にみえるかもしれないが、脱水機がそれでやっていることを考えるとあながち悪いアイデアではないのだろう(NACLSINさん)。とりあえず、元携帯電話設計者の@oz_yamadaさんの指示にしたがって冷蔵庫をあけてアロエヨーグルトの上に置いてみる。その間も私のTLの上にはさまざまな意見が飛び交ってきて、より積極的なドライヤー作戦をやってみることにする。

 しばしドライヤーをかけていると液晶ディスプレイの周辺が白くなってきたので「ヤバイ!」と思い中断。よく見ると上級者の方々が、アドバイスしてくれたのが無水アルコールだった。アルコールという液体に再度浸すというのが、なんとなく抵抗があり、ケータイの内部で使われている接着剤などに悪影響があるんではないかととどまっていたのだ。

 ケータイの内部はシールアンテナが接着剤で貼ってあるのを見たことがあったり、PRISMOIDの背面のプラスチック部材の一部が接着剤で貼ってあることが分かっていたので、アルコールという言葉に抵抗があったのだ。しかし、今回、みんながすすめているのは無水アルコール(エタノール)なのである。

 そこで、千石にある24時までやっている薬局の「ぱぱす」まで車をとばしてみた。閉店10分前、ところが、なぜか無水アルコール(エタノール)のあったところだけがガランとあいていて値札だけが残っている。失意のあまり乾燥剤を買うというセカンドチョイスを思いつかないまま自宅に戻ってしまった。家にあるのは、買い置きしてある越後製菓『大柿(ピー入り)』(味の追求シリーズ)の小さなシリカゲルなんかをかきあつめても10個くらいである。

 やむをえず、パソコンの上部やコクーンの上など、室内で暖かくなるところに一昼夜置いてみて、ふたたび電源を入れてみる。ところが、またしても液晶がチラチラするだけで、本体が起動するまでいかない。実は、乾燥途中で残った水分の溶けた成分の濃度が高い状態でスイッチを入れるのが、いちばんよくないらしい。ダメかな~。

 「このハイテク時代に、洗濯機に異物混入警告機能がついていないのはなぜだろう?」

 などという発想も、こういう時にはグングン沸いてくる。洗濯を開始する前に、グルン、グルンと空回りして、水量を自動調整、投入する粉石けんの量を指定してくるくらいなんだから、異物混入くらい教えてくれよ。何か、洗濯物のプライバシー侵害になるとかの決まりでもあるのか?

 そこで思い出したのは、『月刊アスキー』にかつて連載していただいたスタジオ・ゲンの宮沢丈夫さんから聞いたお話だ。1980年代後半、宮沢さんはニューラル・ネットワークとか、遺伝的アルゴリズムとか、ファジー理論なんかの記事を書いていただいた。その宮沢氏が、あるとき何かのショウに出かけたときのことだ。ある家電メーカーの方が、宮沢さんの名札を見つけて歩み寄ってくると、「うちの洗濯機のニューロ・ファジーは、宮沢さんの記事のプログラムを使っています」と言ったとか。

 宮沢さんの記事は、フラクタル圧縮かなにかの企画を進行中に、お仕事が忙しくなり中断したままだったと思う。もし、「マルコフ過程を応用した洗濯槽の異物混入発見アルゴリズム」とかいった記事をやってもらっていたら、私のケータイも水没処理になることもなかったのではないか?

 ところで、この話、たまたまアメリカ人女性にすることになった。するとやはり、ケータイを洗濯したことがあるという。そこで、米国でポピュラーな洗濯ケータイの救出法というのを聞いてみた。それと、ネットでザッと洗ってみた結果、米国でポピュラーな洗濯ケータイの救出法は、以下のとおり(最初の2個が直接教えてもらったもの=日本の対処法に続けて連番してみましょう)。

7.靴下に入れて乾燥機で乾かす。
8.米と一緒にジップロックに入れて乾燥。
9.専用乾燥剤と一緒にジップロックに入れて乾燥。
10.掃除機で乾燥する(ドライヤーはダメ)。
11.業者に出す。

 なんとなく、国民性が出ているような気もするが(ドライヤー->乾燥機とか)、やはり、「米」というのが気になるでしょう。「米国では、米で乾かすというのはポピュラーなんですか?」と聞くと、「日本と違って米国は米が安いのですよ」という意外な返事が返ってきた。「お米を大切に一粒も残さず食べましょう」と教えられてきた日本人としては、なんだか気になる方法だが、これが集約農業というものか? 日本ではあまり知られていないし効果も疑問を持たれる方が多いと思うが、彼女によると誰でも知っているような方法らしい。ちなみに、私は、米国のワイルドライス系の料理は大好きだ。

 「靴下に入れて」というのも、なんだか米国らしい。「乾燥機」(clothes dryer)というのが、日本みたいにガランゴロンやるものなのか、浴室乾燥みたいな感じなのかは聞き忘れたのだが……。たぶん、ショックがある方法はやめたほうがよいでしょうね。

 米国は、映画なんかを見ていても服を着たまま湖やプールに飛びこんでしまうシーンが多いということで、ケータイの水没というネタはポピュラーらしい。そのため専用の乾燥剤や業者というものが存在する(日本にもある?)。業者の場合、濡れてから2日を目処にジップロックに入れて郵送すれば、数十ドルでケータイを復旧してくれるなんて広告を出していたりする(もちろん送るのは早いほうがよいが一刻を争うという意見が多い日本に比べてどこかおおらか)。

 結論。

 洗濯してしまったケータイの救出法。どこまでもマシンにやさしくマイルドに行きたい場合は、米国式の「掃除機法」+「米乾燥法」がよいのではないかと思う。そして、積極的にやりたい方は「無水アルコール法」である。以下に、ベスト手順を検討した結果をまとめます。

▼マイルド法

1.電池をはずす(SIMやメモリカードも)。
2.本体や電池をよく拭く。
3.掃除機で吸い込むようにして乾燥。
4.米や乾燥剤とジップロックに入れて乾燥。
5.1日以上経過したところで取り出す。

▼積極法

1.電池を外す(SIMやメモリカードも)。
2.本体や電池をよく拭く。
3.本体を無水アルコール(エタノール99%以上)に浸す。
4.乾燥させる。
5.1日以上経過したところで電源を入れる。

 私の場合、冷蔵庫とドライヤーをやってパソコン上で1日干した後、天日干し1日で、おかげさまでなんとか復活することができました。本当にみなさまのおかげです。ところで、天日干し法でうまくいった気分からすると、1つだけ発見というか、これが“真理”なんではないかというものに思い当たる。つまり、米国でポピュラーだという靴下に入れて乾燥機で乾かすって、なんのことはない、

 「洗ったものは干す」

 ということではないのか? そんなわけで、オマケとしてもう1つの方法を紹介しておきましょう。

▼なりゆき方法

1.電池を外す(SIMやメモリカードも)。
2.本体や電池をよく拭く。
3.ほかの洗濯ものと一緒に乾燥機にかける。
4.1日以上経過したところで電源を入れる。

 実は、ケータイもそれを望んでいるのかもしれません。そんなことはないですかね? ゴロンゴロン式の乾燥機はダメですね。いずれの方法も、試される方は自己責任で行ってください。

 ※洗濯機の中でグルングルンと洗われてから苦節3日、私のPRISMOIDは復活した。本人しか感動しない写真ですが、一応あげておきます。

 ところで、「洗濯ボタンを押すと異物混入を調べてくれる」機能、日本の洗濯機のメーカーは対応してくれませんかね? それともう1つ、洗濯機に欲しい機能があることに気が付きました。それは、「脱水が終了したあとフタを開けると、自宅付近のピンポイント天気予報を教えてくれる」機能です。もちろん、最初に教えてくれてもいいのだが、乾いた服が欲しいというのが目的なので、乾燥機付きならこのほうが人間っぽいんではないか?

 どですかね?

 ※復活後の私のPRISMOIDにはこんなシールを貼ってしまいました(ラクーアのコミュニケーションマニアにて購入)。似合うでしょう!

 なお、もっといい「洗濯ケータイ」の救出法をご存じの方は、@hortense667 宛てお知らせあれ。

 関連togetter:http://togetter.com/li/36573

 
 

 十年一日、代わり映えのしない自分の行動に半分あきれながらも、プラスチックな感じのPRISMOIDの表面の硬度の心地よさを思い出した。PCやスマートフォンの場合には、上記の限りの対処法ではないかもしれないので、くれぐれも注意のこと!

「ブロックdeガジェット by 遠藤諭」:https://youtu.be/rrrInq-pyZ4
■ 再生リスト:https://www.youtube.com/playlist?list=PLZRpVgG187CvTxcZbuZvHA1V87Qjl2gyB
「in64blocks」:https://www.instagram.com/in64blocks/

 

遠藤諭(えんどうさとし)

 株式会社角川アスキー総合研究所 主席研究員。プログラマを経て1985年に株式会社アスキー入社。月刊アスキー編集長、株式会社アスキー取締役などを経て、2013年より現職。角川アスキー総研では、スマートフォンとネットの時代の人々のライフスタイルに関して、調査・コンサルティングを行っている。「AMSCLS」(LHAで全面的に使われている)や「親指ぴゅん」(親指シフトキーボードエミュレーター)などフリーソフトウェアの作者でもある。趣味は、カレーと錯視と文具作り。2018、2019年に日本基礎心理学会の「錯視・錯聴コンテスト」で2年連続入賞。著書に、『計算機屋かく戦えり』(アスキー)、『頭のいい人が変えた10の世界 NHK ITホワイトボックス』(共著、講談社)など。

Twitter:@hortense667
Facebook:https://www.facebook.com/satoshi.endo.773

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